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ハロルド・フライのお土産はきらきらしていました

 幸せを探す旅人のみなさん、おはようございます!

ざべすよ!

 おあつうございますわ。

 でも日曜日です。雨の日も晴れの日も来てくれる日曜日さんが久しぶりに到来です。

 そして今日は東京都知事選投開票日です。

 ざべすたちはもう投票を済ませました。

投票して、おすしを食べました

 ひらがなで書いてもいいって言われたので、雨子はひらがなで書いたそうです。

「自分を信用できないから」

 だそうです。

 期日前投票所のそばにはベゴニアが咲いていました。ベゴニアってキクラゲに似てるねって話をしました。

おいしそうです

 ざべすは選挙権がないので、都民のみなさんの賢明で真剣な投票行動に期待します。投票に行ったらあとはもう、さっぱりした気持ちで外食をするといいです。

 このごろうんと暑くて、

お花も暑そうです

ざべすはなにか元気の出るものを食べたい気持ちが高まっています。そしたら、雨子がおひるにイタリアンレストランに連れて行ってくれました。そして、雲丹やエビののったスパゲッティーを食べさせてくれました。

じゃーん

 おいしいね、おいしいねと言いながら食べました。

 それからまた別の日、♪すいようびはえいがのひ〜という歌を歌いながら、みんなで映画館に行きました。

ここをくぐっていきます!

 そしたら、映画館でも投票キャンペーンをしていました。

じゃじゃん

 選挙権のない人も参加できるように、「選挙ですね」って言ってくれたら割引♪ という本屋さんもあるそうです。そしたら、ざべすも割引してもらえる可能性があるので、ざべすは嬉しい気持ちになりました。

 見たのは、白黒映画で、すっごくおしゃれなアパートに映画監督の男性が引っ越してきて、女の人が娘さん含めて四人出てきて、談笑したり泣いたりまたおしゃべりしたりしている映画でした。ざべすは「時間が行ったり来たり跳ねたりしてちょっと難しいから、詳細はあとで雨子に聞こう」と決めて、ふかふかのシートでアイスクリームを食べたりうとうとしたりしていました。終わったら雨子はちんうつな表情で、「見えなかった」と言いました。何が見えなかったの? と尋ねると、「字幕が、一文字も、見えなかった。メガネ忘れたから……」とうなだれてそこに倒れ込んでしまいそうな姿勢だったので、ざべすたちでひっぱって映画館の外に出て、食事を与えました。

タコライスです!

 これですこし持ち直した雨子に、さらに雨子が好きなカヌレを与えました。

カヌレとリンゴフレーバーのほうじ茶です!

 雨子は「教訓を得た」と言ってお茶を飲み、しんみょうなおももちでこう言いました。

 「まず、映画館に行くとき、眼鏡を忘れるのは言語道断」

 ざべすたちは「言語道断」と声を合わせました。

 「次に、白黒映画のときは、前の方に座る。絶対」

 ざべすたちは「絶対」と合唱しました。

 「以上です」

 雨子はそう言って、またうなだれましたが、次の映画の時間が迫っていたのでいそいそとお店を出ました。次は『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』という、おじいさんが 800 km 歩いてホスピスにいる友だちに会いに行くお話です。雨子は「こっちはカラーなので大丈夫だと思う」と言いながら、映画館のふかふかシートに腰掛けると目薬をばしゃばしゃとさし、映画が始まるまでずっと目を閉じていました。

 こっちの映画はざべすにもわかるお話でした。

 すっごくおもしろかったわ。

 最初はどうして歩くのかな、車で行けばすぐなのにと思って見ていたのですが、見ているうちに、ハロルドさんにはどうしても一人で歩く時間が必要だったのだとわかりました。

 ハロルドさんにはうまく思い出せないことがありました。

 お子さんのことです。

 思い出せないというより、いつもいつも胸の片隅にあって、彼を責めさいなんでいたことです。その状況のせいで、むしろ事実は彼から遠ざかっていました。

 歩きながら、ハロルドさんはそのことを我知らず思い出してしまうのですが、それを止める人も、止めることもない今、お子さんの苦しみとともにハロルドさんは歩くのでした。

 ハロルドさんに水を飲ませてくれた家の人が、歩くってシンプルなようでいて、難しいわよね、本能って、難しい……食べるとか、眠ることとか、不眠症の人もいるでしょう? と言っていました。ざべすは、そうなんだなと思って聞いていました。ハロルドさんはずっと、うまく歩くことも、考えることも、思い出すこともできずに苦しんできたようでした。

 その行為に何の意味があるのか、と傍からは言われてしまうようなことでも、その人にとってはどうしてもやらなければいけない、そうしないと時が流れていかない、うまく思い出しながら生きることもできない、そんなことがあるんだなとわかり、何度も泣いてしまいました。

 そして、今日の選挙のような映画でもあるなと思いました。

 選挙の度に予想が出て、大体その予想通りに終わってしまって、その度にうなだれる雨子や雨夫の首を見てきましたが、それでも、これまでもそうだったように、これからも、「この人に」と自分で考えて決めた人に一票を投じつづけるのだとわかりました。その一票がすくなくとも一票であることを守るためにも、それは必要なことなのです。

 無力だという認識は人を本能から遠ざけ、生活から味をなくし、命をほそらせます。今日一日を生き生きと生き抜くために、どうしてもやらなくちゃいけないことがあるのです。

 今回の選挙では、街に出て、投票を訴える一人街宣の運動がありました。その人たちみんな、ハロルド・フライです。ハロルド・フライはクイーニーにあげたい、きらきらしたペンダントを握りしめて歩きました。どこに行ったかわからなくなったり、盗まれそうになったそのきらきらしたものが、思いがけない光を生み出したのです。ざべすはあのきらきらの反射を一生忘れられないと思います。

 すっかり元気を取り戻した雨子とざべすたちは、のっしのっしと上手に歩いて、元気いっぱいおうちに帰りました。

日が沈んでいきました

 また来週、会いましょう。

🚶 ちぇりおですわ 💃




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