おはようございます。今日はブレッドの「涙の想い出(Everything I Own)」です。
You sheltered me from harm
Kept me warm, kept me warm
You gave my life to me
Set me free, set me free
The finest years I ever knew
Were all the years I had with you
And I would give anything I own
Would give up my life, my heart, my home
I would give everything I own
Just to have you back again
You taught me how to love
What it's of, what it's of
You never said too much
But still you showed the way
And I knew from watching you
Nobody else could ever know
The part of me that can't let go
And I would give anything I own
Would give up my life, my heart, my home
I would give everything I own
Just to have you back again
Is there someone you know
You're loving them so
But taking them all for granted?
You may lose them one day
Someone takes them away
And they don't hear the words you long to say
I would give anything I own
Would give up my life, my heart, my home
I would give everything I own
Just to have you back again
Just to touch you once again
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あなたは僕を危険から守ってくれた
あたたかく包んで、あたたかく包んで
僕の人生を与えてくれた
そして自由にしてくれた、自由にしてくれた
僕が生きてきた中で最も素晴らしい時期は
あなたと過ごしたすべての年月だった
僕が持っている全部をあげるよ
命も、心も、家も差し出そう
僕は持っている全部をあげるよ
ただもう一度あなたが戻ってきてくれるなら
あなたは愛しかたを教えてくれた
それが何なのか、それが何なのか
決して多くを語らなかった
だけど、ずっと道を示してくれた
あなたを見ていればわかった
他の誰にもわからないさ
僕の中にある手放せないもの
僕が持っている全部をあげるよ
命も、心も、家も差し出そう
僕は持っている全部をあげるよ
ただもう一度あなたが戻ってきてくれるなら
君にはそんな人はいるかい
すごく愛しているのに、いるのが当たり前だと思っている誰かが
いつかその人を失うかもしれないんだ
誰かが連れ去ってしまうかもしれない
そしてあなたが伝えたかった言葉は
届かなくなってしまう
僕が持っている全部をあげるよ
命も、心も、家も差し出そう
僕は持っている全部をあげるよ
ただもう一度あなたが戻ってきてくれるなら
ただもう一度だけあなたに触れられるのなら(拙訳)
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どうでもいい話で始まっちゃいますけど、今は多くの外国語のサイトが一発で日本語に変換できますよね。それで、ブレッドの英語のWikipediaを変換したらバンド名が「パン」に変わっていました、、、。そう考えると、ブレッドが人気があった当時、日本で「おこめ」とか「ごはん」という名前にしたフォーク・バンドはかなり高い確率でいたかんじゃないか、と思いました。ホントどうでもいいですけど。
さて、ブレッドは名ソングライター、デヴィッド・ゲイツを中心に、1970年代にポップで温かな質感の名曲をたくさん生み出したバンドです。このブログでも「二人の架け橋(Make It With You)」と「イフ(If)」をご紹介しています。これに並ぶ代表曲の「愛の別れ道(Baby I'm-A Want You)」を取り上げてなかったなと思っていろいろ調べていたら、ブレッドの曲の中で今の時代で一番人気なのが「涙の想い出(Everything I Own)」だということがわかりました。1972年に全米5位まで上がったヒット曲ですが、リアルタイムでは”一番の人気曲”ではなかったはずです。
