
【結果】
TN 優しさの理由 最終7位 2008(98-44)
TN 夕霧綴理 最終36位 1953(44-15)

【使用構築】

改案

【コンセプト】
・対称的な全体技と補助特性による択回避と安定行動を可能にするサイクル
・行動保証と定数ダメージによる柔軟な展開
【構築経緯】
<環境認識と方針>
レギュレーションGにおいては、全体技を軸とした対面寄りの展開が目立った。
特に「全体技+このゆびとまれ」の並びに対しては、たとえ全体技に対する耐性を持っていても、あるいは行動保証のある一般枠を用いていたとしても、全体技を使う側を処理できなければ一方的に押し切られる展開になりやすい。
そこで、まず現環境で想定される全体技の組み合わせを、一部の技が重複しつつも、並びごとの傾向に着目して、以下のように大きく3つに分類した:
A:じめん全体技+X
ねっさのあらし+しおふき / ブリザードランス / きょじゅうざん
だんがいのつるぎ+ねっぷう
→ 有効なタイプ:みず
B:フェアリー全体技+X
マジカルシャイン+イナズマドライブ / りゅうせいぐん
マジカルシャイン+ボディプレス / アクセルブレイク+ねっぷう
→ 有効なタイプ:どく、フェアリー
C:イエッサン系
アストラルビット+ワイドフォース
→ 有効なタイプ:ノーマル、あく
この分類を踏まえると、
Aには「みずテラス黒バドレックス」が、
B・Cには「どくテラスディンルー」がそれぞれに有効である。
このように、「全体技に耐性があり、かつ自身も全体技を扱える伝説」を採用し、それぞれの全体技パターンに対応する構成を組むことが、本構築の方針となった。
ただし、初手から伝説を出して全体技に対応しようとした場合、相手が初手に伝説を出してこない展開では、こちらの伝説枠が一般枠と対面することになる。
その際、相手の一般枠のテラスタルによる役割破壊を即座に見抜くのは難しく、どうしても「まもる」や「交代」といった様子見の行動が増える。
したがって、こうした行動の価値が落ちにくく、柔軟に立ち回れる伝説を採用することが、もう一つの重要な基準となった。
<伝説の決定>
全禁止伝説中で最速を誇る黒バドレックスは、![]()
サポートや耐性テラスと組み合わせることで、初手の全体技の打ち合いにおいても不利を取りにくく、構築の初動に大きな安定をもたらす。
また、「有利不利が不明な盤面でのまもる」や「不利対面からの引き」といった、一見消極的な選択も、このポケモンであれば成立させやすい。
・まもる+隣の攻撃
→ 素早さを活かすことで縛り関係を逆転させやすい。
・交代
→ 削れた盤面に対して、死に出しや対面操作からの再着地で「くろのいななき」を発動させやすい。その巻き返し性能は後発から投げた場合でも再現性が高い。
以上の理由から、黒バドレックスの採用に至った。
今回はみずテラスを選択した。その理由は以下の通り。
・Aの構成に対して、一般枠だけでの受けが成立しづらい。
・BとCに関しては、主な全体技使いがいずれもゴースト弱点を抱えているため、黒バドレックスで処理しようとするとテラス択が発生しやすく、遂行に不安が残る
・みずウーラオスの多さから、初手でまもるが成立しにくい場面が多く、みずテラスにより強引な対面処理が可能になる。
・みずテラス黒バドレックスの採用率が低く、読まれにくい。
みずテラス黒バドレックスは、元素人格論の観点から見ても極めて理にかなっていた。この構築においては、迷いなく採用するに至った。
互いに格→元素人格には
・攻撃面では2倍の補正をとるよりも一貫の増加を見る場合は人格テラスタルでよい
・耐久には優れているが互いに格なことがデメリットな場合は互いに格→元素でよい
<伝説の決定(その2)>
黒バドレックスを最大限に活かすには、「くろのいななき」発動後に再行動できる展開を安定して作ることが重要である。そのため、基本選出には「ガオガエン+このゆびとまれ」といったサポート枠を組み込み、黒バドレックスが動きやすい形を整える構成とした。
しかし、これらのサポート枠は盤面によっては黒バドレックスより明確に価値が劣る場面も多く、選出内における価値の非対称性が原因で、安定行動が成立しにくい盤面が目立った。
