おはようございます。今日はフィル・スペクター プロデュースの有名なクリスマス・ソング、ダーレン・ラヴの「クリスマス」です。
Darlene Love - Christmas (Baby Please Come Home) (Audio)
(Christmas)The snow's coming down
(Christmas)I'm watching it fall
(Christmas)Lots of people around
(Christmas)Baby please come home
(Christmas)The church bells in town
(Christmas)All singing in song
(Christmas)Full of happy sounds
(Christmas)Baby please come home
They're singing "Deck The Halls"
But it's not like Christmas at all
'Cause I remember when you were here
And all the fun we had last year
(Christmas)Pretty lights on the tree
(Christmas)I'm watching them shine
(Christmas)You should be here with me
(Christmas)Baby please come home
They're singing "Deck The Halls"
But it's not like Christmas at all
'Cause I remember when you were here
And all the fun we had last year
(Christmas)If there was a way
(Christmas)I'd hold back this tear
(Christmas)But it's Christmas day
Please Please Please Please
Baby please come home
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(クリスマス)雪が降っているわ
(クリスマス)私はそれを見つめている
(クリスマス)まわりにはたくさんの人たち
(クリスマス)ベイビー、どうか帰ってきて
(クリスマス)街の教会の鐘が
(クリスマス)みんな歌を歌っている
(クリスマス)幸せな響きがあふれる
(クリスマス)ベイビー、どうか帰ってきて
「ひいらぎかざろう」を歌うのが聞こえる
だけど全然クリスマスの気分になれない
だってあなたがここにいたことと
楽しかった去年のクリスマスを思い出すから
(クリスマス)木々はかわいいライトが飾られ
(クリスマス)私はその輝きに見とれている
(クリスマス)やっぱりあなたが一緒にいなけりゃ
(クリスマス)ベイビー、どうか帰ってきて
「ひいらぎかざろう」を歌うのが聞こえる
だけど全然クリスマスの気分になれない
だってあなたがここにいたことと
楽しかった去年のクリスマスを思い出すから
(クリスマス)もし何かすべがあるなら
(クリスマス)涙も止まるのに
(クリスマス)だけど、もうクリスマス
どうか、どうか、どうか、ベイビー、どうか帰ってきて” (拙訳)
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この曲はマライラ・キャリーやU2もカバーしているんです。
Mariah Carey - Christmas (Baby Please Come Home) [audio] (Digital Video)
U2 - Christmas, Baby Please Come Home
この他にも、 マイケル・ブーブレ、ハンソン、リトル・ミックスなどたくさんのアーティストにカバーされているスタンダードなんですね。
しかし、これほどの曲が1963年に発売された時には全く売れなくて、チャートにさえ載りませんでした。翌年もシングル発売しましたがやはりチャート・インしていません。
アメリカのヒットチャートにはじめて載ったのが、なんと発売から55年もたった昨年、2018年12月だったのです。本当にものすごく長い時間をかけて、じわじわとスタンダード化していったという異色のクリスマス・ソングなんですね。
さて、このブログでは何度も触れていますが、プロデューサーのフィル・スペクターは”ウォール・オブ・サウンド(音の壁)” という、独自のサウンドを作りました。
独特の反響音のあるスタジオに大勢のミュージシャンを集め一斉に演奏させることで得られる、当時誰も真似のできない”オリジナル”でした。
彼はそのサウンドで、ヒット連発し、そのとどめの1発ともいうべき曲がロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」でした。
The Ronettes - Be My Baby (Official Audio)
