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「ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット(Be Thankful for What You Got)」ウィリアム・デヴォーン(William DeVaughn)(1974)

 おはようございます。今日は幻の(?)R&Bシンガー、ウィリアム・デヴォーンの残した名曲ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット」、自分にないものに気持ちを奪われず、自分に与えられたものに感謝しよう、という歌です。

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Though you may not drive a great big Cadillac
Gangsta whitewalls
TV antennas in the back
You may not have a car at all
But remember brothers and sisters
You can still stand tall
Just be thankful for what you got

Though you may not drive a great big Cadillac
Diamond in the back, sunroof top
Diggin the scene With a gangsta lean

Gangsta whitewalls
TV antennas in the back
You may not have a car at all
But remember brothers and sisters
You can still stand tall  
Just be thankful for what you got

Diamond in the back, sunroof top
Diggin the scene
With a gangsta lean, wooh-ooh-ooh
Though you may not drive a great big Cadillac
Gangsta whitewalls
TV antennas in the back
You may not have a car at all
But remember brothers and sisters
You can still stand tall
Just be thankful for what you got

Diamond in the back, sunroof top
Diggin the scene
With a gangsta lean, wooh-ooh-ooh
Diamond in the back, sunroof top
Diggin the scene
With a gangsta lean, wooh-ooh-ooh
Diamond in the back, sunroof top
Diggin the scene
With a gangsta lean, wooh-ooh-ooh 

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たとえキミが すごくてデカいキャデラックに乗っていなくても
ギャングスター・ホワイト・ウォール 後部にはTVのアンテナ)
キミが車を運転さえしないとしても 
思い出してほしんだ ブラザー、シスター
キミたちは 堂々と生きていいんだ
今の自分が持っているものにただ感謝しよう

たとえキミが すごくてデカいキャデラックに乗ってなくても
(後部座席にダイヤモンド サンルーフ・トップ
ギャングスタ・リーンでキメて 街を流してゆく)
キミが車を持ってさえいなくても
思い出して欲しいんだ ブラザー、シスター
キミたちは ずっと胸を張っていられるんだ
今の自分が手にしているものにただ感謝しよう (拙訳) 

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    本人が”自腹”で制作したフィラデルフィア・ソウルの隠れた傑作

 ちなみにギャングスター・ホワイト・ウォール」は内側が白く塗られたタイヤ、のことで「ギャングスタ・リーン」は 左手でハンドルを握り、右手は助手席にもたれかける、典型的なギャングスタの運転ポジション、ということで、あと、"Diggin' The Scene"という言葉もあって意味がわからなかったのですが、"Diggin' On The Scene"で”いい車に乗って街を乗り回す”みたいな意味があるらしいので、それをチョイスしました。ともかく、こういったスラングをいち早く取り入れた曲でもあったようです。

   ちなみに、2019年にぺぺ・マルケスという人がこの曲をカバーしていて、そのPVでこの歌に出てくるような車に彼は乗っています。


Pepe Marquez - Be thankful for what you've got - [Official Video]

 あらためて聴くと、変わった曲だなあと思います。歌詞は、車なんてなくても引け目を感じるな、と言ってるのに、コーラスはキャデラックの様子を並べたて繰り返します。これじゃあ、曲を聴いてかえってキャデラック欲しくなる人だっていそうです。

 でも曲の締めで、Be Thankful for What You Got、という信仰心を強く感じさせる言葉を使い、その言葉の重みで、なんかうまいこと着地しているわけです。

 昔から、歌詞にちょっと変なところがある方が売れてしまう、というのが、ポップ・ミュージックの面白みでもありますが。まあ、それはともかく、これはウィリアム・デヴォーンのデビュー曲にして、全米4位、R&Bチャートでは1位と、大ヒットしました。

 昨日登場したビル・ウィザースもそうでしたが、この人のプロフィールもまた変わっています。彼はもともと公務員として製図技師をしながら、たまに歌の仕事をしていたようです。

 当時、彼は「A Cadillac Don't Come Easy」という曲を書いて、それがこの曲に発展したようです。キャデラックは簡単に手に入らない、ということですから、彼は実際、相当キャデラックに執着していたことがあったのかもしれませんね。

