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一目惚れ、気づかぬうちに惹かれていた奇跡:過去日記086

「ストーカーじゃなくて運命の恋?」

「ボク、マユミのストーカーだったよ」

と冗談めかして言ってみた。

過去日記マユミストーカー

 

  • Waiehu

もちろん、そんなわけはない。そんなことしても意味がないし、そもそも15年前ならストーカー規制法に引っかかる。それは当然わかっている。

でも、マユミのことを特別に意識していたのは間違いない。

──いや、正確に言えば、一目惚れだった。

あの日、オフィスのエントランスで初めてマユミを見た瞬間、ボクの中で何かが変わった。

彼女が笑顔で同僚に挨拶する姿が、まるで映画のワンシーンのように輝いて見えたんだ。

「こんな人がいるんだな……」

その瞬間、ボクの心に彼女の存在が深く刻まれた。

だから、気に入られるまでは正攻法で頑張った。

 

マユミのプロジェクトに対しては、他の人の2倍、いや、大げさに言えば10倍くらいのセンスを注ぎ込んだ。それも何回も。プロジェクトやコンペを通して、ボクはマユミに認めてもらいたくて必死だった。

そうしているうちに、マユミもボクの頑張りをちゃんと見てくれて、よろこんでくれたし、少しずつ気にかけてくれるようになった。ちょっと頑張りすぎて体調崩したけど。

昔は若かったから、無茶やってた。

 

──「絶対そうだよね」

過去日記ストーカー

マユミが笑いながら言う。

「帰り道で、後ろを歩いてるのわかってたよ」

「え、うそ」

「うそじゃないって。わざと見えるところで待ってたんだから」

「……マジで?」

「マジで。あとさ、駅のホームでも後ろにいたでしょ?」

「え、いや、それは……」

「退社時間も同じだったし、帰る方向も同じじゃそんな感じになるよ、しかも先に降りるし」

マユミがクスクス笑う。

 

「でも、マユミが好きなのはたしかだったけど」

ボクは照れくさくて、視線をそらす。

「ふーん?」

マユミはテーブルの上に肘をついて、ちょっと意地悪そうにボクを見る。

「じゃあ、あの頃は本当に少しくらいついて行きたいと思ったこともある?」

「……正直、思ったことはあるよ」

過去日記ストーカー

「やっぱり、そうなの?」

「でも、そんなことしたら本当にストーカーになっちゃうし」

「そうだよねー」

マユミは冗談めかして言うけど、どこか楽しそうだ。

 

  • MIlAodE

 

 

今、ボクたちは部屋でくつろいでいる。

もう一緒に住んでいるのだから、こうして夜に昔話をするのも珍しくない。

マユミは時々友達とランチに出掛ける。

その時も、ボクのネタで笑っていると帰ってくると話していた。

「でもさ、実は私も気づいてたんだよね。駅のホームで、いつも同じ位置にいたでしょ?」

過去日記ストーカー

「え?」

「ヒロのことが気になってたから、無意識に視界の中に探してたのかも」

「……マジで?」

「うん。だって、ちょっと気になってたし」

ヒロは思わず笑ってしまう。嬉しさを隠せない。

過去日記マユミストーカーうれしいすぎる

 



「でもさ、それだけじゃないんだよ」

「え?」

マユミは少し照れたように目をそらした。

「あの頃ね、ちょっと楽しみにしてたことがあって」

「楽しみ?」

「うん。帰りの電車で、ヒロが乗ってくるかどうか、密かに気にしてたんだよね」

「え、それって……」

「ヒロが同じ車両に乗ってきたら、なんとなく嬉しくて」

「……そんなこと、思ってたの?」

「だって、話しかけるわけじゃないけど、なんとなく近くにいると安心するというか」

ヒロは思わず顔を覆った。

「やばい、めちゃくちゃ嬉しいんだけど」

マユミはくすっと笑う。

「ふふ、そうだったんだ」

ヒロはじわじわと込み上げる喜びを抑えきれず、少し誇らしげに微笑んだ。

「じゃあ、やっぱり少しは脈アリだったってこと?」

「さて、どうでしょう?」

マユミはいたずらっぽく笑いながら、ヒロの肩に軽く頭を乗せる。

「でも、今はもうこんなに近くにいるんだから、過去のことはどうでもいいよね」

「……いや、過去があったから今があるんだろ?」

「そういうの、ちょっとロマンチックすぎ」

「でも、本当にそう思ってる」

マユミは微笑んで、ぎゅっとヒロの手を握った。

 




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