この曲の成功で、彼は自身のサウンドが完成したと考えたのかもしれません。この後、彼は有名なクリスマス・ソングを自分のサウンドでアレンジし、自分のレーベルのアーティスト総動員で歌わせる、というアルバムの制作に取り掛かります。
「A CHRISTMAS GIFT FOR YOU」と名付けられたこのアルバムの裏に書かれた”長い”ライナーノーツの中で彼はこう述べています。
「クリスマスはとてもアメリカらしいものですから、今こそ偉大なクリスマスの曲に現代のアメリカのサウンドを与えるときなのです」
謙虚な語り方ではありますが、彼は自分の作ったサウンドは、偉大なクリスマスの曲でさえ料理できるのだという自負があったわけです。
このアルバムの最後は「きよしこの夜」をバックに、彼のナレーション(アルバムを作った意図や感謝の念をしゃべっている)で終わるのですが、強い自己顕示欲が感じられます。
当時、彼はまだ23歳でした。才能も自信もあり、いよいよそこに結果もついてきた。よし、ここぞとばかりに、彼の野心、自己顕示欲のギアが一段あがったのでしょう。
このアルバムのレコーディングは約6週間、まさに不眠不休の超過酷なもので、終了後エンジニアのラリー・レヴィンは”もう辞めたい”とフィルに申し出たそうです。。。
このアルバムの中に、オリジナル曲が1曲だけ入っていて、それがこの「クリスマス」でした。フィルは、「ビー・マイ・ベイビー」を書いたジェフ・バリーとエリー・グリニッチに曲を依頼しています。まさに勝負作だったのでしょう。
しかし、このアルバムと「クリスマス」が同時発売された1963年11月22日、思いがけない大きな事件が起こります。
それは、ケネディ大統領の暗殺です。
国全体が本当に深く沈み込んだようなムードになったと言われています。この明るくポップなクリスマス曲のオンエアを多くの放送局が取りやめたことは十分想像できます。
結局、このアルバムは市場にほとんど”かすりもせず”に終わり、自信満々だったフィルはひどく失望したようです。そして、若き大ヒットプロデューサーだった彼はこの頃からだんだんと成功から遠のいていくことになります。
これは、ただ運が悪かったとしか言いようがない出来事なのだと思いますが、大成功によって驕りや自己顕示欲とか、過剰にエスカレートしていく彼のエゴを止めるために見えない力が働いたようにも僕には思えます。このアルバムが大ヒットしたら、彼は完全に手のつけられない”独裁者”になっていたかもしれないと思うからです。
会ったこともない人についてこんなことを言うのもなんなんですけど、、。彼の伝記の類を読む限り、そんな風に感じてしまいます。
さて、ケネディ暗殺によって、その年の音楽市場でのクリスマス・ムードは完全になくなったかというと、そうでもなかったようです。昨日このブログで取り上げたクロディーヌ・ロンジェの旦那さんだったアンディ・ウィリアムス、彼のクリスマス・アルバムはよく売れたんですね。
クリスマスというのはやっぱりコンサバティブなものなのでしょう。特にケネディが亡くなって喪に服すような空気感の中ではそれがより強まった。そこで、安心感があってクリーンなアンディのクリスマス・ソングは聴かれたわけです。
それに比べると、フィルの作品は当時、クリスマス・アルバムとしてはかなり大胆で革新的過ぎたのでしょう。
しかし、ビートルズさえも憧れたというその時代屈指の天才フィル・スペクターが、最盛期に、全精力を注いだ作品なわけですから、その凄さに気づく人が時間の経過とともに増えていきました。
そして、クリスマスは神聖なものということで、基本的にオリジナルに忠実に歌われてきたクリスマス・ソングを、こんな風にポップスとしてアップデートしていいんだという”見本”を後続のアーティストたちに与えれくれたがこの作品でした。
(このアルバムにいち早く、大きく影響を受けたブライアン・ウィルソンはさっそく翌1964年に自身(ビーチ・ボーイズ)のクリスマス・アルバムを作ります)
「サンタが街にやってくる」は、ブルース・スプリングスティーンをはじめとして、フィル・スペクター版をベースにしているアーティストも少なくありません。
Santa Claus Is Coming To Town ~ The Crystals
それから、歌詞に出てくる「ひいらぎかざろう」はこの曲です。
Deck the Halls with Lyrics | Christmas Songs and Carols
「ひいらぎかざろう」を聴きながら切ない思いになってしまうというのは、けっこう辛いシチュエーションですね。しかし、ダーレン・ラヴの歌いっぷりは、そういう悲しみを吹き飛ばしてしまうような勢いがあっていいなあと思います。
- アーティスト:ダーレン・ラヴ
- 出版社/メーカー: Legacy Recordings
- 発売日: 2011/11/02
- メディア: MP3 ダウンロード
- アーティスト:Phil Spector
- 出版社/メーカー: Sony Legacy
- 発売日: 2015/09/04
- メディア: CD

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