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奪われた集中力

書店で偶然手に取った瞬間、「本に呼ばれた」気がしました。英国出身のジャーナリストで作家のヨハン・ハリ氏の『奪われた集中力』です。原題は“Stolon Focus”で邦題はこれにならったもの。副題には“Why You Can't Pay Attention ― and How to Think Deeply Again”とあって、つまりはネットのアテンション・エコノミーに撹乱されて、じっくり考えることができなくなっているという現代最大の「文明病」(帯の惹句より)にいかに立ち向かうかーーという内容です。

一読、一気に引き込まれて、そのまま最後まで読み切ってしまいました。そして、アテンション・エコノミーについて自分がこれまで考えたり実践したりしてきたことのあれこれが、この本でまとめて解説されているように思えるとともに、とても心強く感じました。


奪われた集中力――もう一度“じっくり”考えるための方法

この本の前半は、ヨハン・ハリ氏が、アメリカはマサチューセッツ州、ケープコッドの先端にある街・プロビンスタウンで、三ヶ月間「ネットに繋がらない」生活をしたときの思索が中心になっています。これだけ聞くと、最近よく見かける「スマホ断ち」とか「デジタル・デトックス」をテーマにした自己啓発本みたいな趣きですが、氏の射程はそんな浅いものではありません。

実際、この本の結論部分では「さて、読者のみなさま、私がしたことをあなたもやってみてください、そうすれば解決しますよ」といった「シンプルな結論」を用意できないと述べられています。「ぼくが伝えなくてはいけないことはもっと複雑で、まずは認めることから始まるんだということだ。ぼく自身、この問題を完全に解決できたわけじゃない」。

まずは認めることーー何を? つまりはアテンション・エコノミーが私たちの集中力を奪っており、それが社会全体の危機、あるいは生物学的な危機とさえ呼べるほどの規模になっているということを、です。この問題はもはや、たとえばSNSのバズフィードに乗せられて思わず「ポチ」っちゃいましたとか、ショート動画を延々見続けて小一時間過ぎちゃいました、といったレベルに留まるものではないというのが、本書を読むとよく分かります。

私は数年前からこの問題を考え始め、その結果としてほぼすべてのSNSから降り、ネットやネットに繋がるデバイスとのつきあい方を変えて(抑制して)きました。でもこの本では、注意を奪っていく者たちからそうやって個人的に降りたり離れたりするだけでなく、問題を意識しはじめた人たちと連帯し、団結し、運動を起こして現状を変えていくべきだと説いています。

ほかにもこの本では、集中力を脅かすファクターとしてネットやデジタルデバイス、巨大テック企業のみならず、ストレスや食生活、睡眠不足、現代の汚染物質、さらにはADHDや子どもの虐待までさまざまな角度から検討が行われていて、かなり本質的な議論を念頭に書かれています。学術書ではありませんが、小さな字がびっしりで、読むのにはまさにちょっとした集中力が必要かもしれません。

追記

現在「note」で、この本の序章が全文公開されています。
note.com




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