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【カフェでデート】休日の偶然、堂々とした秘密の関係:過去日記067

週末の午後、マユミとボクは駅前のカフェで向かい合っていた。

ここは、会社からは5駅離れた、ボクの住んでる街の駅前。街も違うから、少し安心できる。

「こうやって外で会うの、なんだか久しぶりな気がするね。」マユミがカフェラテのカップを両手で包みながら言う。

「確かにな。会社ではずっと一緒だけど、休日はなんとなく避けてたかも。」

「バレるのが怖い?」

「そりゃまあ…」

ボクが答えかけたところで、マユミがクスッと笑った。

 

「でもさ、こうやって普通に話してるだけなら、ただの会社の同僚じゃない?」

「……まあ、そうだけど。」

実際、会社ではこれまで通りの距離感を保っている。会社内や会社の近くでは、ボクからは馴れ馴れしくしない。そういうルールを決めたのはマユミだった。

「だって、今まで普通にしてたのに、急に態度変わったら怪しいじゃん?」

確かにその通りだったので、ボクも納得した。

とはいえ、彼女と二人きりでカフェにいるだけで、やけにドキドキするのは事実だった。マユミはカジュアルなニットにデニムというラフな服装で、会社で見る姿とはまた違った雰囲気だった。

 

ボクはふと周りを見回す。土曜の昼下がり、人は多いが、会社の人がいる気配は——。

「◯◯くん?」

その声を聞いた瞬間、ボクは心臓が止まりかけた。

振り返ると、そこには経理部の1個先輩の女性社員が立っていた。

「え…あ、IKさん。」

「偶然ですね!こんなところで。」

ヤバい。完全に油断していた。

「あ、そちらは…」

彼女の視線がマユミに向く。マユミは一瞬だけ固まったが、すぐに笑顔を作った。

 

「IKさん、お久しぶりです。」

「え、マユミさん?」

「あはは、偶然ですね〜。」

まるで本当に偶然出会ったみたいな顔で、マユミは自然に会話を続ける。

「お二人、一緒だったんですか?」

「たまたま、ね。」マユミがさりげなく答える。

「え、じゃあ偶然会って今一緒に?」

「そうそう。偶然会って、じゃあ一緒にお茶でもって。」

流れるような嘘。いや、正確には嘘ではない。ボクはただうなずくしかなかった。

 

「そうなんですね〜!会社以外で会うの珍しいなって思っちゃいました。」

「ほんと、それ!IKさんこそ、こんなところで何してるんですか?」

「え?あ、私は友達とショッピングで…あ、そろそろ行かなきゃ!じゃあまた月曜に!」

彼女は手を振って去っていった。

……助かった。

ボクは大きく息を吐く。

「冷や汗かいた。」

「ふふ、ヒロ、表情固まってたよ?」

「そりゃそうだろ。あんなに堂々と話せるのなんて、すごいな。」

「こういう時はね、堂々としてた方がバレないんだよ。」

それもまた、マユミが決めた“ルール”のひとつだった。

「万が一誰かに見られたら、慌てるより、堂々と適当な理由を作って流す。」

そんな話をしていたのを思い出す。実際、彼女は見事に実践してみせた。

 

「……でもさ。」

「ん?」

「ヒロが焦ってるの、ちょっと可愛かったかも。」

マユミはそう言って、イタズラっぽく微笑んだ。

ボクはまた、心臓が跳ねるのを感じながら、彼女の笑顔を見つめた。

秘密の関係はスリルがあって、ちょっとだけ楽しい。

ただ、こういう場面が続くと、ボクの心臓が持たない気がする。

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