以下の内容はhttps://quadro.hateblo.jp/entry/kakonikki120より取得しました。


【社内恋愛】おふざけの裏側で募る想い - 秘密の関係と告白の予感:過去日記外伝4話

「おふざけの裏側で」

月曜日の午後。 3月だというのに、暖房の効きすぎた会議室は、ちょっとしたサウナみたいだった。

「……あつい、ってば。ヒロ、窓、ちょっとだけ開けてよ」

 

「風、強いから書類飛ぶよ?」

 

「いいから、ほら。窓際の男、頑張って」

いつものように軽口をたたきながら、マユミはボクに目配せする。 ほんのり汗ばんだ額にかかる前髪を指で押し上げながら。

ボクはしぶしぶ立ち上がり、窓のロックを外して少しだけ開けた。

「……ヒロって、やっぱり素直だよね」

「はいはい。なんとでも言ってください」

「ふふ。だって、言えばちゃんとやってくれるんだもん」

そう言って、彼女はペンをくるくると回しながら、なにかの資料を読み込んでいた。

静かに、淡々と、でも少し照れながら話すマユミを見て、ボクは胸がいっぱいになった。

昼休みも終わりかけの会議室。

飲みかけのコーヒーがまだ少し湯気を立てていて、

その向こうで、マユミが椅子に背中を預けた。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

 

「……ねぇ」

ぽつんと、呼ばれた。

小さな声だったから、最初は気づかなかった。

「ん?」

ボクが顔を向けると、マユミは机の上で指でモジモジしていた。

なんでもないみたいな顔をして。

でも、指先だけが、ほんの少しぎこちない。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

 

「会社でさ、たまに、ふざけるじゃん。私。」

「うん」

「あれさ、べつに、好きなわけじゃないから」

急に、そんなことを言い出す。

言葉は軽いのに、なぜか耳にひっかかった。

マユミは、笑っているような顔で、でも、目だけは真っすぐだった。

「ほんとはね、真面目に話したいときもあるのに、ヒロと普通に話したら、絶対、バレるでしょ。……いろいろ。」

「……いろいろ、ね」

ボクが笑うと、マユミもふっと息をこぼした。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

 

「だから、ふざけたノリにまぎれて、ヒロに近づいてた。バレないように。誰にも、気づかれないように。」

指の動きが止まった。

マユミの指先が、それ以上動かなかった。

……やっぱり、知ってたよ。
最初から、気づいてた。
マユミは、ボクのために、あんなに自然に、あんなに優しく、隣にいてくれてたんだ。

「うん、知ってた」
ボクは静かに言った。

マユミは、え?って目を丸くした。

「知ってたし、嬉しかったし、……すごく感謝してる」
声が震えそうで、ぎゅっと拳を握った。

「好きだからね…」

マユミは、ふっと顔を綻ばせた。
少し涙ぐみそうになりながら、でも、笑って。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

「よかった。……ヒロ、ちゃんと気づいてくれてたんだね」

ボクたちは見つめ合った。
なにも言わなくても、たぶん、伝わった。

社内では、ふざけた流れでしか近づけなかったけど。
でも——

ボクとマユミは、もう、ちゃんと心で繋がってる。

これから告白して、付き合うことになるんだろう。
自然と、そんな確信が湧いた。

「じゃあ、また、なんか企んどくね」
マユミが、いたずらっぽく笑った。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

 

「……うん、楽しみにしてる、でも、企むなんて…ね」って、素直に答えた。

——そして、静かに会議室を出た。
何事もなかったように、周りに溶け込むために。
でも、ボクたちの世界は、確かに、少しだけ、色を変えていた。

***

(ヒロのモノローグ)

たぶん、ボクは最初からわかってた。
マユミが、わざとふざけて、周りに溶け込むふりをしながら、こっそりボクを自分の世界に引き込んでくれていたこと。

それは、誰にでも向けた顔じゃなかった。
マユミは、みんなに優しいけど、誰にでもあんなふうに触れたりはしない。
笑って、軽口叩いて、わざと巻き込むみたいにして──
その度に、ボクは心の中で、何度も何度も、嬉しさに溺れそうになった。

ほんとうはボクなんか、
大勢の中にいると、何を話していいかわからなくて、誰とも目を合わせないでやりすごしてしまう、そんなやつだったのに。

マユミが手を伸ばしてくれなかったら、きっと、今も、ずっと遠いままだった。
ただ、見上げるだけの、光の向こう側にいる人だった。

──あの日、勇気を出して屋上で告白して、心臓が壊れそうになりながら、どうにか想いを伝えたボクを、マユミは、ちゃんと見てくれていたんだ。

ああ、って思う。
マユミはずっと、ボクのために動いてくれていた。
気づかないふりをして、そっと背中を押してくれていた。

嬉しい。
泣きたくなるくらい、嬉しい。
だけどそれと一緒に、どうしようもない怖さも少しだけある。

こんな奇跡みたいな時間は、もしかしたら、いつか終わってしまうかもしれない、って。

だからボクは、今、この瞬間だけは、絶対に忘れたくないと思う。

──マユミ。
ボクは、やっぱり、君が好きだ。
出会ったときよりも、今の君のことを、もっと、もっと。

(ここでふとマユミがボクを見上げて、小さく笑う。その笑顔が、すべての答えだった。)

quadro.hateblo.jp

quadro.hateblo.jp

quadro.hateblo.jp

quadro.hateblo.jp

 

 




以上の内容はhttps://quadro.hateblo.jp/entry/kakonikki120より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14