※安定行動という概念、および安定行動とまもるの関係性については、そらりあ様の動画で抽象的に言語化されており、思考整理のうえで非常に参考になった。
このような背景もあり、黒バドレックス1体だけでは全体技に対する対応力が十分とは言い切れず、構築全体としてその負担を軽減できる補完枠の必要性を感じた。
そこで、黒バドレックス+サポート2体という基本選出に4体目を加えるにあたっては、黒バドレックスと近い立ち位置にあるポケモンを組み込むことで、選出全体のバランスを整えやすくなると判断した。
着目したのは、ディンルーである。![]()
ディンルーの評価点は以下の通り。
・「とつげきチョッキ」によって圧倒的な耐久数値を持ち、誤魔化し性能が高い
・どくテラスを自然に採用でき、B・Cに強く出られるうえに、このルールで通りの良い「じめん全体技」を使える
ディンルーは一見、黒バドレックスとアンチシナジーに見えるものの、以下の点からむしろ高い補完関係にあると判断した。
・定数ダメージによりテラス択を軽減でき、定数+高火力というシンプルなスイープが強力
・黒バドレックスは「おいかぜ」「でんじは」「こごえるかぜ」「トリックルーム」などS操作展開に弱いが、ディンルーは素早さに依存せず、展開要員であるオーロンゲ・ハバタクカミ・エルフーンなどにも強く出られる
・特性「わざわいのうつわ」によって、黒バドレックスの特殊耐久を擬似的に補える
・「みずの一貫があるように見せかけて」、みずウーラオスに対して有利な展開を誘導できる
・どくテラスディンルーが苦手とする化身ランドロスには、黒バドレックスが強く、逆にみずテラス黒バドレックスが苦手とするミライドンには、ディンルーが明確な回答となる
こうした補完関係を踏まえ、もう一体の「全体技に耐性があり、自らも撃てる伝説」として、ディンルーの採用に至った。
<サポート枠>
ここまでで、「テラス依存度が高い」「全体技に強い」「環境から逆算して型が決まる」「初手から選出したい」といった特徴を持つ2体──黒バドレックスとディンルー──が決定した。
ここからは、それらを裏から支えるサポート枠として、「テラスに依存せず」「単体技に強い」「環境に左右されにくい動きができる」「交代の価値を引き上げられる」といった基準をもとに補完を検討する。
その基準を満たすポケモンとして、ガオガエンとピッピの2体を採用するに至った。![]()
![]()
<対ノーマルへの補完>
黒バドレックスでは対応しきれないノーマルは、基本的に2つのパターンに分類される。
① 高速ノーマル
黒バドレックスより速い個体群。これらはおおむね特殊耐久が高いが、物理耐久は低い傾向にある。そのため、ディンルーで対策することが可能であると判断した。
② 低速高耐久ノーマル
物理・特殊の両面で数値を持つポケモンに対しては、黒バドレックス・ディンルーともに打点が足りず、突破に行き詰まる場面が多かった。
そこで、こうした低速高耐久ノーマルに強く出られるみずウーラオスを採用し、補完とした。![]()
<対サイクルへの補完>
ここまでの構築において、特定のサイクル構築に対する不安定さが課題として浮かび上がっていた。
①対カイオーガ構築![]()
カイオーガ対面構築に安定して対応するには、「みず半減かつじめん半減」のポケモンが理想的である。この条件を満たす候補としては、みずオーガポン、くさオーガポン、ゴリランダー、カイリューが挙げられる。
さらに、サイクル構築まで視野に入れると、カイオーガ構築内の物理アタッカーに対してガオガエンの選出が重要になる。
→ 自分の結論としては、カイオーガサイクルに勝つには、ガオガエンを強く使えることが必要条件である。
そのうえで、以下の3点をすべて満たすポケモンが求められる:
・ガオガエンとの縦の補完が取れていること
・カイオーガに対して対面操作が可能であること
・みず半減かつ「キノコのほうし」が無効であること
この条件を満たすポケモンとして、みずオーガポン、くさオーガポン、ゴリランダーが候補となった。
