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「おはよう」から「おやすみ」まで:ハグが彩る夫婦の20年:過去日記099

ハグのある暮らし

マユミと結婚してからというもの、ボクらの間には、自然と「ハグ」が根づいている。

「ただいま」の代わりに、ぎゅっと軽く抱きしめる。
「いってきます」の前に、背中をトントンと叩くように。
「おかえり」は、言葉よりも先に腕を広げるのが合図になった。

最初から、照れくさなかった、家だけだから。
ハグって、好きだよって言わなくても感じる。

ImageFX彼女!過去日記マユミ

だけど、マユミが「してみたい」と言ったとき、彼女の目は真っ直ぐで、恥じらいよりも優しさの方が勝っていた。

「おはようハグ」
「ただいまハグ」
「おつかれさまハグ」

気がつけば、それはボクらの挨拶になっていた。

ある朝、まだ眠たそうな顔でキッチンに立っているマユミに、「おはよう」と声をかけながら、ぼくは両腕を広げた。
彼女はちょっと笑って、ふわっとぼくに身を預ける。

その瞬間、すべての空気がやわらかくなる。
マユミは背が高くて、だけど驚くほど華奢で、抱きしめると、まるで風に触れているような軽やかさがある。
肩のあたりに顔を寄せると、ほのかに甘い香りがした。石けんのような、だけどそれだけじゃない、マユミにしかない香り。
それはまるで、あたたかな記憶の中にふと紛れ込んだような、ほっとする匂いだった。

「ん…あったかい」
彼女がそうつぶやくと、胸の奥の何かが、静かにほどけていく。

ハグには、言葉では足りないものが詰まっている気がする。
「好きだよ」とか、「大丈夫だよ」とか、「ありがとう」とか。
うまく言えない気持ちを、そっと渡す手段として、いつのまにか、ボクらの暮らしに溶け込んでいた。

ちょッした意見の食い違いで機嫌が悪くなる時もあったけど、ハグしていたらいつの間にか忘れて元に戻ってた。

外から見たら、ちょっと変わってるかもしれない。
でも、ボクたちにとっては、ハグはもう、空気みたいなものになっていた。無くなったらきっと、ちょっと息苦しい。そんな気がする。

「おやすみハグ」 

ImageFX彼女!過去日記ハグ

たぶん、マユミが好きだからだろう。
そう思うとき、ボクは決まって、また彼女をそっと抱きしめる。

20年経った今でもボクはハグをするけど、今は奇襲作戦でハグをする。

だから、マユミは「もう何するの!」とマジで怒って嫌がる。

最後は「ヤメロよ〜」って。

 




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