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修士課程を卒業しました

京都大学大学院情報学研究科の修士課程を卒業しました。2年前には考えられなかったことだが、これはただの通過点になってしまったので何のことはない。これからの3年が本番なんだろうと思う。

何をしていたか

学部の時に比べると変化はなかったといってよい。自分にとって特筆すべきことはしなかったかなあ…と言う感じで停滞の2年間だったといえると思う。よく言えば今後に向けた種蒔きの時期だったとはいえるかもしれない。いま思えば、修士の1年目は学部の延長の色がかなり強く、修士2年目に入ってから大学院が始まったようにも思える。

修士1回生

大学院に入学しても単位を取らないといけなかったので適当に授業をこなした。とはいえ、親からの仕送りが停止して奨学金という名の借金をしており、返済の免除基準のひとつに成績があるとのことだったので、できるだけ良い成績が取れるようには気をつけた。とりあえずその基準を満たすための全単位をA以上には載せるというノルマはクリアできた。情報論的学習理論と統計的信号処理の講義は面白かった。

研究室の非平衡統計力学のゼミがしんどかった。計算は追えても気持ちは結局わからなかった(というか物理学に対する興味がなくなってきている;本質的には数式を見るのが楽しいだけである)。

研究の面では学部の卒論の続きをいい感じのところまで持っていったが、色々あって止まってしまった。これは自分が怠惰なことが原因なので、最近はこれを片付けている。いくつか学会では発表した。

たまに宇宙線の研究室には顔を出している。学習物理学でLLMやってる先生に知り合った。

バイトに関しては学部時代は4つ掛け持ちとかしていたが、基本的にはプライバシーテックな周辺に一本化されて、それを粛々とこなしつつも、これに関係してセキュリティキャンプのチューターをやったりもした。

インターンに2つ応募してみたが両方落ちた。そういうこともあろう。とはいえ応募する分野がちょっとズレていた気もする。

個人discord鯖を作成した。どうでもいいメモとかurlをとりあえず書き留めておくだけでなく、論文リンクを投げるとそこで対話形式でGPTとかと会話できたりとか、自動でnotionに要約を転記させたりとか、今となってはこれなしではやっていられないと感じる。

修士2回生

博士進学するか、という気持ちになる。ということで就活等も特になく、授業からは解放されたので基本的には研究を頑張りましょう、というフェーズに入った。が、夏休み前までは学振だとか博士課程の院試の準備だとかで何も進んでいなかった気がする。某LLMをフルスクラッチで作るみたいなプロジェクトの手伝いをやったりもしていたが。

研究面では、博士進学するなら深層学習の理論やりたいな〜と思っていた(自分の深くにあるモチベーションは情報技術の理論の最先端に携わることだが、自分の数理的興味と自分のいる環境のバイアスによりいちばん興味が向いたのがここだったというわけである)のでそれ周辺でテーマ探しをしたりしていた。テーマは決まりきっていなかったが、とりあえず夏にどこかで学会発表しておきたかったので、適当な実験をするだけしておいて、理論はあとで考えますってことで、見切り発車で申し込んだりしていた。理論は学会にはなんとか間に合った。秋には学習理論の国内学会にも行ったりした。

バイトに関しては相変わらずである。

年度末あたりには、某フカシギお姉さんな研究室の勉強会に顔を出すようになったり、産総研の研究員の方と交流して自分の研究にアドバイスをいただけるようになった。前者は自分からでは見なさそうないろんな分野の情報科学な話を聞けたりするだけではなく、同年代付近の人と交流できるので、知識の面ではなくてメンタルケア的な意味でも良さそうである。後者は、これからの自分の研究にはかなりクリティカルだと思う。深層学習理論を専門にされている方で、毎回話すたびに勉強になっている。

学会でしばしば旅行には行った。個人旅行では南端と西端に行った九州旅行が本当に楽しくかなりいい思い出である。

その他特筆すべき事項

はやおきバイアス

平日は毎日朝8時45分から研究室で同期と論文を読むようになった。ただししょっちゅう寝坊していたので、毎日といいつつ平日の半分くらいかもしれない。どちらにせよ午前中に起きるバイアスみたいなものはかかるようになった。

