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「夏のクラクション」稲垣潤一(1983)

 おはようございます。今日は晩夏の名曲、稲垣潤一の「夏のクラクション」です。

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    この曲は筒美京平が稲垣のシングルを手がけることが先に決まっていて、筒美が作詞家の売野雅勇に一緒にやらないかと声をかけたそうです。二人のコンビで作った河合奈保子の「エスカレーション」のレコーディングのときでした。

 売野は「夏のクラクション」というタイトルの歌詞を伊藤銀次のために書いてボツになったことがあったそうですが、そのタイトルに思い入れがあり、同じタイトルで歌詞を書いてみることにします。

 タイトルだけ決まって、ストーリーがなかなか思いつかなかったのですが、ふと映画アメリカン・グラフィティ」のラストシーンを思い出し、一気にイメージが浮かんだそうです。

  主人公が田舎の高校を卒業して大学に行くために乗った飛行機の窓から、走り去る白いフォード・サンダーバードを見送るという、つい先日このブログで紹介した「オール・サマー・ロング」(ビーチ・ボーイズ)に繋がってゆくシーンですね。


Richard Dreyfuss American Graffiti #9 (the ending)

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「『夏のクラクション』は、もうできたも同然だった。白いクーペ、幻の天使のシンボルとしての女性、無垢なる夏の終わり。遠ざかるクラクションの響きが、ガラス窓に遮られて聴こえない世界の始まり。そんなメモを書きながら、一行目から、ぼくは『夏のクラクション』を書いた。

 京平先生が、「なんて音楽的な詞なんだ!って思った。音楽が聴こえてくるから、そのままメロディを書けばよかった。だから、すぐにメロディをつけられたよ」とほめてくださった」  (売野雅勇「砂の果実」80年代歌謡曲黄金時代 疾走の日々」)

 う〜ん、この曲は、詞先だったんですね。すごい。

 CITY POPは”洋楽っぽさ”が肝ですから、ます洋楽っぽいメロディがあって、そこに英語かデタラメ英語の仮歌詞を最初につけて、あとで日本語の歌詞をつける、といった流れのほうが圧倒的に多かったはずです。

 詞先であれほど洗練されたメロディを書ける筒美京平はやはり凄いですし、それを引き出した売野雅勇の歌詞も見事だとしか言いようがないでしょう。

 それに加えて、井上鑑のアレンジも完璧にマッチしています。

 そして、稲垣潤一。この歌のボーカル・レコーディングは1週間以上100テイクを超えたといいます。「夏のぉうぉう」という彼の節回しがなかったらこの曲は少し味気ないものになったかもしれません。

 彼はデビューしたのが28歳と遅咲きで、この曲の時はもう30歳でした。しかし、デビューまでの長い年月を”ハコバン”(お店の専属バンド)のドラマー兼ボーカルとして、幅広い洋楽のレパートリーを徹底して演ってきた蓄積があったことを、自叙伝で語っています。

 今年7月に亡くなられた弘田三枝子に代表されるように、昔から洋楽を歌い込んできたシンガーというのは、日本語の歌を歌ってもどこか洗練されるところがあるように僕は感じます。

 CITY POPの多くが自作自演の中、歌謡曲畑の人も含む作家陣の曲を取り上げていた彼が、遜色ないクオリティを保てたのは、制作陣の優秀さももちろんですが、稲垣の鍛えられたボーカル・ワークというのも大きかったのではないかと、今になって僕は思います。

 彼の”声質”を褒める人は昔から多かったですが、それだけじゃなく、洋楽を歌い込んできたことから生まれる”味””ニュアンス”のようなものが意外に大きいのではないかと思います。

 さて、「夏のクラクション」が収録されたアルバム「J.I」には、もう1つ夏の終わりを見事に描いた曲があります。「J.I」は9月1日発売ですから、もともと晩夏を想定していたんですね。

 その曲は「夏の行方」秋元康作詞 松尾一彦作曲 井上鑑編曲)。

この曲はアルバムの2曲目でその次が「夏のクラクション」という流れになっています。なので、僕はこの2曲は”セット”で記憶しています。 


稲垣潤一「夏の行方」

 

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稲垣潤一「夏のクラクション」の楽譜はこちら

 

  • アーティスト:稲垣潤一
  • 発売日: 2009/03/11
  • メディア: CD
 

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