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テレワークに勤務中の彼女がいる自宅で休憩時間:過去日記080

  1. 今日はヒロはテレワークです。

「ただいま~」玄関の方から声がした。

リビングのドアが開き、マユミの明るい声が響く。

合鍵を持っている彼女が、自然にボクの部屋へ入ってくる。

 

「え、なんで?」

「ヒロ、今日はテレワークでしょ? 営業の合間にちょっと休憩しに来たの」

そう言いながら、紙袋を掲げる。

中身は、小さなケーキの箱。

「これ、おやつ。ちょっと休憩しながら一緒に食べない!」

 

「……いや、ボク仕事中なんだけど」

「だから、ちょっとだけ休憩しよ?」

リビングでマユミは当然のようにソファに腰を下ろし、ボクを笑顔で見つめている。

——まぁ、確かに朝起きてからずっとやってたし根詰めてもね、少し休んでもいいか。

 

ボクはソファの前のローテブルの間に座った。するとマユミが隣に座って来た。

彼女はボクに肩に寄り添うように身をもたれかけてきた。スマホを取り出し、「ほら、見て」と画面を見せてきた。

距離が近い。めちゃくちゃいい匂いがする。

「え、ちょ、マユミ…近…」

ImageFXマユミ

「このイタリアン、新しくできたんだって。おしゃれじゃない?」

「へぇ、いい感じ」

「今度一緒に行こ?」マユミは行こうねって感じで見てくる。

「うん、いいよ、行こ」

そうやってしばらく他愛もない話をしていた。

 

——そしてボクはコーヒーを淹れに行った。

カップに注がれるコーヒーの香りが、部屋中にふわりと広がる。

「やっぱりヒロの淹れるコーヒー、美味しいね」

「普通の豆だけどね」

「でも、ヒロが淹れてくれるのがいいの」

 

そう言って、マユミはケーキの箱を開けた。

過去日記マユミケーキ

シンプルなチーズケーキと、色鮮やかなベリーのタルト。

「半分こしよ?」

「どっちも食べたかったんだろ」

「ふふ、バレた?」

フォークを差し出すと、マユミはいたずらっぽく笑いながら、チーズケーキを一口ぱくりと頬張る。

 

「美味しい。ヒロも食べて?」

そう言って、フォークをボクの口元へ差し出してきた。

「……自分で食べるよ」

「いいから、はい」

結局、マユミのペースに巻き込まれる。

でも、それも悪くない。

 

ケーキを食べ終わり、コーヒーを飲みながら、しばらくマユミとスマホを見たり、のんびりとした時間が過ぎる。

部屋にはコーヒーの香りと、マユミの甘い香水の香りがほんのりと残っていた。

 

「……そろそろ戻らなきゃ」

「あ、もう行くの?」

「うん。営業、まだ途中だから。でも——」

そう言って、マユミはボクの顔をじっと見て、ふっと微笑んだ。

「仕事終わったら、また来るね」

「……うん、待ってる」

マユミは軽やかに玄関へ向かい、ドアを開けて出ていった。

わずかに20分ほどの滞在だった。テレワークも良いのか悪いのか、マユミと一緒いる時間が少ないんだ。

 

たった5分前まで、ここにマユミがいた。

残されたのは、ふっと消えそうなマユミの温もりと、甘くて繊細なフローラルの余韻。Diorの香りがする。

ボクは、この香りDiorのForever&Everが好きだ。好きすぎて、そこにマユミがいるような気がして、深く息を吸い込んだ。

「……よし、もうひと頑張り」

作業部屋に行き、もう一度iMacを開いた。

その先に、マユミがいる。

それだけで、仕事を続ける理由になる気がした。

 

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