②対黒バドレックスサイクル![]()
・構築にはすでにあくタイプを2体採用していたが、どちらもウーラオスに対して不利を取りやすく、「フェアリーテラス+ドレインキッス」を採用した黒バドレックスに対しても、あくタイプだけでは対応しきれない場面が多かった。
・ウーラオスを処理できる手段が黒バドレックスに限られており、黒バドレックス同士の対面では、相手のテラスタルや積み技次第で、こちらが絶対的に不利な展開になる場面も多かった。
→ こうした背景から、黒バドレックスミラーを打開するには、「ウーラオスに強いノーマル」の存在が必要不可欠であると判断した。
なお、ラスト1枠にHD「きせきのタネ」ゴリランダーを採用し、黒バドレックスを選出から外すことでミラーへの対応を試みた構築案も存在したが、その場合、後述のテラパゴスサイクルに勝つのが難しくなったため、最終的には不採用とした。
③対テラパゴスサイクル![]()
黒バドレックスがガオガエンに強くないからテラパゴスに勝てない、という単純な話ではない。
構築全体としてガオガエンへの圧力が足りておらず、さらにテラパゴスの処理もウーラオスに依存していたため、この2体を同時に相手取るのが難しい構造になっていた。
加えて、こちらが積んだ黒バドレックス+ウーラオスを並べたとしても、テラパゴスを倒すためには、結局単体技を選ぶしかなく、その都合上、択が一方的に不利になりやすいという問題もあった。
この状況を打開するには、以下の2点が必要だと考えた:
・ガオガエンへの役割集中を行うこと
・相手の積み展開に明確なリスクを与えること
以上の観点を踏まえ、上記の構築に勝率を最大化する補完枠として、「ノーマルテラス」「おんみつマント」「でんじは」「アンコール」カイリューの採用に至った。![]()
・ガオガエンと縦の補完に優れ、カイオーガ構築に強い
・みず・くさ・ほのおのサイクルに強いドラゴンタイプ
・ノーマルテラスで黒バドレックスミラーを打開できる
・ねこだましサイクルに強く、テラパゴスの積み展開にリスクを与えられる
以上により構築が完成した。
【構築の構造】
軸:
「潰し、崩し」
「潰し、受け」
サポート:![]()
「受け」「潰し、崩しの補助」
補完:
「潰し、崩し」
「潰し」「崩しの補助」
【基本選出】
パターン①
![]()
+![]()
![]()
「全体技+ガオガエン+このゆびとまれ」による対面の押し切り
「とつげきチョッキ+ガオガエン+いのちのしずく」による回復サイクル
「わざわいのうつわ」「いかく」「フレンドガード」による耐久補助サイクル
パターン②
![]()
+
+
or![]()
初手から黒バドレックスをがっつり守って積みに繋げるのではなく、最低限のサポートで削り仕事をさせて、退場させてもいいし、HPが残っていれば終盤の再展開を狙う──そんな運用を意識していた。
全体技を通すことで、読み合いを自然に減らしつつ、最終的には単体技アタッカーで締める展開を目指す。
パターン③
![]()
+
+
or![]()
定数ダメージやデバフで盤面を整え、
壁などの展開遅延やテラス択の緩和を図りながら、
最終的には、裏の高火力アタッカーでスイープを狙う。
パターン④
![]()
+![]()
![]()
ウーラオスの初手圧力で「まもらない」ことを強制させ、
カイリューの「でんじは」「アンコール」で盤面を整える。
そこから黒バドレックスの積みによる崩しを狙う。
【個体紹介】
カイリュー
カイリュー @ おんみつマント
テラスタイプ: ノーマル
特性: マルチスケイル
性格: いじっぱり
179(100)-204(252)-116(4)-108-121(4)-119(148)
アンコール / でんじは / しんそく / つばめがえし
[調整意図]
H...6n-1
A...特化
S...S-2「こだわりスカーフ」90族(=準速ペリッパー)+2
[解説]
テラスタルの王。
このルールにおいて、カイリューはタイプや特性の面で非常に優れたスペックを持っているものの、構築の初期段階で安易に採用すると、白バドレックスに対する選出の整合性が取りにくくなる場面が多く、扱いづらさを感じていた。
