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お届けチームがイベント駆動アーキテクチャを採用した理由

ネットスーパーで注文された商品が効率よく確実にお客さまのもとに届くためには、店舗でのピッキングやパッキング、配送といった業務が必要となります。この業務を支えるStailer上のアプリケーション開発を担っているのが、お届けチームです。

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お届けチームは昨年「イベント駆動アーキテクチャ」を導入する取り組みを行いました。イベント駆動アーキテクチャをどんな狙いで導入し、どんな成果が得られたのか。お届けチームの開発メンバーである鈴木さんに聞いてみました。

イベント駆動アーキテクチャ: イベント駆動アーキテクチャは、システム内で発生するイベントをトリガーにして処理を実行する設計パターン。コンポーネント同士が直接やり取りをせず、イベントを介して情報を共有するため、疎結合になり、スケーラビリティと柔軟性が高くなる。イベントはイベントバスやメッセージキューを通じて通知され、受け取ったコンポーネントが必要に応じて処理を行う。

密結合なシステムの課題

── まず最初に、どんな課題を解決するためにイベント駆動アーキテクチャを導入しようとしたのか、というところを聞いてみていいですか?

鈴木: はい。 元々あった課題として、Stailerはいろんな領域のデータだったり、コードだったりと、いろんなものが密結合になってたんですね。 密結合になってるがゆえに、ソースコードを触るときに、あっちにお伺いを立てて、こっちにお伺いを立てて、みたいな一つ触るのにも気にすることが多いという状況でした。そうした、開発の面での認知負荷が高いというところが1つ。

それに、障害リスクの観点がもう1つ課題としてありました。ネットスーパーをやってると、エンドユーザーが利用するECサイトと、店舗のスタッフの方が利用するシステム、2つのシステムを管理する必要があります。店舗向けのシステムで障害起きてしまうと、ECサイトまで注文できなくなるようなシステムが本当にいいシステムなのか?というと、そうではないと思うんですね。

実際、密結合がゆえにスタッフ向けのシステムの面がちょっと壊れたりすると、エンドユーザー向けのECサイトでも注文が受け付けられないといったような障害に繋がる、カスケード障害のリスクが当時はいろんなところに点在していました。そういうのを解決したくてイベント駆動を採用しようとしてた。 ってとこですかね。

Eventarcの活用

── そうしたモチベーションでイベント駆動を導入し始めたと思うんですが、導入するにあたってどんな部分が大変でしたか?

鈴木: そうですね。やはり、スタート地点でコードやデータがすごい密結合になっていたので、これをどうやって分解しようかな、というところですかね。イベントをどうモデリングするかっていうのは、頭を抱えましたし、モデルって、常に省みるものなので、今でもこれは正しいのかなぁ、どうなんだろうなぁっていうのは、悩み続けているし、大変だったところですかね。

一方でより技術的な面でいうと実はそんなに大変ではなかった、 とは思っていて。弊社ではFirestoreを中心的なアプリケーションのデータベースとして使ってるんですけど、それがEventarcっていうイベント駆動のためのサービスとうまく繋げることができたので、イベント駆動をシステム的に実現するっていうのは、思ったより大変ではなかったとこでした。

Stailerでは主にDB(Firestore)上の特定のデータの書き込みや更新をトリガーとし、Cloud Runを経由して期待されるコンポーネントの処理が実行される。

Eventarc: Google Cloudの内外のイベントを統合して処理できるサービス。Cloud StorageやCloud Pub/Sub、Firebaseなどからのイベントをトリガーにして、Cloud RunやCloud Functionsで処理を実行することができる。

意思を持って言葉を定義すること

── モデリングをちゃんとやろうとしたとき、使ってる言葉がブレてるとか、そもそも言葉の定義が決まってないみたいで苦労することがあるんじゃないかと思うんすけど、その辺で何か工夫されたこととかってありますか。

鈴木: まず、自分たちで決めないと、その言葉がないってことからスタートだなって思ってまして。

例えば会計とかクレジットカードみたいなドメインだと、その業界の中でいろんな言葉があったりするんですけど、僕らの作ってるピックパックってそもそも紙ベースで仕事がされてた頃からシステム化しましたっていう経緯がありまして。

紙のときにはそもそもやってなかった業務が増えてる。 増えた業務ってまだ名前がなかったり、ふわふわしてたり、名前があるけど、実は何かお届けの領域にとっては正しくない名前をしてるとか。

そういうのが多かったんで、自分たちでこれはこういう言葉を使うんだっていう強い意志を持ってことを決めるっていうことがすごい大事でした。そこで、そのユビキタス言語辞書を作ってみるっていうのはすごいやってよかったというか、これがなかったら厳しかったなっていうとこですよね。

お届けチームのユビキタス言語辞書の一部

── モデリングを見直したときって、既存のデータ構造を変えるみたいな必要があると思うんですけど、実際動くものがある状態でデータ構造とかモデルを変える大変さってありましたか?

