おはようございます。今日は山下達郎の「Sparkle』です。
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数年前にピークを迎えたシティポップ・ブームは当時(リアルタイム)での人気と現在の評価が一致しないところが面白さでもあるわけですが、リアルタイムでも現在でも不動の大人気曲のポジションにいる、僕が<シティポップのアンセム>と呼びたいのがこの「Sparkle」です。
イントロは日本のポップス史上でたぶん一番有名なギターのカッティング・フレーズですよね。(楽器屋さんでこのフレーズを試奏しているお客さんを数回見かけたことがあります)
元ネタと言われているのは、もうかなり有名になりましたがナイトフライトの「IF You Want It」です。
山下達郎が昔ラジオ番組でこの曲を吉田美奈子と一緒にカバーもしているので、この曲が好きだったのは間違いないでしょう。
ただナイトフライトが果てしなくメロウでドリーミーなニュアンスなのに対し、山下達郎はドライに爽快な方向に振り切っていて、リフから想起させられるイメージは全然違いますよね。
この曲が収録されたアルバム「For You」のCDのライナーノーツ(2002年リリース)で彼はこう書いています。
「ステージの予備にと1980年に購入した茶色のフェンダー・テレキャスターが、運命的な大当たりで、このアルバム以降全てのレコーディングとライブで使用して行くことになります。このギターの音色を生かした曲を作りたいと思い書いたものです」
まさにギターありき、の曲だったわけです。
テレキャスターの特性を活かしたリフとにしようということで、あのシャキッとした爽快なカッティングが生まれたのかもしれません。
それに対して、ナイトフライトは昔の映像を見るとストラトキャスターを弾いていたようです。こちらはもっとバランスのいいオールマイティなギターですから、あのメロウなニュアンスも納得できます。


この2曲のリフをギターを取っ替えて弾いたとしたら、けっこうイメージが変わりそうな気もします。
「Sparkle」と「If You Want It」のリフの最大の違いは、フレーズ以前にギター自体の特性にあるのかもしれないですね。
そして「Sparkle」に関して僕が強調したいのは吉田美奈子の歌詞の素晴らしさです。
七つの海から集まって来る
女神達のドレスに触れた途端に
拡がる世界は 不思議な輝きを
放ちながら心へと忍び込む
イメージがとんでもないスケール感で広がっていき、それが心へと<忍び込んでゆく>んですから、まさに、音楽を聴くことの興奮、ダイナミズムをこれほど見事に表した歌詞は日本のポップスにはなかったんじゃないでしょうか。そして何より言葉がこの曲のサウンドやメロディをいっそう引き立てながら、一体化してゆくようで聴くたびに唸ってしまいます。
僕が思うに、歌詞にはイメージを聴き手に伝えるものと、聴き手に自由にイメージを喚起させるようなものがあって、世に出ている歌詞のほとんどが、イメージを伝えるものじゃないかと思います。特に今の世の中は。心には”刺さる”のかもしれませんが、僕は息苦しさも感じます。
「Sparkle」のように聴き手に自由にイメージを喚起させ、かつ神話的スケールを持つようなものは洋楽にはありますが、日本のポップスでは超レアだと思います。
そういう意味でも、吉田美奈子の歌詞はもっともっと評価されるべきじゃないでしょうか。彼女の場合、心の内面を描いたよう歌詞でも説明的な部分は一切なく、メロディやサウンドを邪魔することが本当にないんですよね。
聴いていて気持ちが開放されて広がってゆくような快感を当時高校生だった僕は感じたんですね。
そして、今でも山下達郎の作品の中では、吉田美奈子が歌詞を書いた曲を僕が好んで聴いてしまうのも、そういう理由があるのかもしれません。
さてシティポップ・ブームの中でこの曲の興味深いカバーも作られています。2022年リリースのカバーアルバム『CITY POP LOVERS』に収録されていた、さかいゆうをメインに、現在の日本の音楽シーン屈指の才能集団”origami productions”のOvall, Kan Sano, Michael Kaneko, Hiro-a-keyが参加したヴァージョンを。
こちらは少し前にサブスクで結構盛り上がってました。なんと1985年にロビン・キムラを中心としたハワイアンAORバンドバンド”Greenwood”が「Sparkle」をカバーしていました。オリジナルに結構忠実なカバーです。
彼らは1980年代に一度解散したそうですが、2000年代に再結成し、この曲を再録音もしたようです。アプローチはほとんど一緒ですね。
GreenwoodのSparkle収録
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