「ブリザードランス+ねっさのあらし」の並びに対して明確な回答を構築内に用意した上でカイリューを採用すると、選出の柔軟性と安定感が一気に向上した。
役割としては、隣で圧力をかけつつ、相手の積み展開にリスクを与えることで、取り巻きの崩し補助を担う。対面構築への補完枠としても優秀。
耐性面では、じめん技の一貫を切りながら、ウーラオス・みずテラス黒バドレックス・どくテラスディンルー・ガオガエンと相性が良く、縦の補完を取りやすい。攻撃面でも、黒バドレックスとのリレーが成立しやすく、ディンルーとの並びも噛み合っている。
技構成は「でんじは」「アンコール」によって積み展開に明確なリスクを与え、「このゆびとまれ」、ゴリランダーのような草タイプに対する圧力として「つばめがえし」を選択。また、「つばめがえし+ノーマルテラスしんそく」の組み合わせで、ウーラオスを処理することもできる。
配分は、対面選出でも腐りにくいようにA特化とした。
持ち物は「おんみつマント」。構築における黒バドレックスがみずテラスを切る関係上、「ねこだまし」への耐性が失われる場面が多くなるため、その穴を補う意図で持たせている。
テラスタイプはノーマル。自分は黒バドレックスがこのルールにおいて最強だと考えており、それを前提とするなら、構築内に以下の2つの対策を用意する必要があると感じた:
・アクロ系の黒バド対策 → あくタイプを2体、あるいはフィールドを書き換える枠
・積み系の黒バド対策 → ノーマルタイプを採用し、「アストラルビット」を単体技にさせる構造
この「2あく+1ノーマル」というテンプレートを成立させるうえで、ノーマル枠として自然に組み込める存在が、このカイリューだった。
みずウーラオス
ウーラオス(連撃) @ きあいのタスキ
テラスタイプ: ゴースト
特性: ふかしのこぶし
性格: ようき
176(4)-182(252)-120-74-80-163(252)
みきり / ちょうはつ / インファイト / すいりゅうれんだ
[調整意図]
最速AS
[解説]
普通の熊。
黒バドレックス+ウーラオスという並びで、初手に黒バドレックスで全体技を通し、裏のウーラオスでスイープを狙う展開は非常に強力。しかし、相手がフェアリーテラスを切ってきた場合、あくウーラオスは腐りやすくなる。人格半減テラスを切られても、みず技の通りは変わらない点を踏まえると──
人格と元素、両方の要素を構築内で自然に揃えられる黒バドレックス+みずウーラオスの並びが、もっとも理にかなっていると判断した。
役割はシンプルな一貫性アタッカー。
技構成はテンプレートに近いが、黒バドレックスが展開に弱いという弱点を補うため、「ちょうはつ」を採用している。
「きあいのタスキ」+最速によって、ミラー時の持ち物判別が容易になり、相手がいじっぱりASであっても同速勝負を避けられるのが地味に偉い。
テラスは基本的には切らないが、「グラスライダー」意識でくさテラスを採用していた。しかし、現環境で増加しているカイリューやドーブルに強く出られるよう、現在はゴーストテラスに変更している。
黒バドレックス
バドレックス(黒馬) @ のろいのおふだ
テラスタイプ: みず
特性: じんばいったい
性格: おくびょう
199(188)-94-111(84)-195(76)-121(4)-209(156)
まもる / めいそう / アストラルビット / サイコキネシス
[調整意図]
HB...A200「てだすけ」「すいりゅうれんだ」を94.9%で耐え
C...ダブルダメージ「アストラルビット」で162-156ハバタクカミを高乱数一発(75%)
ダブルダメージ「アストラルビット」+「ゴツゴツメット」ダメージ1回で無振りみずウーラオスを確定
ダブルダメージC+1「アストラルビット」で等倍「すいりゅうれんだ」耐え調整の化身ランドロスを高乱数一発
ダブルダメージC+2「アストラルビット」で「こだわりメガネ」ミライドンの「りゅうせいぐん」耐え調整のほのおオーガポンを高乱数一発
HD...「フレンドガード」込みでC187「こだわりメガネ」ミライドンのエレキフィールド「イナズマドライブ」を最高乱数以外耐え
