おはようございます。今日は昨日に続いてブラッド・スウェット&ティアーズ。曲は「スピニング・ホイール (Spinning Wheel)」です。
What goes up must come down
Spinnin' wheel got to go 'round
Talkin' 'bout your troubles it's a cryin' sin
Ride a painted pony let the spinnin' wheel spin
You got no money and you got no home
Spinnin' wheel all alone
Talkin' 'bout your troubles and you, you never learn
Ride a painted pony let the spinnin' wheel turn
Did you find the directing sign on the
Straight and narrow highway
Would you mind a reflecting sign
Just let it shine within your mind
And show you the colors that are real
Someone is waiting just for you
Spinnin' wheel, spinnin' true
Drop all your troubles by the riverside
Catch a painted pony on the spinning wheel ride
Someone is waiting just for you
Spinnin' wheel, spinnin' true
Drop all your troubles by the riverside
Ride a painted pony let the spinnin' wheel fly
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上がるものは 下らなければいけない
回る車輪は 回り続けなければ
おまえの悩みごとを話すなんて 泣けるほどの罪
木馬(色の塗られたポニー)に乗って 回る車輪を回せ
おまえは金もなく 家もない
たった一人で回る車輪さ
おまえのトラブルの話をするなら
おまえは決して学ばないってことさ
木馬に乗って 回る車輪を回せ
まっすぐで狭いハイウェイで
おまえは標識を見つけたかい?
反射する標識を気にするのかい
ただそれを君の心の中で輝かせろ
それは本物の色を見せてくれるんだ
誰かが君のことだけを待っている
回る車輪 めぐる真実
悩みはすべて川岸に置いておいて
回る車輪で動く木馬をつかまえろ
誰かが君のことだけを待っている
回る車輪 めぐる真実
悩みはすべて川岸に置いておいて
木馬に乗って 回る車輪を飛ばせ (拙訳)
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「スピニング・ホイール (Spinning Wheel)」(ブラッド・スウェット&ティアーズ)のヤマハぷりんと楽譜はこちら ![]()
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昨日ご紹介した「「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー(You've Made Me So Very Happy)」」の次のシングルとして全米第2位の大ヒットになり、ブラッド・スウェット&ティアーズの代名詞にもなったのがこの「スピニング・ホイール」です。
この曲を書いたのはアル・クーパーが脱退した後にボーカルとして加わったデヴィッド・クレイトン・トーマスでした。彼はイギリス生まれのカナダ人でその当時ニューヨークのクラブで歌っていました。ホーン・セクション入りのバンドのため、ホーンに負けないくらい力強いシンガーを求めていたブラッド・スウェット&ティアーズのメンバーと知り合いバンドに誘われます。その後、ビザの関係で一旦カナダに帰っていたそうですが、メンバーから正式なオファーが来たので彼は再びニューヨークに向かいます。そして、この「スピニング・ホイール」のデモはバンドに参加する2年前にはできていたそうです。
「でも誰も興味を持ってくれなかった。カナダでは誰も欲しがらなかったんだ。だから、ブラッド・スウェット&ティアーズに参加するためにニューヨークへ行ったときに、そのカセットを持って行って、彼らに聴かせたんだよ。そしたらみんな『おおっ、すごい!やろうよ!』って言ってくれて、、あとはよく言う通り、“歴史になった”ってわけさ。」(GOLDMINE September14 2021)
「曲自体は、ギターをつま弾いていて気に入ったコード進行を見つけたときに思いついたんだ。歌詞については、当時はみんな「革命」やら何やらにすごく真剣になっていたからね。」
「それは、いわばこんな風に言うためのものだったんだ――「みんな肩の力を抜けよ。気楽に行こう。結局はすべて巡って元に戻るんだから」ってね。」(Songfacts)
1960年代後半は世界的に社会の変革を求めた学生運動が盛んだった時期です。アメリカではベトナム戦争や公民権運動が大きなきっかけとなり、学生運動やヒッピー文化などが盛んになって、それが音楽とも強く結びついた時期でした。そう言う状況に対してデヴィッドは少し客観的な視点を持ってこの曲を書いたというわけです。
また、この曲の中に「painted pony」色を塗られたポニー(木馬)という印象的な言葉が出てきますが、これは有名な曲からとったものでした。
「「サークル・ゲーム」で彼女は “The painted ponies go up and down” と歌っているんだ。あの一節がすごく好きでね。僕は昔からジョニ・ミッチェルの大ファンなんだよ。作詞家としても、彼女は初期に大きな影響を受けたひとりだった。」(Songfacts)
ちなみに、ジョニ・ミッチェルは彼と同じカナダ出身です。しかし、デヴィッドが「スピニング・ホイール」を書いたと思われる時期(1966年頃)は、「サークル・ゲーム」はまだレコードにはなっていないのにどうやって知ったのだろう?と不思議に思ってネットで調べてみると、Wikipediaに、デヴィッドの自伝からの情報として、ジョニとデヴィッドは同じ時期にトロントのボヘミアンなロックの中心地ヨークヴィルで、廊下を挟んで向かいに住んでいたそうで、彼は彼女に長年叶わぬ片思いをしていたと語ったとありました。
このブログで数日前に書きましたが「サークル・ゲーム」はニール・ヤングの「シュガー・マウンテン」という曲に対しての返歌のようなものとして書かれた曲です。そして、その「サークル・ゲーム」が今度は「スピニング・ホイール」に影響を与えたわけで、そういうインスピレーションの連鎖、化学反応はとても興味深いです。
もう一つ僕が面白く思うのは、学生運動などで熱くなっている若者たちを落ち着かせるために書いた「スピニング・ホイール」に影響を与えた「サークル・ゲーム」は1970年に、学生運動を描いた映画「いちご白書」の主題曲になったんですよね。
ただ「サークル・ゲーム」は、学生運動をする若者を支持する意図ではなく、彼らやそのムーヴメントを俯瞰的な視点でとらえる効果として使われたんじゃないかと僕は思います。全ては結局巡り巡って元に戻るんだ、という視点ですね。
でも、この曲の最大の魅力はやっぱりアレンジですね。特にホーン・セクション。インパクトの強いイントロは1970年代に日本テレビの「テレビ三面記事」でニュースの導入部で使われて、まだ子供だった僕にも強いインパクトを残しています。
この曲のアレンジを手がけ、それによってグラミー賞の最優秀編曲賞も受賞した、メンバーでサックス奏者のフレッド・リプシウス(Fred Lipsius)は自身のwebサイトでこう語っています。
「あれはニューヨークの交通渋滞の混沌としたサウンドを真似しようとしたのと、それにプラスして同じ音を速いシンコペーションで繰り返すキング・カーティスのサックスのスタイルを模倣しようとしたんだ」(https://www.fredlipsius.com/)
そして、曲の最後に《おお、愛しのアウグスティン(O du Lieber Augustin)》が出てきますが、これは想定していたものじゃなく、延々とエンディングを演奏しているなかでもう十分だろうと感じたトランペッターのアラン・ルービンが即興で吹いたものだったようです。
この曲のカバーも結構作られていてジャズ系のアーティストが多いようです。最後にその中からオルガン奏者のものを2つお楽しみください。ロニー・スミスとジミー・マクグリフ。ロニー・スミスは1970年のアルバム「DRIVES」に収録。ジミー・マクグリフは1969年の「Electric Funk」に収録されています。ともにブルーノート・レコードの作品。それぞれすごいグルーヴィーですが、全然違っていて楽しめます。
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