以下の内容はhttps://qianchong.hatenablog.com/entry/2025/08/02/084341より取得しました。


ふたたびアナウンスの過剰について

その日は朝から雨が降っていました。通勤ラッシュの時間にはまだ早いとはいえ、京王線の車内は結構な混み具合になっています。終点の新宿駅に到着する直前、車掌さんのアナウンスが入りました。

まもなく終点・新宿駅に到着いたします。どなた様もお忘れ物のないよう身のまわりをご確認ください。本日は朝から雨が降っており、雨の日は傘のお忘れ物などが多くなっております。また雨で足元がとても滑りやすくなっております。新宿駅から先におかれましても、お足元に十分ご注意のうえお出かけください。本日も京王線をご利用いただき、まことにありがとうございました。従業員一同、みなさまのまたのご乗車を心からお待ちしております。

長距離列車等ではなく朝の通勤列車なのに、なんと丁寧な車掌さんのアナウンスでしょう、これぞ日本流「おもてなし」の鑑ではないかと思われるかもしれません。でも、ごめんなさい、私にはそうは思えないんです。

もうこのブログでも何度も書いてきましたが、もとより日本の公共空間は、アナウンスや注意書き等の量が過剰です。くだんの京王線にしても、すでに自動音声によるアナウンスが導入されているのに、ほとんどの車両で車掌さんがアナウンスを上乗せしてこられます。でもそのほとんどは「発車しますと揺れますからご注意ください」とか「押し合わず順序よくお降りください」といった、まるで小さな子供に言い聞かせるようなものばかりです。

私はこうしたアナウンスを聞くたびに「もう少し抑制してくれないかな、静かに過ごさせてくれないかな」と思います。公共交通機関における「おもてなし」のようなものがあるとしたら、それはなるべく乗客の車内での過ごし方に干渉しない、必要以上に注意を喚起しないことではないでしょうか。それでなくても東京はじゅうぶんに騒がしくて、ストレスフルな空間なのですから。

「地獄への道は善意で敷き詰められている」と言いますが、こうした善意の*1ひとことふたことや、善意の注意喚起の張り紙などが積もり積もって、結果的に東京の公共空間はきわめてノイジーなカオスに成り果てています。「東京に来たばかりのころは、電車で頻繁に大声のアナウンスが入るので、なにか緊急事態が起きているのかと思った」という、職場にいる外国人留学生の言葉を思い出します。

qianchong.hatenablog.com

私は最後尾の車両に乗っていたので、新宿駅で降りたあと、よほど車掌さんにひとこと「もう少しアナウンスを抑えてくださるとうれしいです」とお伝えしようかと思いました。ところがすでに車掌さんに何やら話しかけようとしている女性がいらしたのです。私と同じような気持ちを伝えに来られたのかしら、とちょっとドキドキしながら近づくと、こんな会話が聞こえてきました。

女性:丁寧なアナウンスをありがとうございます。私、ちょっと感動しちゃいました。朝からいい気分にさせてもらってうれしいです。
車掌さん:いえいえいえ、とんでもありません。お気をつけてお出かけください。

お二人とも弾けるような笑顔でお話しされていました。私は、なんだか自分がとても狭量な人間のように思えてきて、蒸し暑い駅のコンコースを通って職場に向かいました。


https://www.irasutoya.com/2013/08/blog-post_3612.html

*1:車掌さんが善意でこうしたアナウンスをしていることは、疑い得ないでしょう。




以上の内容はhttps://qianchong.hatenablog.com/entry/2025/08/02/084341より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14