おはようございます。
スターバックの「恋のムーンライト」です。
The wind blew some luck in my direction
I caught it in my hands today
I finally made a tricky French connection
You winked and gave me your o.k
I'll take you on a trip beside the ocean
And drop the top at Chesapeake Bay
Ain't nothing like the sky to dose a potion
The moon'll send you on your way
Moonlight Feels right
Moonlight Feels right
We'll lay back and observe the constellations
And watch the moon smilin' bright
I'll play the radio on southern stations
Cause southern belles are hell at night
You say you came to Baltimore from Ole Miss
Class of seven four gold ring
The eastern moon looks ready for a wet kiss
To make the tide rise again
Moonlight Feels right
Moonlight Feels right
We'll see the sun come up on Sunday morning
And watch it fade the moon away
I guess you know I'm giving you a warning
Cause me and noon are itching to play
I'll take you on a trip beside the ocean
And drop the top at Chesapeake Bay
Ain't nothin' like the sky to dose a potion
The moon'll send you on your way
************************************
風が運を僕の方へ吹き寄せてきて
今日この手にキャッチした
ついに僕は絶妙なカクテルを作ったんだ
君はウインクしてOKしてくれた
海のそばに君を連れて行こう
チェサピーク湾でルーフを開けよう
空ほど魔法をかけてくれるものはないな
月が君を導いてくれる
月明かりが気持ちいい
月明かりが気持ちいい
僕たちは座席を倒して星座を観察し
明るく微笑む月を見つめる
僕は南部のラジオを流そう
南部の美人たちは夜になると魅力的だから
君はオールミスからボルチモアに来たと言う
74年の卒業生で金のリングを持っている
東の月は濡れたキスを待っているようさ
再び潮を満たすために
月明かりが気持ちいい
月明かりが気持ちいい
日曜日の朝に太陽が昇るのを見て
月が消えてゆくのを見守ろう
君もわかってると思うけど、警告しておくよ
僕は真昼には遊びたくてうずうずしてるから
海のそばに君を連れて行こう
チェサピーク湾でルーフを開けよう
空ほど魔法をかけてくれるものはない
月が君を導いてくれる
***********************************************
”ツキ”のない男が苦労してつかみとった一発ヒット
スターバックは、1974年にジョージア州アトランタで、キーボード奏者・ボーカリスト・音楽プロデューサーのブルース・ブラックマンとマリンバ奏者のボー・ワグナーによって結成されたロックバンドです。
かつて彼らはエタニティーズ・チルドレン(ETERNITY'S CHILDREN)というソフト・ロック・グループをやっていて、1968年夏にはブラックマンが書いた「ミセス・ブルーバード」という曲が全米69位になっています。
プロデュースはカート・ベッチャーとキース・オルセン。このあと二人はソフト・ロックの金字塔、ザ・ミレニアムの「ビギン」を制作しています。ちなみに、キース・オルセンはフリート・ウッドマックの「ファンタスティック・マック」や80年代にはパット・ベネター、リック、スプリングフィールド、ホワイトスネイク、オジー・オズボーンなどのプロデュースで大当たりした人です。
1990年代に日本では”渋谷系”のブームがあって、そのときにロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズなどの1960年代のソフト・ロックが再評価されましたが、このエタニティーズ・チルドレンも日本のその”スジ”(?)のマニアックなファンから注目を集めていて、僕もそのタイミングで初めて聴きました(僕もその”スジ”でしたw)。
このエタニティーズ・チルドレンは困難続きのグループだったようで、ファースト・アルバムの制作中に、マネージメントとのトラブルで、ブラックマンを含む3人が脱退し、残りのメンバーでアルバム「Timeless」を作りますが、アメリカでの発売は見送られカナダだけでリリースされました。そういった感じでどんどんトーンダウンしていき、彼らは結局解散してしまいます。