 彼は信仰心に篤くそれが歌詞に反映されている、といった紹介のされ方をすることがありますが、例えば、ゴスペルのアーティストがこういう曲を書いたら、ギャングスターホワイト・ウォールとかギャングスタ・リーンなんて言葉は使わないでしょう。

 話が逸れてしまいましたが、この曲のデモをフィラデルフィアオメガ・サウンドという音楽制作会社に送ったところ、レコーディング費用を払えばレコードを作ってやる、と返事がきたそうで、彼は900ドル払って作ってもらうことにします。提示額は1400ドルだったのを値切ったという説もあります。

 

 オメガ・サウンドのプロデューサー、ジョン・スミスは、フィラデルフィア・ソウルの演奏集団”MFSB”のメンバーで、この曲のレコーディングもMFSBのギタリスト、ノーマン・ハリス、ボビー・エリ、ドラマーのアール・ヤング、ヴィブラフォンのヴィンス・モンタナといった錚々たるメンバーが集まり、スタジオももフィラデルフィア・ソウルのメッカ、シグマ・サウンド・スタジオが使用されました。

 しかも、1974年というのはフィラデルフィア・ソウルの名声がピークに達していた時期で、その象徴ともいうべき”MFSB”の曲が大ヒットしていました。

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 よくぞ、売れて忙しい時期に、”素人の自費レコード”が作れたと思います。まあ、MFSBのメンバーならほんの短時間でクオリティの高いものは作れたでしょうが。

 曲の出来が良かったのでこの曲は見事”ROXBURY”というレーベルから発売され、結果大ヒットになるわけです。しかし、彼は実際に信仰心に厚い人でもあったらしく、ステージでは客に対して説教や教え諭すような話をしていたそうです。

 そして、音楽業界に対する興味がなくなり、彼はアーティストを一度辞めてしまうんですね。その後1980年に一度復帰しますが、すぐにまたシーンから消えてしまいます。

  その後、1980年代終わりごろからアシッドジャズに代表される、洗練されたR&Bやジャズの掘り起こし、再評価がイギリスのクラブシーンで盛んになり、この曲にも注目が集まりました。

 華美なストリングスのないフィラデルフィア・ソウル・サウンド(予算の関係だったわけですが)が、かえってクールに響いたのかもしれません。1991年にマッシヴ・アタックがカバーしています。


Massive Attack - Be Thankful For What You've Got

 そして、その流行は日本にも伝わって、渋谷系フリー・ソウルといった音楽をかけるクラブ・シーンで人気になりました。

 また、”ギャングスタ・リーン”などの、キャデラックのコーラスが、その後のヒップホップのシーンにピタッとはまったようで、何度もサンプリングされるようになりました。ともかく時代を20年くらい先取りした曲だったんですね。

 それから、アルバムからはこの曲も人気が高かった記憶があります。

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 ウィリアム・デヴォーン本人はずっと音信不通のままだったと思っていたのですが、今回調べてみると2004年に一度復活しシングルをリリースし、2008年には実に28年ぶりのアルバムを出していました。

 アルバムの冒頭は、なんとマーヴィン・ゲイの「What's Goin On」です。


William DeVaughn What's Goin' On

 復活したのに話題にならなかった理由がわかるような気もしますが(苦笑、、、。

 その後も彼の未発表曲がリリースされていたりしています。

 長くアーティスト活動はやりませんでしたが、「ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット」だけじゃなく、この曲の入ったアルバムも素晴らしい出来ですから(曲の大ヒットを受けて、アルバムも本気で作ったのでしょう)、彼は優れた才能の持ち主だったことは間違いないと思います。

 しかし長年に渡って創作を続け、演奏活動を続けるような地力やモチベーションはなかったのかもしれないですね。

 一発目で本人の納得できる以上のクォリティのものが作れて、思いがけず結果もついてきてしまったわけですから。  

 最後にこの曲の入ったアルバムの中から、個人的に好きな、気分が少し軽くなりそうな曲で締めたいと思います。この曲の1~2年前に大ヒットしていたスピナーズ風ですね。

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スピナーズの名曲2曲

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