S...最速135族抜き、「おいかぜ」下の準速アカツキガチグマ抜き
S-1状態で準速テラパゴス抜き
[解説]
言い訳のできる、世界一ずるいポケモン。最強のみず。
このルールでは、みずウーラオス、タケルライコ、化身ランドロス、ほのおオーガポンといった高火力単体技持ちの一般枠を2体並べて、初手からじゃんけんを仕掛けるような出し方が定番として存在する。そうした構造に対して、「択をしない」という選択を取れる黒バドレックスは、自然と採用されやすくなる。
このポケモンの性質上、展開的な使い方もサイクル的な使い方も、どちらでも強く扱える。補助技の選択肢が広いため、試合のあらゆる時間軸において強い行動を取り続けられる。
S26では、積み技を切って「おにび」を採用していたこともあった(今回は見送ったが)。テラスを序盤に一般枠に切ったあと、終盤に「ふいうち」などで縛られる展開になっても、「おにび」や「みがわり」といった、こちら視点での安定択を通すことで、一気に試合の流れを変えることもできる。
技構成は、「どくタイプ」や「ワイドガード」に強く出られる「サイコキネシス」、そして火力を上げながら特殊伝説に強くなる「めいそう」。
持ち物は「のろいのおふだ」。火力・耐久・素早さ配分のバランスがよく、安定感があると感じた。「いのちのたま」も候補だったが、黒バドレックスに対してよく見られる動きが「まもる+アストラルビット半減枠での攻撃」であることを考えると、自分のHPが削れる「いのちのたま」は、やはりリスクが高く、不安が残った。
配分については改善の余地があると考えている。特にHCミライドンの増加を踏まえると、もう少し火力に寄せた配分のほうが良いかもしれない。
テラスタイプは構築経緯の通り「みず」。
・役割対象の範囲が相手視点から見えにくく、遂行の安定感が高い
・「耐性テラス」+「一貫性の高い全体技」によって、自然な形で役割破壊が行える
本来、「元の弱点を半減にしつつ、役割破壊を仕掛ける」というのは、テラスタルの王道かつ強力な使い方である。
しかし、黒バドレックスの弱点はすべて人格タイプ(あく・ゴースト)であり、それらを半減できるテラスタイプは必然的に元素ではない。そのため、相手視点でも「黒バドには元素技が安定」と判断されやすい。
実際、自分もガオガエンで「はたきおとす」ではなく、「フレアドライブ」を黒バドレックスに撃つ場面が多い。
だからこそ、黒バドレックスにはまず「元素タイプに対する耐性」が求められると判断した。
みずテラスによってその条件を満たしたうえで、次に必要となるのが──その後の技の通しやすさ、すなわち一貫性である。
そして「アストラルビット」は、まさにその一貫性を備えた技だった。
こうして、受けと攻めを自然に両立できる構造が完成した。
ディンルー
ディンルー @ とつげきチョッキ
テラスタイプ: どく
特性: わざわいのうつわ
性格: いじっぱり
247(132)-168(180)-158(100)-67-112(92)-66(4)
カタストロフィ / じしん / バークアウト / ヘビーボンバー
[調整意図]
A...ダブルダメージ「じしん」でA200みずテラス「アクアジェット」耐え調整のイーユイを高乱数一発
「ヘビーボンバー」でA200「すいりゅうれんだ」耐え調整のハバタクカミを高乱数一発
HB...A200みずテラス「すいりゅうれんだ」を83.2%で耐え
D...あまり
[解説]
異常の鹿、まもじしんの鬼。
黒バドレックス構築における「とつげきチョッキ」枠には、自分は「特定の特殊耐久が高いポケモンに対して潰し性能の高い物理アタッカー」であることを重視していて、候補としてはゴリランダーやテツノカイナも挙がっていた。
その中でディンルーを選んだ理由は、全体技を使えること、出し負けを最小限に抑えられる「カタストロフィ」を覚えること、「ハバタクカミ+イーユイ」に対してテラスを強要されないこと、イエッサン系に自然に強く出られること、「でんじは」や「イナズマドライブ」への拒否性能があること──とにかく対面構築への強みが多かったから。