そしてブルースが心機一転、勝負に出たのがスターバックだったわけです。
ブルースはミシシッピからアトランタに引っ越して、エタニティーズ・チルドレンに途中からパーカッショニストとして参加していたボー・ワグナーと合流し、地元のヒッピー新聞に広告を出してスターバックを結成。その後、時間をかけてバンドメンバーをアップグレードしていきました。
そしてジョー・サウス、トミー・ロウなどを手がけたアトランタの有名プロデューサー、ビル・ロウリーに電話しますが、電話に出た人間から相手にしてもらえず、今度は直接彼の会社に飛び込み、粘ったあげくなんとかビルに会ってデモを聴かせることに成功します。すると彼から来週の水曜日の朝9時から12時まででレコーディングしろ、と指示され、その3時間で「恋のムーンライト」を含む2曲を録音したそうです(彼らのすぐ後にはスタジオを使ったのはレイナード・スキナードだったとか)。
ロウリーはその音源をアメリカのメジャーレーベルほぼ全部に送りましたが、「サザン・ロックでもディスコでもない」というのと、マリンバやティンパニーとか使っている楽器の種類と多さが理由で断られたそうです。そして、最後にプライベート・ストック(Private Stock)というレーベルに売り込むことにしました。
このブログで紹介した、フランキー・ヴァリの「瞳の面影」やデヴィッド・ソウルの「やすらぎの季節」なんかをリリースしているところですね。
ブラックマンはこう語っています。
「プライベート・ストックは最後に行ったレーベルで、彼らは『恋のムーンライト』を気に入りましたが、マリンバのソロが長すぎるからカットしてほしいと言われました。どうやってそんな勇気を持てたのかわかりませんが、僕はそれを拒否したんです」 (GOLDMINE
曲は無事にリリースされましたが、全然反応はなかったそうです。
「プライベート・ストックのチームがトップ・ラジオ局に数十枚送ったものの、何も起こりませんでした。そこで、ボーと僕は自分たちでレーベルから500枚のレコードを購入しました。レーベルはただではくれなかったんです。ボーは東へ、僕は西へ向かい、町に立ち寄ってラジオ局を探し、局のフォーマットが私たちの音楽に合っていると思えば、レコードを置いていくという方法を取りました」 (GOLDMINE
自ら宣伝、いわゆる”ドブ板営業”をやったんですね。
「僕はミシシッピ州のメリディアンにいて、ラジオ局にレコードを持ち込みました。DJは”君の曲を聞いてあげるよ、ただし、今すぐ読まなきゃいけない農業レポートを読んでくれたらね”と言いました。僕はそれに応じて、彼はテレタイプから黄色い紙を取り出して渡してくれました。”あの赤いライトが点灯したら、読み始めてくれ”と言われ、いよいよ赤いライトが点灯しました。レポートはロシアの農業大臣がアメリカを訪れているという内容でした。”ロシアの農業大臣、えー、えー”と読み進めようとしましたが、その名前はまるでアルファベットを逆さまにしたようなものでした。”…が町に来て…”と何とか読み終えると、ラジオ局の人たちは大笑いしました。
局を出て車に乗ると、「さっきの農業レポートを読んでくれた面白い男が曲を残していったよ。みんなに聞いてもらおう」と言って、DJが「恋のムーンライト」をかけてくれました。それが、私がラジオで初めて「恋のムーンライト」を聞いた瞬間でした。曲の終わりにDJが”みんな、この曲すごく気に入ったみたいだね。もう一度かけよう”と言って、もう一度流してくれたんです」 (GOLDMINE
音楽ビジネスは運やツキに最も影響される商売の一つだと思いますが、僕が思うに、大変失礼なんですが、ブルース・ブラックマンは運にもツキにも恵まれていない人だと思います。ただ、トラブルにあっても逆境にあっても粘り強くトライし続けると、神様は一度くらいはご褒美をくれる、「恋のムーンライト」はそんな曲だったように思えます。そう考えると、
”風が運を僕の方へ吹き寄せてきて、今日この手にキャッチした”
という出だしがいっそう味わい深くなりますね。
さて、日本でこの曲の知名度をグッとあげることに貢献したのが高橋幸宏でした。1986年のアルバム「...Only When I Laugh」でカバーしていたんです。マリンバ・ソロ含め、オリジナルへの愛情を感じる、これがまたすごくいいカバーなんですよね。
曲調、サウンドもすごく心温まるんですが、歌詞も飾らず人間味を感じますよね。この曲の歌詞は、ブラックマンの奥さんとの思い出を描いたものだそうです。
「ペギーは今では私の妻で、50年連れ添っています。当時、私はボロボロのMGBコンバーチブルを持っていて、あるデートのときにミシシッピ州の湖に行きました。車の屋根を下げて、二人で座って星を見上げ、月の光が湖に反射しているのを見ていました。その時、メンフィスから流れてくる南部のラジオ局をかけていたんです。この曲は、その思い出を書いたものなんです」 (GOLDMINE
この曲が大ヒットして以降、控えめなヒット曲こそ多少はありましたが、再び音楽シーンで脚光を浴びることはありませんでしたが、10年前くらいからまた精力的に音楽活動を再開し、作品をどんどんリリースしています。
最後は2014年のこの曲のニュー・ヴァージョン。けっこう大人になった「恋のムーンライト」を。