英語力の向上

この論文読みのおかげか、最近ではdeepl翻訳に論文をぶち込んで翻訳してもらわなくても、ある程度英語のままで読めるようになった(もちろん分からない単語は調べることもあるが)。高校の頃は学年で下から数える方が早いような英語の点数を取っていたりしたことを考えると、かなりの成長である。とはいえ、負荷は大きいように感じるので、とにかく数をこなすしかないかとは思う。

食事

食事面では、朝はファミマかローソンのスティックパン(3本or6本入り)、昼は正門に来ている弁当屋さん、夜は学食が定着した。寝坊した時は百万遍にあるケバブ屋でテイクアウトすることが多くなった。日曜日や祝日は正門に弁当屋は来ないし、学食もやっていないが、定食屋や惣菜屋に行くことが多くなった。その関係で松屋はよく行くようになった。ラーメンはあまり食べなくなった。

Vtuber

修士1回生の夏頃にホロライブにハマった。元々アイドル系にはあんまハマるとは思ってなかったので意外かもしれない。とはいえアイドル色が一番出るであろうライブとかはあまり見ていなくて、見ている配信は大体雑談か、雑談色の強いライバー同士がコラボして喋ってる配信だったりする。五目並べ配信とかジオゲッサー配信は面白い。そのため睡眠時間はVtuberの配信終了時間に握られているといっても過言ではない。

ちなみに、周囲でホロライブにハマっている友人はおらず、バイト先の社員さんとたまに話す程度である。にじさんじファンはいるがinterestingなものに興味をひかれている印象があるし、自分もホロライブを見ていてもホロライブカラーが出そうなアイドルチックなものはほとんど見ていないしで、この点、アイドル色は京大生とは馬が合わないのかもしれない(主語クソデカ)。

ジャグリング

きっかけは忘れたが、研究室同期がジャグリングサークルに入っていて、それを見て自分もやってみようみたいなブームがあったような気がする。体を動かすことは大事だし、新技ができるようになると楽しい。中学高校時代にジャグリング部によく顔を出していたが自分はといえばその部活の友人におしゃべりしに行くために行っていただけでジャグリングは全くやっていなかったので、ここにきてジャグリングを始めたというのは中々胸熱展開(?)である。

何が得られたか

学部時代に比べると全然勉強をしなかったのは反省点ではあると思う。あとは人生に対するモチベーションもあまり沸かなかったのでやる気もなかった。怠惰すぎた。

ただし、論文を読む習慣はついた。あとは色々な分野の専門家とのコネクションができたのはいいことかもしれない。昔からだが、自分は色々なところに顔を出して話を聞いたりするのが性にあっていると思う。

これからどうするか

博士課程に進学することにしてしまった。2年前の自分がこの話を聞いたら耳を疑うかもしれないが、正直あの時点で就職するビジョンはなかったのですんなり受け入れてしまうかもしれない。

博士課程進学を決めた理由

表面的な理由としては自分の周囲にいる博士号を持つ人間は尊敬できる人ばかりだ、とか、情報科学分野なら就職には困らなさそうだったから、とか色々言うことはできるが、一番の要因は自分の人生の行動原理に矛盾しなかったから、この選択もありえた、ということになるだろう。

ここからはかなりポエム的な話になる。

...

自分の人生の行動原理について考えたことがあるだろうか?ある日、友人とこの話になり、初めは全く言語化できなかったが、しばらく考えた後に仮説をもつことができた。現状の人生の行動原理(仮説)は

「自分を絶対的に安全が保障された領域に置き続けること」

だと思う。自分は他人に思われているほど活動的な人間ではないし、活動的だと思われていたとしても、それはできるだけパッシブであるための消極的な行動である。これを実現するために自分がとっている手段が

「自分が得意・知っている分野をできるだけ多く作り、各分野をできるだけ深く知っておくことで自分を守る」

というものではないかと考えている。この原理や手段は、人それぞれ、これまでの経験や、いま所属するコミュニティそして能力によって様々だと思うが、自分にとって、現在の自分の近傍で安全に、そして快適に生活を行うためにはこの手段をとることが一番やりやすく、またわかりやすかったんだと思う。