ただし、サイクル構築に対してはやや不安が残る。「ゴリランダーの存在によって『じしん』の通りが悪くなる」「『カタストロフィ』以外の崩し性能が控えめ」「対面操作が行えない」といった点は気になった(自分がサイクル向けの型を見つけられなかっただけかもしれない)。
役割としては、シンプルな対面アタッカーでありつつ、定数ダメージを使った展開役にもなる。
交代の価値を高める構築を目指すうえで、「わざわいのうつわ」によるダメージ軽減は非常にかみ合っている。
たとえば、黒バドレックス+Xという盤面で、黒バドレックスが不利を取る場面。たとえ「まもる」ができても、実際には即引きしたいことが多い。そんなとき、隣のポケモンにまで耐久補助が効くのは大きな強みとなる。
黒バドレックス・ピッピ・ガオガエンという3体では、ピッピの特殊耐久を補う手段がなかったが、このポケモンを採用すればそれが成立する。
「フレンドガードに、さらにフレンドガードを重ねる」──介護する側を、介護する。その構造が気に入っていたのも、ディンルーを使い続けた理由のひとつだった。
技構成は、
・じしん:全体技。
→ 初手で黒バドレックスと並べた際、黒バドが「まもる」を選びやすい都合上、「まもる+じしん」の動きが自然に強い。
→ 隣がピッピの場合、「ピッピが動かなくても『フレンドガード』が機能する」ため、この動きが成立しやすい。
→ 隣がガオガエンのときは、「すてゼリフ → カイリュー」+「じしん」という展開が可能。
・カタストロフィ:誰にでも通る安定行動。
・バークアウト:特殊アタッカーへの牽制と、黒バドレックスの起点作り
・ヘビーボンバー:フェアリーへの打点。
全体技への耐性を重視したため、フェアリーではなく「どく」を選んだ。
どくテラスは、人格タイプだけでなく元素タイプの弱点も同時にカバーでき、ディンルーとの相性が非常に良かった。
たとえば「こだわりミライドン」に対して、初手から「イナズマドライブ」をディンルーに撃ってくる──そんな展開も少なくない。だからこそ、自分は初手でテラスタルを切らずに、まずはこだわりかどうかを確認し、次のターンに動き出すというプレイを好む。
これは、シングルバトルにおける「一度受け出して、次のターンに耐性テラスで返す」──その感覚に近い。
ピッピ
ピッピ @ しんかのきせき
テラスタイプ: くさ
特性: フレンドガード
性格: のんき
176(244)-65-106(228)-80-90(36)-47 *S26
まもる / このゆびとまれ / いのちのしずく / てだすけ
[調整意図]
HB...特化白バドレックスのダブルダメージ「ブリザードランス」を90.4%で2耐え
HD...「わざわいのうつわ」込みでC187「こだわりメガネ」ミライドンのエレキフィールド「イナズマドライブ」を7/8で耐え
S...最遅50族より遅い
[解説]
ふわふわの妖精。
この枠はもともと「オッカのみ」モロバレルを使っていたが、いくつかの理由で採用を見送った。
・単体技に強いが、全体技に弱く、でんき単体+こおり全体への受け出しができない
・見えないくさテラスや「ぼうじんゴーグル」に明確な裏目を取られる
・「オッカのみ」を採用しても、取り巻きの「ちょうはつ」をケアできない
そしてじめん全体技対策を考える中で、「ブリザードランス+ねっさのあらし」や「ねっぷう+だんがいのつるぎ」の両方を受けられるポケモンがほとんどおらず、タイプで受けられないなら特性で受けようと考え、ピッピにたどり着いた。
「このゆびとまれ」によるサポートだけでなく、交代の価値も高められ、全体技にも対応できる。ガオガエンとの縦の相性も良く、この枠がピッピであることに納得感があった。
ただ、構築全体の元素バランスがやや崩れていた感触もある。
技構成は以下の通り。
・採用理由そのものである「このゆびとまれ」
・立ち回りを安定させる「まもる」
・味方が「まもる」しているターンにも回復できる「いのちのしずく」
最後の一枠は自由枠。「てだすけ」は強力だが、必須ではない。
