おはようございます。今日はベット・ミドラーの「ローズ(The Rose)」です
Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed
Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you, its only seed
It's the heart, afraid of breaking
That never learns to dance
It's the dream, afraid of waking
That never takes the chance
It's the one who won't be taken
Who cannot seem to give
And the soul, afraid of dying
That never learns to live
When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong
Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun's love
In the spring becomes the rose
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ある人は言う、愛それは川だと
やさしい葦を溺れさせてしまう
ある人は言う、愛それは剃刀だと
魂から血を流させる
ある人は言う、愛それは飢えだと
終わりなく痛みを感じる渇望
わたしは言う、愛それは花
そしてあなたが、ただ一つの種
傷つくことを恐れる心は
決して踊ることを学べない
目覚めることを恐れる夢は
決してチャンスをつかめない
誰にも奪われまいとする人は
決して与えることができない
そして死を恐れる魂は
決して生きることを学ぶことはない
夜があまりに孤独すぎて
道があまりに長く感じるときは
そして愛が運の良い者や
強い者のためだけにあると思えたら
ただ思い出してほしい、冬の間
厳しく冷たい雪のずっと下には種があって
太陽の愛と共に
春にはバラになることを (拙訳)
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今では本当にたくさんの日本のシンガーも歌っているスタンダード曲になっていますが、この曲は、もともと1979年11月公開のアメリカ映画『ローズ』の主題歌でした。映画の主役は歌っているベット・ミドラー。彼女は伝説のロック・シンガー、ジャニス・ジョプリンをモデルにした歌手”メアリー・ローズ・フォスター”を演じていました。ローズは主人公の名前だったんですね。
発売当時も全米3位と大ヒットになり、その後もカバーも作られましたが、21世紀に入ってから一気に開花するようにスタンダードになった印象があります。
この曲を書いたのがアマンダ・マクブルーム。彼女はそれまではまったく無名の存在でした。彼女のHPにはこの曲が生まれた経緯が書かれていました。少し長いですが興味深い話ですのでぜひご紹介させてください。
偶然聴いた曲からある考えが浮かび、それをきっかけになって、自分の頭が<開かれた窓>のようになって、言葉が流れ込んでくる。インスピレーションというのは、こういうことを指すんでしょうね。
そしてこの曲もまた、このブログで数多く紹介している<あっという間にできた名曲>の一つだったんですね。
ちなみにレオ・セイヤーの「MAGDALENA」はこんな曲です。
それから、この曲は映画のプロデューサーたちから二度も却下されたわけで、ポール・ロスチャイルドがいなかったら、世に出ていなかった可能性が高いです。ちなみにロスチャイルドはドアーズのプロデューサーで有名な人でジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」も彼のプロデュースです。
それから、これもこのブログでご紹介しましたが、映画会社のお偉いさんやプロデューサーが反対して、もう少しでボツになりそうだった曲には「虹の彼方に」(オズの魔法使い)「ムーン・リバー」(「ティファニーで朝食を」)なんていう名曲中の名曲があるんです。そして、いつもそこには必死にその曲を推してくれた影の功労者がいるんですよね。
この曲を”救った”ポール・ロスチャイルドはこの曲の特にメロディを気に入ったそうで、こう語っています。
「ほとんどアメリカのフォーク・ソングにおけるスティーヴン・フォスター派のメロディだ。かなり教会音楽に近い、「アメイジング・グレイス」と同じようなカテゴリーだ」
(Billboard. 1981 02.14)
歌詞は一気にアマンダの頭に入ってきたわけですが、メロディはどうだったのでしょう。上記のビルボードの記事によると、この頃、彼女はマネージャーからレコード会社の契約を取るためにボブ・シーガーみたいな曲を書けと言われていて、試みていたそうです。
ボブ・シーガー。この時代で「ローズ」と共通点のある彼の曲はこの辺りでしょうか。
「We've Got Tonight」(1978)
ちなみに、映画のエンディングでこの曲が使われるのですが、当初はアマンダの歌うヴァージョンを使う話もあったそうです。しかし、結局ベットが歌うことになり彼女はハーモニーをつけることになりました。
「ローズ」はリンカーン・マイヨーガがピアノを弾いているのですが、実は彼とアマンダの共演アルバムが「ローズ」と同じ1980年に発売されていて、その中に「ローズ」も入っています。ほぼベットのアレンジと一緒。アマンダの歌がもし映画に使われていたらこんな感じだったんだろうなと思います。
さて、ベット・ミドラーについても少し。
彼女の歌手としてのキャリアは1970年ころNYのホテルの地下にあるゲイの浴場で歌い始めたことから始まります。そこで、ピアノを弾いていたのがなんと無名時代のバリー・マニロウ。1972年にリリースされた彼女のデビューアルバム「The Divine Miss M (アメリカが生んだ最後のシンガー/ベット・ミドラー・デビュー)」では彼はプロデューサーの一人として大きく貢献しています。
デビュー曲はボビー・フリーマンの「踊ろよベイビー(Do You Want To Dance)」のカバー。ビーチ・ボーイズのヴァージョンも有名なこの元気な曲を彼女はローラ・ニーロ風の都会的哀感を感じさせるスタイルで歌っています。後半に出てくるロマンティックなストリングスのアレンジはトム・ベル。スタイリスティックスなどフィリー・ソウルの名曲を数多く手がけた人ですね。
この曲は全米17位のヒット、アルバムも9位まで上がりいきなりグラミー賞の最優秀新人賞に輝くというロケット・スタートを切ります。しかし、その後は大きなヒットを出せずにいた中、再び彼女がスポットライトを浴びるきっかけになったのがこの「ローズ」でした。
その後、1988年の映画『フォーエヴァーフレンズ』の主題歌「愛は翼にのって(Wind Beneath My Wings)」が全米チャートでグラミー賞の最優秀レコード賞を受賞し、1990年の「フロム・ディスタンス(From a Distance)」も全米チャート2位になり、この2曲が「ローズ」を超える彼女の代表曲の座についたように見えましたが、それからまた長い月日が経ったいま、主なサブスクを見てみると彼女の人気NO.1曲の座にはこの「ローズ」がいました。やはり特別な曲なんでしょうね。
最後は日本語のカバーで最も有名な都はるみの「愛は花、君はその種子」を。1991年のスタジオジブリの映画『おもひでぽろぽろ』の主題歌で監督の高畑勲が日本語の歌詞を書いています。原詞に忠実に日本語に置き換えたものとしては屈指のものじゃないかと僕は思います。

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