おはようございます。今日はネッド・ドヒニーの「ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー」です。
Whatcha Gonna Do For Me? - Ned Doheny
All night and all day, just chippin' away
It's all in a day's work;
Tryin' hard to defend
The time that I spend alone
The ground that you lose exploiting
The blues
Won't get the job done;
Still, as deep as it bites
I'm keepin' my sights on you
Whatcha gonna for me
What are you gonna do for me
Whatcha gonna do for me, when
The chips are down
In the cool of the night, when
Nothing seems right
The feeling can take you;
Strange as it seems
You make your own dreams
Come true
If you try to conceal the way
That you feel
You're askin' for trouble;
Just as sure as you'll cry
I'm keepin' my eye on you
You don't have to tell me I'm
To blame for this
The thing you hold against me
Is the thing that I miss
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朝から晩までずっと、ただ時間を潰している
いつものことさ
なんとか守ろうとしているんだ
ひとりで過ごす時間を
君が失くした場所から悲しみが生み出されている
その作業は終わりそうもないんだ
じっと、深く噛みしめるように
君を見つめ続けている
僕のために何をしてくれるの?
僕のために何をしてくれるの?
僕のために何をしてくれるの?
いざという時に
夜の冷たさの中で
何もかもしっくりこない時
その気持ちにとらわれてしまう
奇妙に思えるかもしれないけど
君は君の夢を実現するのさ
自分の気持ちを隠そうとすると
トラブルになるだけだ
ただ、泣きをみることになるだけ
君から目を離せない
僕のために何をしてくれるの?
僕のために何をしてくれるの?
僕のために何をしてくれるの?
いざという時に
僕のせいだって君は僕に言う必要はない
君が僕に対して耐えているのは
僕が失くしてしまったものなんだ (拙訳)
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この曲をヒットさせたのはチャカ・カーン。1981年に全米R&BチャートNO.1になっています。ということで、当時巷に流れていたのは、ほぼ彼女のヴァージョンだったと記憶しています。
Chaka Khan - What Cha' Gonna Do For Me
実はこの曲のオリジナルはアヴェレイジ・ホワイト・バンド(AWB)です。メンバーのヘイミッシュ・スチュアートがネッド・ドヒニーとの共作でこの曲を書き上げ、 1980年リリースのアルバム「Shine」に収録しています。
チャカ・カーンのプロデューサー、アリフ・マーディンがAWBのプロデュースを長くやっていたので、このカバーが実現したのでしょう(ただし「Shine」のプロデュースはアリフじゃなく、デヴィッド・フォスターでした)。AWBからはギターのヘイミッシュ、ドラムスのスティーヴ・フェローンが参加しています。
(ヘイミッシュがAWBのヴァージョンのコーラスにはチャカも参加していたと言っていたという記事を見たことがありますが、あらためて聴き直してもチャカの声らしきものは聴こえないのですが、彼女の声の存在感が大き過ぎてミュートされてしまったのでしょうか?)
さて、AWBのヴァージョンはこんな感じです。チャカのヴァージョンはオリジナルを踏襲しながらよりパワフルになっていることがわかります。
”Whatcha Gonna Do For Me(私のために何をやってくれるの)?とチャカが歌うと、厳しくとがめられている感じがするのに、男性が歌うと”何にもやってくれないことはわかってるんだけど、ちょっと言ってみただけだよ” (苦笑)なんて弱気に感じられるから不思議なものです。
世間的にはこの曲と言えば、チャカかAWBのどちらかのヴァージョンになると思いますが、僕が好きなのはネッド・ドヒニーのセルフ・カバー。1988年に日本だけで発売されたアルバム「ライフ・アフター・ロマンス」の冒頭を飾っていました。
このヴァージョンを聴くことで、この曲が本来持つAORらしさ、が再認識できると僕は思います。それから、チャカやAWBよりもサウンドじゃなく”曲”そのものを聴かせているニュアンスが強いので、主人公の心情がより伝わってくる気がします。
(1980年代後半にボビー・コールドウェルをはじめとして、日本のみでAOR作品がたくさんリリースされましたが、その中で「ライフ・アフター・ロマンス」が僕はベストだと思います)
さて、ネッド・ドヒニーは1960年代後半にカリフォルニアのフォーク・ロック・シーンから出てきて、ジャクソン・ブラウンやイーグルスのメンバーなどと無名時代から交流していた人です。
しかし、彼は本来フォークじゃなくR&Bに深く傾倒していたんですね。
ジャクソン・ブラウンは後年こうコメントしています。
「彼は僕の持っていた”The Greatest 64 Motown Original Hits"という四枚組LPを借りていって、ただそれを聴くだけじゃなく、自分の分子構造にまで融合させていったんだ」
1973年のデビュー・アルバムはフォーク・ロックっぽい作品でしたが、1976年の「ハード・キャンディ」は彼が”分子構造まで融合させた”というR&Bのグルーヴ感がよく生かされていた作品でした。今では同年に発売されたボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」とともにAORの先駆けの名作と評価されています。しかし、当時は売れずに終わり、彼はその後長い沈黙に入ってしまったのですが。
「ハード・キャンディ」から「Get It Up For Your Love」
1982年には、チャカのヒットを受けて、この曲のセッションも行われたのですが結局お蔵入りし2014年になって初めてお披露目になっています。
Ned Doheny - What Cha' Gonna Do For Me (demo with AWB)
そして、AORが再評価されてきた、1988年に「ライフ・アフター・ロマンス」が日本だけで発売になったわけですが、彼を最も支持し続けたのは日本のリスナーだったんですね。90年代に入っても日本では作品がリリースされ続け、FMのレギュラー番組も持っていました。
そして、近年ではインターネットにより様々な国で彼のような音楽を好きな人が認知できるようになり、再度彼は再評価され始めているようです。
彼自らも言っていますが、彼の作品は当時よりも今の方がより多くの人に聴かれているのです。
最後に最新のカバー・ヴァージョンを。以前にこのブログで紹介した、イギリスのAORデュオ”ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス”。数日前にアップされたばかりでAORのマナーをちゃんと心得た、正当派のカバーだと思います。
Whatcha Gonna Do For Me? (AWB Cover)