自分が他人より比較的得意だろう思われる能力のひとつはリサーチ力で、これが自分を守るための武器であると思う。ある調査目的が設定されたとき、他人と比較するとどのように調査すれば最短経路でその目的に到達できるかを見極めるのがうまいような気がする。また、このようなリサーチの過程やその結果を、直接伝えるのはコミュ障なところがあるのでうまくできるとは思わないが、一息おいて軽く考えを整理し、文章表現として纏め上げて残すという行為自体は他人よりも優れているのではないかと思う。(適切な調査目的の立て方と、整理する前にその場でクイックに結果を伝えられるところは、改善するべき箇所だと思う;この生成AI時代においてはいずれAIに代替してもらえそうな気もするが、入力に駆動される形態がとられている限り、いい感じの入力を作り出したりする能力は依然と重要になるだろう。いわゆるプロンプトエンジニアリングというやつ)

このリサーチ力を駆使しながら知識をひたすらに集めて蓄積することで、セーフティーネットを構築して増やすための材料としているのだと思う。この能力を伸ばすと、他人との差別化になるのはもちろんだが、さらに知識の収集を効率よく行う道具としても使えるはずである。

集められた知識は、当然、自分がやりたい何かのために利用されるが、それのためというよりも、セーフティーネットを作るという側面の方が大きい。やりたいことが成功せずとも、逃げて他の領域に着地することができれば、それは実質的に成功していて、安全性を保障することができるはずである。

...

というわけで、調査から結果をまとめるまでの過程を訓練しつつ、勉強する時間を確保できるようにするためには、博士課程に進学してもよかったというわけである。

自分はあまり意志のない人間であり、どこかの会社に入って指示に従って色々と作業をする方が向いているとは思っているが、人生において、自分の意思で、自分の考えたプロジェクトを進めることができるのは今だけだろうという要因もあるにはある。たとえプロジェクトの計画がしっかりしていなくても、ゆっくりじっくり考えてやれる時間がとれ、変な責任が発生したり金銭的な損失が生じない環境で色々と試行錯誤できるのは今だけだろう。

進学にあたって経済的な問題があり、そもそもこれがクリアできなければ進学意志関係なく強制就職という感じだったが、幸運にもJSTの博士支援に引っかかり月給25万円とのことだった(学振は20万円なので優遇されているといえる)ので、それなりによい生活は送れると思う。(バイトもしていいみたいだしね!)

社会人博士も考えたが、おそらく社会人になってからはやる気にならないだろうと思ったので、純粋な学生のままで進学することにした。とはいえバイトは続けておこうと思う。バイトは収入が増えて嬉しいというのもあるが、別の視点から情報を仕入れられたり、コミュニティを確保しておくという意味もある。

とはいえどこまでやる気になれるかは疑問である。博士課程学生として研究に励むことだけが人生ではないので、いつでも辞めてよいということは心に留めておきたい。(ありがたいことにバイト先の方々にはいつでも来てください、というような感じで言っていただいているので、食いっぱぐれることはなさそうである)

これからの目標

これから3年の目標はしっかりと掲げておかなければならない。さもなくば何も成し遂げられずにあっという間に過ぎてしまう(まるでこの修士の2年間のように)。

メインクエス

メインクエストは当然「研究をする」である。博士課程に進むのだからしっかり研究をして、結果も出していきたい。その過程でいろいろな能力はつくはずだし、卒業が認められれば、自分としては納得いかなくとも、ある程度の能力はついているはずである。

直近の目標は、まずはしばらく放置していたものをsubmitすることである。また、今の研究でやっている内容がまとまりそうなのでさっさとそれも論文化することだろう。理想としては夏までには全て片付けてしまうことだろう。そして次のお話にとりかかりたい。

主に取り組むのは学習理論的な話題になると思うが、余裕があればプライバシー保護機械学習の話にも取り組んでみたいとは思っている。うまいテーマ設定ができるかは難しいところかもしれない。

