おはようございます。今日は僕が大好きな曲、フランク・ウェーバーの「'71」です。
When I was younger I used to be
A little less crazy and lot more free
I guess the years are catching up to me, at last
I never cared too much for money or fame
I never wondered should I change my name
And love was just another painless game,
that always came around again...
None of my buddies never did me wrong
All of my girlfriends used to like my songs
Everyone I knew felt happy and strong, and alive
I never knew it took so much to survive
I never knew I'd deal with so much jive
You know if I had a crystal ball
I might have cashed it all in back then...
Tell me did you feel the same about '71
Was it my imagination.
or did we seem to have more fun
But those years are gone
now there's nothing to be done
with all these memories
'cause I got twenty-five behind me
and a lot more left to come
'cause I got twenty-five behind me
and a lot more left to come
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若かった頃の僕は
今ほどクレイジーじゃなくて、ずっと自由だった
歳月が僕を捕まえたんだろうね、とうとう
お金や名声なんて全然気にもかけなかった
名前を変えようなんて思ったこともなかった
愛はただの痛くもないゲームの一つに過ぎなかった
いつも繰り返しやって来るだけの
仲間たちは誰も僕にひどいことをしなかった
ガールフレンドはみんな僕の歌が好きだった
知っている人はみんな幸せを感じて、強くて、生き生きしていた
生きていくのがこんなに大変だなんて思いもしなかった
こんなたくさんのでたらめの相手をしなきゃいけないだなんて
もし僕に未来が見える水晶玉があったら
精算してゲームを降りていたかもね
教えてほしい、71年のあの時、君も同じように感じていたのかい
それは僕の幻想だったのかな
それとも、僕たちはもっと楽しんでるように見えたのかな
だけど、もうあの日々は消え去ってしまった
この残された記憶で 僕らにできることは何もない
僕の後ろには25年の年月があって
これからもっと長い年月が待っている
25年の歳月が過ぎたけど
もっと長い年月がやってくる (拙訳)
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フランク・ウェーバーはNY出身のピアノマン/シンガー・ソングライター。コアなAORファンなら知っているアーティスト、という感じかもしれません。
1980年代にAORやブラコン(ブラック・コンテンポラリー。今は使いません)が今の時代の若者の気分を象徴する音楽だと説いた田中康夫の「たまらなくアーベイン」(僕が買った時は「僕だけの東京ドライブ」というタイトルに変わっていましたが)という音楽ガイドブックがあって、そこで彼の「As The Time Flies」というアルバムが紹介されていて、僕は知ったように思います。
聴いてみるとビリー・ジョエルをマイケル・フランクス寄りに優しくしたようなタッチのとても素敵なアルバムで、僕の愛聴盤になりました。
誰かが売れると、”二匹目のドジョウ”を狙うのが音楽業界の常です。彼がデビューのきっかけを掴むことができたのは、ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」の大ヒットのおかげだったと思われます。
”ニューヨークに他にピアノマンはいないか?”なんて探した人がいたんでしょう、きっと。
そして、日本のレコード会社もそういう意図を汲んだようで、彼のセカンド・アルバムには「ニューヨークのストレンジャー」という邦題がつけられていました。。。
僕はビリー・ジョエルともフランク・ウェーバーとも会ったことがありますが(ビリーは一回握手しただけですが、、)、まったく正反対の印象を持ちました。
ビリーは愛想がなく、相当な”圧”というかエネルギーを持つ人物、フランクは物腰がとても柔らかくジェントルです。どちらが熾烈な音楽業界で成り上がっていくのかははじめからはっきりしていたのかもしれません。
余談ですが、ビリー・ジョエルの最初の奥さんの弟でビリーのマネージャーもやっていた人物が同姓同名、フランク・ウェーバーといいました。こちらのフランクはゴリゴリ押していく人物のようでしたが。
ジェントルなピアノマン、フランクは音楽の世界で成功できず、ある時期から音楽業界から長く遠ざかって、サイコセラピスト(心理療法士)などもやっていたそうです。
ただ、音楽への情熱は消えていなかったようで、2010年に30年ぶり(!)のニュー・アルバムを作り日本だけでリリースしています。そのアルバムの発売に僕も少しだけ関わらせてもらっているんです。
2007年ごろでしたが、僕が「As The Time Flies」について書いたブログが彼の友人の目にとまり本人に知らせたようで、彼本人とやり取りすることになったのです。ちょうど彼は音源を作っていて日本でリリースしたいと思っていたんですね。そしてその音源を送ってもらって、僕はレコード会社時代の知り合いなどにプレゼンしてまわりました。それが「Before You」というアルバムです。これもとてもいいアルバムです。
さて、今回ご紹介する「’71」は彼のデビューアルバム「As The Time Flies」の1曲めに入っています。
この頃彼は25歳くらいだと思いますが、さまざまな現実にとまどっている今の自分が、まだ十代だった1971年、一緒の時間を過ごした仲間たちにむけて、あの頃のみんなは同じ思いを持っていたのか、それとも自分だけが勝手に夢見ていたのだろうか?と問いかける内容の歌になっています。これは学生から社会人になって何年かすると誰もが感じることですよね。
でも、結局はもう過ぎたことなんだから何を思ってもしょうがない、と主人公は割り切ろうとして、最後は、
”僕の後ろには25年という年月があり、目の前にはもっとたくさんの年月がある”
という、現実を静かに受け止める言葉を繰り返して終わります。
そこにあるのは希望でも絶望でもありません。現実を受容しようとする正直な心の動き、です。デビューアルバムのオープニング曲としては、あまりにドラマ性がなさすぎるのかもしれません。
しかし、ヴォーカルとメロディー、そしてアレンジがその微妙な情感をさりげなく彩ってきて、じわじわと心にしみて来ます。僕はその感じがとても好きなんですよね。
それから、サビのメロディがクリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティー・セレナーデ」に少し似ていますが、「'71」の方がリリースが先だと付け加えておきます。
最後に、この「’71」が収録されている 彼のアルバム「As The Time Flies」には、初期のビリー・ジョエルをもう少しジェントルに洗練させたような曲がたくさん入っていますので何曲かご紹介させてください。
<追記>
今年(2019年)デビュー41年目にして彼は初めての来日公演を行いました。サポートしたのは日本のミュージシャンたちで、コンサートを運営したのは、彼を応援する有志でした。僕もその場にいましたが、やっぱり、日本の音楽ファンって素敵だなあ、としみじみ思いました。
最後は、来日公演より少し前、2018年11月12日に代官山のWEEKEND GARAGE TOKYO(追記:2020年末に残念ながら閉店しています)で急遽弾き語りをやった時の「’71」の動画を。
彼の30年ぶり!の新作は日本のみでリリースされました。
