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ヴォイニッチ写本

ヴォイニッチ写本といえば、1912年にイタリアで発見された不思議な古文書として有名です。この写本が有名なのは、その奇妙な彩色画とともに謎の文字が全編を埋め尽くしているからで、この文字は未だ解読されていません。100年以上にわたって世界中の研究者が取り組んできたものの、それが未知の言語なのか、暗号なのか、それともまったくのデタラメなのかさえ、確たるところは分かっていないのです。

beinecke.library.yale.edu

私は、この写本に関する書籍の定番ともいえるゲリー・ケネディ氏とロブ・チャーチル氏の共著『ヴォイニッチ写本の謎』を15年ほど前に読んで関心を持ちました。それから何度かネットでは「解読された」とか「謎が解けた」といった情報が流れ、そのたびに私は「おお!」と興奮したものですが、結果としてはいずれも不確かな情報でした。

そこへ偶然書店でこの新書に出会ったものですから、またまた思わず「おお!」と声を上げてしまいました。安形麻理氏と安形輝氏の共著『ヴォイニッチ写本 世界一有名な未解読文献にデータサイエンスが挑む』です。この本は上述の『ヴォイニッチ写本の謎』までの研究成果を踏まえ、その後の研究の進展を特にデータサイエンスの立場から紹介するものです。


ヴォイニッチ写本 世界一有名な未解読文献にデータサイエンスが挑む

ヴォイニッチ写本の新説に関しては上述したようにかなり玉石混交の「石」ばかりといった印象で、なかにはほとんどオカルトやスピリチュアルまがいのものも多いです*1。でもこの本は、そもそも写本とはなにか、羊皮紙とはなにか、書誌学とは、データサイエンスとは……とごくごく基本的なところから解説があり、さらに写本研究におけるアプローチ方法のあれこれなどもていねいに説明されています。徹底的に科学的・論理的な姿勢が貫かれているとても勉強になる一冊でした。

ヴォイニッチ写本は、使われている羊皮紙の放射性炭素年代測定や、インク・顔料などの成分分析から、15世紀ごろに作られたことはほぼ確実とされています。さらに(ここからは「ネタバレ」になりますが)……





この本の著者による「テキスト解読可能性」の判定(テキスト自体を解読することよりも、解読可能な構造を持ったテキストなのかどうかを判定する)によって、「既存の言語体系によらない人工言語または未知の言語で書かれた可能性が高い」と結論づけられています。つまりまったくのデタラメな文章ではなかったのです。なんとも「胸アツ」であります。

この実際の判定や分析の方法について解説している部分はやや複雑で難しいですが、私のようなデータサイエンスの素人でもなんとかついていけますし、読んでいて本当にわくわくします。そしてデータサイエンスの現代的な意義と位置づけ、専門の研究者だけではなく在野の市民も参加する形で研究が進められる「シチズンサイエンス」のありようについても知見を得ることができます。

さらにはヴォイニッチ写本にインスピレーションを得た文学やアート作品、音楽などまで紹介されているのも楽しい。脚注で紹介されていた、こちらのTEDトーク:ウィリアム・ノエル氏の『失われたアルキメデスの写本の解読』(日本語の字幕がついています)にも興奮しました。


www.youtube.com

ともかく、薄い新書ですが、とても濃い内容です。ヴォイニッチ写本、私が生きているうちに解読されるかなあ。これはリーマン予想と同じくらい、門外漢でもじゅうぶんにワクワクできるテーマなのです。

*1:Amazonなどで「ヴォイニッチ」をキーワードに検索してみると『ヴォイニッチ手稿の秘密』という本がたくさん表示されます。カスタマーレビューは星4.4と高評価なのですが、かなり「ヤバそう」な感じ。それで私はこれまで手を出さないできましたが、果たして今回の『ヴォイニッチ写本』でも一切触れられていないどころか、注釈や参考文献などにも登場しません。まっとうな研究者からすれば、やはり「トンデモ本」だったのですね。




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