相合い傘でバレた!?マユミの嫉妬
快晴の空とMさんの服
会社を出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。
自動ドアを出た先には、マユミの友達であるMさんが立っている。彼女はマユミよりも前から働いている派遣社員で、ボクとは長い付き合いだ。
驚いたことに、Mさんは会社に着てくる服を自分で作っているらしい。
それも、ただの手作りじゃない。メイド服のようにフリルがたくさんついた、やたら凝ったデザインのものだ。
最初に見たときは、完成度の高さに本気で驚いた。

「いい天気だね」
そう声をかけると、Mさんは「ふふふ」と控えめに笑った。愛想のいい笑い方だ。
傘の下で交わる問い
すると、突然Mさんが尋ねてきた。
「ヒロさん、ドンキとトライアルって…どっちが安いのかな~?」
唐突な質問に少し戸惑う。が、それより先にMさんがスッと日傘を差し出してきた。
「はい、どうぞ」
「え、いいの?」
Mさんの肩がそっとこちらに寄る。日傘の下、二人の距離はほんの少しだけ縮まった。
遠慮しようかと思ったが、「あはは、相合い傘じゃん」と笑ってしまう。
Mさんも小さく笑った。

「で、どっちが安いの?」
「う~ん、どっちかな~」
のんびり考えていると——
マユミ、現る!突如、影を落とす声
「アーーッ!」
突然、背後から悲鳴のような声が響いた。
反射的に振り返ると、そこには——マユミが立っていた。
驚いた顔で、目をまん丸にしている。
「アーーッ、見ちゃったよ」
……どうやら、バッチリ目撃されてしまったらしい。
嫉妬と挑発の狭間で
「Mさん、この人、あぶないのよ~」
「何言うんだよ~、Mさんとは仲良しなんだぞ~」
「Mさん、あたし、すぐ言いふらすのよ?」
妙なプレッシャーをかけてくるマユミ。いやいや、関係ないでしょ。
ズカズカとボクとMさんの間に割って入るマユミ。その様子は、まるでナイフで空間を切り裂くみたいだった。
解けぬ疑問、消えぬ笑い
とりあえず、話題を変える。
ドン・キホーテとトライアル、どっちが安いのか。
マユミがクスクス笑う。
「Mさん、ヒロ、不満そうね」

Mさんもクスクス笑いながら、「マユミがしゃべりまくって、いいとこ全部持って行ったからだよ~」と言う。
結局、ドンキが安いのか、トライアルが安いのか、答えは出ないままだった。
見られたくないものを、見られて
駐車場に着くと、マユミは「じゃ」と言って、自分のクルマに乗り込んだ。
「Mさーん、また帰りがけに話そうね~」
ボクがニコニコしながら言うと——助手席の窓がスルスルと開いた。
「ダメ、ダメよ~、Mさんが嫌がるから~」
マユミがわざとらしく言う。
いや、話しかけてきたのはMさんの方だし、傘まで差し掛けてくれたんだから。
ボクはMさんに手を振る。そして、マユミにも手を振り、エンジンをかける。
見られると面倒くさい相合い傘だった。
でも、ほんの少しだけ——男心がくすぐられたのも事実だった。
※このお話は実際の出来事を元に構成しています。