おはようございます。
今日は離婚伝説の「愛が一層メロウ」です。
もう、バンド名にやられましたね。
R&Bファンにはお馴染みの1978年のマーヴィン・ゲイのアルバム「Hear、My Dear」の邦題が「離婚伝説」でした。
当時、奥さんとの離婚のトラブルの真っ只中にいたマーヴィン・ゲイが、慰謝料を払うために制作をスタートし、当時の心情をあからさまに歌詞で吐露した作品ということでつけられた邦題で、レコード会社の担当者のキャッチ・コピー的センスはすごいと思いますが、かえってこの邦題のせいで、このアルバムは日本では特に”キワモノ”扱いされることになったのは否定できないことだと思います。(少なくともマーヴィン・ゲイを好きになった僕は当時のレコード評とこのタイトルのせいでバイアスがかかってしまい、アルバムを聴くのがずいぶん後になってしまいました)
傑作と呼ぶことはできないかもしれませんが、このアルバム、全然悪くないんですよね。マーヴィンのアルバムの中では、現代の”チルな”R&Bと空気感が一番近いアルバムかも、なんて思います。
今の若い人はそういうバイアスから自由な状態で古い音楽を聴ける、そこが羨ましいところですね。
話がいきなりそれてしまいましたが、離婚伝説の二人はバンド名を決めるときに、原題の”Hear My Dear”とどちらにするか迷ったそうなので、変な(?)邦題をただ面白がってつけただけじゃなく、マーヴィン・ゲイ自体も好きだったようです。
離婚伝説は松田歩(Vo)、別府純(Gt)の二人からなるバンド。バイト先が一緒だったことから意気投合し、2022年の1月に結成しています。
松田は独学でDJをはじめたことから、R&Bにハマりスティーヴィー・ワンダーの「キー・オブ・ライフ」をフェイヴァリットにあげています。
別府の方はビートルズをルーツにしつつ、レッチリ、レディオヘッドにハマり、幅広いジャンルを通ってきたひとのようです。
僕が一番感じる彼らの魅力は、まずは松田のボーカル。日本のR&B系シンガーでファルセットの上手い人はたくさんいましたが、こういう艶やかさ、艶かしさを感じる人は今までいなかったんじゃないでしょうか?
それに、別府のギターがR&Bっぽい粘っこさがなく、ドライなのが、かえってすごくいいバランスなんですよね。
そしてファースト・シングルがこの「愛が一層メロウ」で、まずはサブスクではなく、YouTubeでMVを公開するだけという珍しいパターンでした。
別府のギターのリフがとっかかりになり、そこにマツダがメロディを乗せて、試行錯誤しながら作られた曲だそうです。
別府:最初からあのサビのリズム感はあって、そこに当てはまる言葉をたくさん書き出して、一番イケてるやつを選びました。たぶん8案くらいは出しましたね。
(Spincoaster 2022 12.23)
それと同時に配信リリースされたのが「メルヘンを捨てないで」。個人的にはこの曲が一番好きです。歌詞もいいですし。
最初の一行”海老みたいな靴履いて踊ろう”だけで、僕の心はもう鷲掴みされました(笑。
「僕らのテーマと言っても過言ではないぐらい、いつも出てくるのが〈そのフレーズ、ダサくていいね〉っていうワードです(笑)。〈ダサい〉と〈かっこいい〉って紙一重だと思っているので、かなりきわどいラインだと思うんですが、ダサさのあるひっかかりを大事にしています」
彼らの曲名や歌詞にもその”ダサカッコイイ”センスが、ふんだんに盛り込まれていまるわけです。
パッと見、もっとマニアックなソウル・ミュージックに向かっても良さそうなイメージもあるのですが、かえって彼らは、軽快なポップ・ソングを次々とリリースしています。
2024年7月5日リリースの新曲「本日のおすすめ」
彼らはインタビューでこんな風に語っています。
松田「ポップスに寄ることに、僕らは何の抵抗もないんですよね」
別府「なんなら〈ポップス〉ということを一番大事にしてますね」
(Mikiki. 2024.3.20)
このブログでメインで取り扱っている”軽快で心地よいポップミュージック”がどんどん少なくなっているなあ、と寂しく思っているところに、彼らのようなアーティストに出会うと僕は格別に嬉しくなってしまうわけです。