鈴木: そうですね。 もちろんデータマイグレーションとかは大変なんですけど、幸いにもお届けチームが受け持つ領域って、一つのデータの生存期間というか、使われる期間が非常に短いんですね。

お客さまが注文を入れてから、手元に行くまでの間で扱われるデータなので、長くても2週間ぐらいで役目を終えるし、後からその生のデータを省みるってことはあんまりないんですよね。

データの生存期間が短いんで、並走期間はその2週間分を見てダブルライトして短い期間の移行期間を経て対応できたので、実はそんな大変じゃなかったんですよね。

イベント駆動アーキテクチャの恩恵

── お届けチームが持ってるコンポーネントと他のチームのコンポーネントが密結合だと、境界上から見えづらくてモデリングしづらいみたいなところとかもあったりするんじゃないかなと思うんすけど、その辺で苦労されたこととか、工夫されたことってありますか。

鈴木: そうですね。 ピックパックの話で言うと、幸い他のチームが運んできたものを最後扱うところなので、比較的自分たちの都合で決めるというか、あんまりお伺いを立てずに進められたかなとは思ってますね。

なので他チームとのインタラクションという観点だと、ここまではあんまり苦労はなかったです。ただ、チームの中で発見したり、作った言葉を他チームに浸透していく大変さを、これから味わっていくんだろうな、というのは予感しています。

── イベント駆動アーキテクチャを導入してみて、実際にどんな恩恵が得られましたか?

鈴木: 保守性の話にも繋がると思うんですけど、イベント駆動で開発をするとイベントを大事にするからモデリングをしっかりする、といったようにモデリングする動機付けになったという部分があります。

また、イベントを保存して扱うというやり方になったので、トラブルシューティングのときに信用できる事実が溜まってくってのはすごい良かったことですね。

以前からも業務の生産性を計測するために、いわゆるGoogleアナリティクスにログを送るみたいなことをしてました。 広い意味だとそれもログではあるんですけど、どうしてもデータが使いにくかったり、実際にシステムに反映されてる状態と、Googleアナリティクスにあるログは乖離し得るものなので、何かデータの不整合があるんですけどみたいなことがあったりしました。

イベント駆動を始めてイベントを保存するようになってから、それを基準に業務の生産性を図ることができるようになりました。システムの都合で変な不整合が起きないっていうのは、明確に前進したかなっていうところですね。

理想のモデリングを志すことに価値がある

── 正しく業務の内容を記録するされるっていう副産物も得ることができたってことですね。ありがとうございます。 最後に何か今、この話を聞いて、イベント駆動を自分をやってみたいなってなった人へのアドバイスとかってありますか。

鈴木: いろいろあるけど、やっぱりイベントを通してモデリングする業務に着目することですね。この業務の中ではどういうことが起きるんだろうっていうのに着目して作っていくことが何よりも大事かなって思ってます。

あとはイベント駆動なので非同期処理が入ってくると、非同期であるが故に技術的に難しいことがたくさん出てくる。 そこは失敗しながら、学んでいくしかないのかなと思ってます。

それから、もし仮にですけど試してみたが、やはりイベント駆動はやめておこう、という結果になっても、イベント駆動を志してモデリングした経験は残ると思うんですよね。イベント駆動アーキテクチャを最終的に採用しなくても、今後の自分のモデリングの糧にはなるはずなので、ぜひやってみるといいんじゃないかなと思います。

モデリングを大事にしてやってみると良い、というのは明確にアドバイスの一つかな、と思います。

── なるほど。イベント駆動が導入されたこと自体より、業務があるべき姿にモデリングされていることこそが一番良い成果、というような。

鈴木: そうですね。志すといいますか…あるべき姿、完璧になるってことはやっぱ難しいし、出来ないかもしれないんですが、でもそれを目指す。 目指して、頭の中に理想がある状態を作る。足元の現状を考える際にそうした理想とのギャップを考えることができると良くて、それをさらにシステムに反映できるとより良いな、と思ってます。

おわりに

10Xではより良い設計、より良いモデリングによってプロダクトや事業を成長させたい、というソフトウェアエンジニアを募集しています。 この記事を読んで、自分も理想のモデリングを志したいと、と感じた方はぜひ下記をご覧ください。 open.talentio.com




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