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磁気テープとICタグのひみつ

「ブックディテクションシステム(Book Detection System、BDS)」というものがあります。図書館などで貸し出し手続きが行われていない本の無断持ち出しや盗難を防止するシステムのことです。図書館の入口にゲートがあり、本に貼られたICタグや磁気テープなどの情報を検知して、貸し出し手続きが行われていないと警報が鳴る、という仕組みです。

ふだん利用している区立図書館ではICタグが使われています。なぜそれが分かるかというと、区が公開している図書館に関する文書にそのことが明記されているのもさることながら、本の裏表紙をめくったところの「のど(本を開いた内側の、ページが綴じられてある中心部分)」近くに、わかりやすく白くて細長いテープが貼られているからです。

このテープを陽に透かして見ると、中に「X」の文字を縦に引き伸ばしたような形の金属片が入っています。これはUHFの周波数帯を使った「細型積層タグ」というICタグで、これが図書館のシステムと連動して貸し出し手続きが済んでいるかどうかの情報を瞬時に読み取れるようになっているのです。
www.sofel.co.jp
いっぽうで、勤務先のキャンパスにある図書館の本には、このようなテープは見当たりません。さらに区立図書館と違って、貸し出し手続き(裏表紙に貼られたバーコードを「ピッ」とやるのは区立図書館と同じ)をしたあと、職員さんがL字型の機械に本の背をこすりつけるようにしてから手渡してくれます。

これは「ブックベリファイアー」という機械で、本に貼られた磁気テープの磁気を消去(返却時には再生)することで、ゲートで反応して警報が鳴らないようにしています。貸し出し手続きの「ピッ」に加えて「こすりつける」手順が必要なのでICタグより面倒ですが、ブックディテクションシステムとしてはこちらのほうが早くから普及していたみたい。
www.booker.co.jp
ユニクロのセルフレジを使うと、レジ画面横の白いシンクみたいなところに商品を複数まとめて置いても、すべての商品の情報がいっぺんに読み込まれて精算できますけど、あれはICタグRFIDタグ)が使われているからです。だからICタグを使っている図書館では、例えば自動貸出機でもユニクロと同じように複数の本をいっぺんに貸し出し処理することができます。

いっぽう磁気テープのほうは職員さんが一冊一冊「こすりつけ」なきゃならないので、その点でも業務効率はずいぶん違います。でもまあ、勤務先の図書館は予算的なこともあって、まだICタグには移行していないということなのでしょう。

ところでこの磁気テープは通常「タトルテープ」と呼ばれていて、これは3M社の登録商標です(「ブックディテクションシステム」も本来は3M社の商標だそう)。このタトルテープは、上述した区立図書館のICタグと違って、本のどこに貼られているのか分からないことが多いです。巧妙に(というと語弊がありますが)埋め込まれているんです。
access-security.co.jp
じつは私、以前この件について、後学のためにと職場の図書館の貸し出し窓口で尋ねてみたことがありました。「貸し出すときに後ろの機械で『ごしごし』してから渡してくれますけど、あれはどういう仕組みなんですか」と。そうしたら、一瞬でその場が凍りつきました。貸し出し担当の職員さんも、奥にいた司書と思しき方も、一様に表情がこわばっています。


https://www.irasutoya.com/2017/10/blog-post_63.html

それで「はっ」と気づきました。図書館にとって磁気テープをどこに貼っているかというのは、秘匿性の高い情報なんですね。それを知られてしまったら、悪意を持って磁気テープを剥ぎ取り、ゲートで引っかかることなく本を盗み出しちゃう輩が出ないとも限らない。だから私の質問は無邪気にもほどがある愚問だったというわけです*1

それでまあ反省することしきりで「愚にもつかないことを聞いちゃってごめんなさい」と謝って図書館を後にしたのですが、あとから思い直しました。でも区立図書館のICタグはあんなに分かりやすい形で貼られているのだから、剥ぎ取ろうと思ったらあっちのほうがよほど簡単じゃないかと。

これはたんなる私の想像ですが、秘匿性の高い磁気テープが使用されていた時代から明らかに見て分かるICタグを使用するようになった現代までの間に、図書館における人々の公徳心とか民度みたいなものが向上したんじゃないかと思います。もちろん悪い人はいつの時代にもいるものですが、それでも図書館の利用者を性悪説で見る必要性が徐々に減ってきたーーそういう時代の変化みたいなものが背景にあるのではないかと。

それに磁気テープに比べてICタグのほうが、業務効率の向上や利用者の利便性向上、さらに非接触であることから自動貸出機の利用もできるなどメリットが多いです。磁気テープを、本のちょっとやそっとじゃわからない場所に張り込む手間だって大変でしょうし。図書館を取り巻く環境の変化全体を勘案した結果、予算的なことがクリアできれば磁気テープからICタグへ移行するという流れなんでしょう。

ともあれ、図書館に関してひとつ勉強になりました。あ、ここに書いたことを悪用しないようにしてください。心からお願いいたします。

*1:こんなことを書くとまた職場の図書館の方々が凍りつくかもしれませんが、磁気テープがどこに貼られているかはその後判明しました。本の奥付けから数ページほど戻ったところの「のど」、それもICタグが貼られている場所よりもっと奥の深いところに、幅1mmほどの極細磁気テープが埋め込まれていました。ほとんど職人技といってもいいほど。見つけたときは、ちょっとした秘密を暴いてしまったようで、ドキドキしました。これをすべての蔵書に対して行っているなんて、ものすごい作業量です。




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