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引っ越し大作戦!彼女の愉快なお引っ越し:過去日記084

マユミのお引っ越し大作戦

最近、マユミの私物がどんどんボクの家に増えている。

最初は化粧品だった。それがいつの間にか部屋着、スリッパ、マグカップと増えていき、今ではクローゼットの一角に彼女の洋服まで並んでいる。

 

「ねぇ、そろそろこのスペース、もう少し広げてくれない?」

クローゼットの中を見ながら、マユミが当然のように言う。

「うん、今度もう少し開けとくよ」

 

──あれ? これってもう、半分引っ越してきてるんじゃないか?

ボクはその瞬間、今までの流れを振り返る。

マユミとはもう長い付き合いだ。

ボクの家にも彼女の家にも、互いに当たり前のように出入りし、彼女の親ともすっかり打ち解けている。

先日も急にお母さんが遊びに来た。

過去日記マユミのお母さん

「ヒロくん、ちゃんと栄養のあるもの食べてる?」

「え、あ、まあ……それなりには」

「なにそれ、『それなり』って。マユミ、ちゃんとヒロくんの食生活見てあげなさいよ」

「えー、見てるけど?」

過去日記マユミのお母さん

「あなたもすぐ外食で済ませるでしょ? 二人とも、もっとちゃんと食べなきゃダメ」

そんな風に、お母さんは終始ボクの健康を気にしていた。心配性というよりも、親として当然のように。

 

「マユミをよろしくね、でも、あなたも自分の体を大事にしなさいよ?」

最後にそう言われて、ボクは姿勢を正しながら「はい」と返事をした。いつの間にか、家族みたいな関係になっていたことに気づいて、なんだかくすぐったい気持ちになった。

シャキシャキと明るくて、ハキハキしたところは、確かにマユミにそっくりだ。

 

そもそも、一緒に住むことを考えたのはボクのほうだった。家賃や光熱費をそれぞれ払うよりも、いっそのこと一緒に住んだほうが合理的だし、何よりもマユミと毎日一緒にいられる。

でも、それを言い出す前に、マユミの引っ越しはもう始まっていたらしい。

過去日記マユミのポーチ

 

「なに?」

ボクの視線に気づいたのか、マユミが振り返る。

「いや、別に……」

なんだかおかしくなって、ふっと笑う。

「なによ、それ」

「いや……もうほぼ住んでるなって」

「今さら?」

マユミが呆れたように言って、それから悪戯っぽく笑う。

 

「じゃあ、正式に住んじゃおうか?」

ボクがそう提案すると、マユミはクローゼットの中の洋服を掛け直しながら、少しだけ考えるふりをした。

過去日記マユミの引っ越し

「……うん、いいかもね」

さらりと言うその口調に、ボクの心臓が跳ねる。

「え、いいの?」

「だって、そうするつもりだったし」

「え?」

「だから、ヒロの家への引っ越し、もう始まってるじゃない」

……やられた。

 

ボクが言い出すより前に、マユミはとっくにそのつもりだった。

「……じゃあ、引っ越し祝いに何か買おうか」

「ふふ、何が届くか楽しみにしてて」

マユミが小さくウィンクする。

こうして気づけば、ボクの家は、もうマユミの家でもある。

──楽しくて、ウキウキする新しい毎日が、また始まりそうな気がした。

 

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