前回:『林の本質について』第四話「理の外」 - 純正受けル批判
賢者「今のままでは林は対面性能も無ければ高火力による崩しもできないただのゴミということになってしまう。理論を愛する人よ、其方に問う、林が持つ否定的ではない性質とは如何なるものか」
きてふわ「それは難しい問題です。見たところ林全てに共通するような性質は無いように思われます。しかしそれぞれの林に注目してみれば、それが林たる所以であるところの性質のようなものを見いだすことはできましょう。例えば古来より典型的な林のポケモンとして知られているウォッシュロトムについて言えば、役割対象に対して受けだしてからボルトチェンジによる対面操作をすることを主な役割とするポケモンでありながら、数値不足感が否めず有用な再生技も無いことが、それが林である所以であるように思われます。以上の特徴はガオガエンにも当てはまると言えるでしょう。」
賢者「我にもそう思われる。では他の林についてはどうか」
きてふわ「アーマーガアは対面操作を役割とする低種族値のポケモンという意味ではこれら2体の林と同じですが、このポケモンには羽休めがあり、これがミトムよりははやしくない理由だと思われます。他方で立てこもるヌメルゴンは対面操作技は使いませんが、積み技による要塞化を目指すポケモンでありながら再生技が無い点がこれを林たらしめる元だと思われます。すなわちアーマーガアとは逆に有限であるために林となっているのです」
賢者「素晴らしきかな、偉大なる同士よ、もはやかくまでの高みにまで至っておったとは。ではサーフゴーについてはどうか」
きてふわ「それはとりわけ難しい問題です。サーフゴーは型にもよりますが、例えば隠密マント持ち、巧み再生2ウェポンのような型の場合、再生技があり対面操作もしませんが、やはりースカーフは風、メガネは火ですが-林でしょう。しかしこれが何故か説明することは、もはや私の能力の範囲を遙かに超えているようです。一応このサーフゴーは、対面性能が低く、かつ高火力では無いポケモンという、はじめに示した林の必要条件を満たしてはいますが。一体この問題はいかにして解けば良いのでしょうか」
賢者「では其方はサーフゴーは林ならずと考えるのか」
きてふわ「恐ろしいことを―たとえ冗談だとしてもーおっしゃらないでください、決してそんなことはありません。当然ご存じのこととは思いますが、かの祖の言葉に『うるせえ、今日からサーフゴーは林だ!』とあります。それゆえ間違いなくサーフゴーは林です。」
賢者「其方の言うことは全て正しい。しかし物事には原因があることもまた事実なり。しかし其方はサーフゴーが林たる所以を答えられぬように見えたが」
きてふわ「この問題について、私はどうしたら良いのでしょうか...」
賢者「我は先ほど物事には全て原因があると述べたが、それを全て人間が把握できるとは限らぬ。人間には決して知られぬ真理も残念ながらこの世にはあるのだ。しかし不幸中の幸いか、そのような真理の一部が人間に示されることがある。祖の言葉もその一つなり。祖の言葉とは、そうした真理を卑小な人間に示したものなのである。かくして我ら人間は世界の深奥なる真理の一部にーごく一部にー触れる。これは理性によるのでは無い、信仰の賜物なのだ」
そう語る賢者の目は、思考を尽くして林に漸近せんとする身でありながら、眼前に広がる壮麗な世界と、遙か世界の果てに今なお健在であるはずの聖人と神々への畏敬に満ちていた。
続く