このブログでも、サブスクの時代になっていつの間にか代表曲になったものを積極的にピックアップしていますが、ざっくりとですけどその傾向が僕なりにつかめてきました。
まず明るい気分になれる曲がサブスクのプレイリストや映画で取り上げられて人気になるパターン。例えば、ビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」やELOの「Mr.ブルー・スカイ」、ホール&オーツの「ユー・メイク・マイ・ドリーム」など。
こういう明るい気分になれるポップな曲は、暗い社会情勢とヒップホップ以降のループするビートが子供時代から体に染み込んでしまった若い世代にはもはや作ることができない、希少価値の高いものだと僕は考えます。
もう一つ、バラードの場合は、歌詞の普遍的で本質的なメッセージが世代を超えてじわじわとアピールしていったパターン。
カーペンターズの「愛は木の葉のように(Love Me for What I Am)」、ビリー・ジョエルの「ウィーン(Vienna)」などがそうですね。
「涙の想い出(Everything I Own)」はまさに後者のパターンだと思えます。
大切な人を失った悲しみを歌っていて、歌詞はブレッドの他の代表曲に比べて、率直で切実でどんな人にも伝わるものだと思います。
作者のデヴィッド・ゲイツはこの歌は父親のことを書いたのだそうです。
「父は優しく穏やかで、誰からも尊敬されていました。”人は行動で示すんだ、言葉ではなく”と父は私に言っていました。父はいつも私のために時間を割いてくれ、楽譜の読み書きや様々な楽器の演奏を教え、私の基礎となるクラシック音楽にも導いてくれました。ある年、僕は母の誕生日に蘭を贈りました。とても高価なものでした。母はとても感動し、父は手紙で、お返しに母の持っているものなら何でももらえるだろう、と書いてきました。
父は1963年に亡くなりました。私は父を偲んで曲を書きたかったのです。父は私が成功へと向かう初期の頃は目にしましたが、大ヒット曲やブレッドでの成功は見届け流ことはできませんでした。私の曲はいつも、曲が先にできて、歌詞がそれを追いかけるのですが、この歌詞はすぐに浮かんできました。「僕は持っている全部をあげるよ もう一度あなたが戻ってきてくれるなら」という歌詞は、ラブソングとして解釈できるように書きました。でも、妻に聴かせたところ、すぐに父の歌だとわかってくれました。彼女は泣いたんです。」(The Gurdian 20 Aug 2019)
天性のメロディ・メイカーであるデヴィッド・ゲイツは歌詞には苦労したようですが、父への思いを書くという彼にとってはっきりとしたテーマがあったので、真っ直ぐに歌詞が出てきたのでしょう。
さて、1972年1月に発売されヒットしたこの曲を、同じ年の6月にカバーしたのが、アンディ・ウィリアムス。カバー曲をまるで自分のオリジナルのように歌うことにかけては彼の右に出る者はいないでしょう。
そして、このヴァージョンをカナダの友人の家で聴いて、祖国に帰ったらこの曲を録音してとリクエストされたのが、ジャマイカのシンガー、ケン・ブースでした。
「プロデューサーは、主導権を握って、やる曲を決めるのが好きだったので乗り気ではありませんでしたが、でも「You sheltered me from harm…」と歌い始めた途端、みんなの目が輝きました。当時、ジャマイカでは暴力が蔓延していたので、この歌詞は私たちにとって大きな意味を持っていました。スタジオのオーナーがやって来て、”もしこの曲がヒットしなかったら、スタジオを丸ごと売るぞ”と言いました」(The Gurdian 20 Aug 2019)
この曲の歌詞の普遍性は国や人種を超え、サウンド・スタイルが変わってもしっかり伝わるものだったのでしょう。
最終的に彼のヴァージョンはジャマイカだけじゃなく、イギリスやアイルランドでも1位になる大ヒットになりました。イギリスではブレッドのオリジナルは32位でしたから、ケン・ブースのレゲエ・アレンジのものが国民に広まったんですね。
そして、ケンのレゲエ・スタイルを受け継ぐカバーが1980年代に生まれます。歌っているのはボーイ・ジョージ。1987年彼がカルチャー・クラブを脱退してから最初のシングルとしてリリースされ、全英1位の大ヒットになっています。
月日は流れて、21世紀に入ってもこの曲のカバーは作られていますが、ロッド・スチュワートやボーイゾーンなどのイギリス、アイルランドのスーパースターたちもレゲエではなく、ブレッドのオリジナルをベースにしたカバーをやるようになっています。
ということで、最後は2006年リリースのロッド・スチュワートのカバーを。