このポケモンがもっとも腐りやすいのは、「隣が交代しなければならない場面」、なおかつ「相手が攻撃せず、積んでくるような展開」。そのときは「アンコール」が非常に強い行動になるため、採用する価値は十分にある。
配分は単体技を意識したHB寄り。
テラスタイプは、みず+でんきの両方を半減できる「くさ」を選択した。
ガオガエン
ガオガエン @ ゴツゴツメット
テラスタイプ: みず
特性: いかく
性格: しんちょう
201(244)-135-124(108)-90-143(156)-75 *S20
すてゼリフ / ねこだまし / はたきおとす / フレアドライブ
[調整意図]
HB...「フレンドガード」込みで特化ザマゼンタのB+1「ボディプレス」を7/8で耐え
特化白バドレックスの「インファイト」を7/8で耐え
D...11n
S...ミラーで下から「すてゼリフ」意識で低め
[解説]
ダブルバトルの魂。「択を仕掛ける」のではなく、「択を自分に都合よく作り直す」存在。
「いかく」によるダメージの軽減、「クリアチャーム」の強制
「ねこだまし+攻撃」「ねこだまし+積み」による1対1の有利対面作り
「ねこだまし+交代」「すてゼリフ+交代」による不利対面のリセット
「ねこだまし+ふかしのこぶし」による詰め
「すてゼリフ+攻撃」による有利対面の維持
「すてゼリフ+まもる」による有利不利の判断、次手への連結
「すてゼリフ+いのちのしずく」による味方の回復
ガオガエンと相性の良い伝説を採用することで、自然とガオガエンの選出が増えて、試合展開も落ち着きやすくなった。
技構成は、
・みずテラス黒バドレックスやディンルーが苦手な草タイプを処理できる「フレアドライブ」。展開要員のエルフーンを「倒したいときに倒せる」動きが取れる。
・タケルライコの「とつげきチョッキ」、ミライドンの「おんみつマント」、テラパゴスの「たべのこし」など、相手の大事な持ち物を落とす「はたきおとす」。
持ち物は「ゴツゴツメット」。みずウーラオスに明確に強く出られる。
HD振りは、テラパゴスへの繰り出しを意識。
テラスタイプはみず。緊急時にみずウーラオスに対して切る。
【おわりに】
ここまで読んでくださりありがとうございました。
スペシャルサンクス
構築理論を考えるうえで、参考にさせていただいた皆さま。
ランクマッチでぐるぐるサイクルを回してくださり、感想を交換してくださった皆さま。
こちらが2回とも負けた試合にもかかわらず、一番納得のいく対話構築のプレイングを見せてくれた Eduさん。
ポケモンを考えるのが大好きで、構築相談から記事の執筆まで支えてくれた ねさん。今月のランクマも、心から応援しています。
おまけ
たぶん、伝えるためじゃなく、残すために。
レギュレーションGというルールは択が多く、環境も長期化したことで、気づけば「ある有名な構築に勝たなければ、構築って呼べない」──そんな空気に押されて、ただ目の前の勝ち負けばかりを追いかけていました。
構築全体の関係性を丁寧に整える時間も、気力もなくなって、「こうすれば勝てるから、そう動く」という理由だけで、選択を積み重ねるようになっていた。その先にあったのは、勝つための義務感ばかりで、だんだんとポケモンというゲーム自体が、好きでいられなくなる感覚でした。
今回の最終構築も、最終的には環境に合わせただけのもので、でんじはカイリューを採用した時点で、「構築の綺麗さ」や「立ち回りで勝ち切る理想形」からは、遠ざかっていたと思います。
でも、「納得できないまま最終日に入る」──それだけはしたくなかった。だからこそ、普段なら採らないような型にも手を伸ばして、少し無理をしてでも形にしました。
全対応できる枠が見つからなかったのは、単に自分が下手だっただけ。時間が足りなかっただけかもしれません。もしかしたら、全対応構築なんて、本当は不可能じゃなかったのかもしれない。
カイリュー自体は、確かに噛み合っていた。けれど、それ以上に綺麗に整える未来を目指すことは、途中で諦めました。
全対応には程遠く、構築としての完成度は高くなかったかもしれませんが──それでも、構築を考える時間そのものは、間違いなく楽しかったです。次は、もっと綺麗な構築を作れるように。