理想的には、社会人みたく決まった時間(9時-5時、週40時間的な)には何らか関係することに時間を割くことが当たり前になるとよいだろう。

サブクエス

メインクエストをこなすのは当然のことだが、社会人になったらやる気が出なくなるであろう様々なサブクエストをクリアする必要がある。

重いサブクエストのひとつは「勉強をする」ことである。究極の理想は、「自分が携わりうる情報技術とその周辺の基盤にある数学理論をすべて理解する(知らずともキャッチアップ可能な基盤をつくる)」ことだろう。どこまで腰を据えて勉強できるかは正直わからないが、非常に基本的なことからもう一度やり直してもいいと思う。もう一度やり直すと、あの頃は全く入ってこなかったのに今ならわかるぞ、ということもしばしばあることに最近気づいた。とりあえず現状でちゃんと読んでおきたい本のタイトルとかを挙げておこう。とりあえず思いついたままに書き出したもの:

  • High-Dimensional Probability
    • 買って放置していたため。知っていることも多いけどね。
    • これに関連するならConcentration Inequalitiesとか?辞書かもしれないが
  • 代数学
    • なんでもよいが、問題をといたりしてある程度は定着させたい。いまだに基本的な定義がわからなくなってしばしばバイトに支障をきたすし、社員さんに突っ込まれたこともある
    • 暇があれば楕円曲線論とかもかじっておきたいが…
  • 代数幾何ベイズ統計
    • 本を途中まで読んで放置してしまっているので読み切る
  • 情報幾何
    • よくわからないままモチベーションが終わってしまったので、完全に理解できずともKLダイバージェンスが自然に出てきてスゲ〜みたいな感動が得られるくらいのところまで進めたらいいなと思う
  • 機械学習プロフェッショナルシリーズ
    • 詳細にこだわらずにとりあえず通読して分野の概要を掴んでおく、とかは有益な気がする
  • その他
    • LLMのスクラッチ実装はしておきたい
    • 特異モデルの統計学とか読んでもいいかも

これに関連したサブクエストは「たくさん書く」である。インターネットに公開されている情報として、バイト先で準同型暗号や差分プライバシーの解説記事を書いているが、やはりこうやって纏め上げると、書くのに時間はかかるがある程度頭にも残るし、見返したときに思い出せる。読んだものは面倒がらずにとにかく書くべきだと思う。また、この書くという過程を速くしていきたいというのもある。

重いサブクエストのひとつは「留学をする」である。現状では海外に行くことには興味はないが、海外に行く機会も今後ないだろうし、英語ができないのを環境を変えることで強制的になんとかするという意味でもやっておきたい(世界を広げるのは大切だと思う)。方法にもよるが、どこかの研究室で研究させてもらうのであれば、研究成果があることは必須だろう、という意味では早く結果を出さなければならない。

別のサブクエストは「気軽に旅行をする」である。社会人になっても色々行くことはできるとは思うが、学生のような時間の融通は利かないんじゃないかなあとは思う。それに、立場上、学生にしては比較的お金に余裕がある状況がつくりだせるはずである。多少忙しい時期だったとしても、分野の特性上ワーケーション的にやれる。気持ち的にはその日に東京の友人に呼び出されても行く、くらいの心持ちでいたい。根室夏至に日本一早い日の出を見に行くためだけに行く、とかやりたい。あと、これに関係するが、利尻島での昆布干しのバイトはやってみたい。

あと学部時代に作っていた放射線測定器もこの期間中に可搬型に改良して完成できると嬉しい。測定の機構自体は完成している。そもそもどうやってシンチレーター買うのかが一番大きいところかもしれない。

あとはインターンとかしてみるべきだろうなあとは思う。やる気だけが問題だが、行ってみると大抵楽しくできるのではと思う。


というわけで、しばらくは京都にいるので、知り合いの方とかは(そうじゃなくても京大関係とかTwitterでFF内なら?)ご飯とか気軽に誘ってください。喜んでついていくはずです。こちらから出せる面白い話はないかもしれませんが...




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