東京都が少子化対策としてマッチングアプリを都で開発するというニュースをちょっと前に聞いて、イーッとなってました(「イーッ」というのは「イーだ」の「イー」で、「ウエー」の仲間です)。
都でマッチングアプリとか、民業圧迫って言わないんでしょうか。
少子化対策というのなら、今生きている子どもたちとその親御さんたちが生き生きと安心して暮らしていけるようにすべきこと、たくさんありますよね。今生きている人たちが安心して暮らしている姿を見てこそ、これから親になるかもという人たちも安心できるわけですし。結婚さえしたら子どもが生まれるってわけでもないし、生まれたら育てていくんだし、人間がひとり、このハードな社会でやっていけるようになるには大変な道のりがあるわけですし。現に生きている子どもたちの貧困問題は? 子ども達の人権は?
ところで話は変わりまして、ここから自慢なんですけど、私と雨夫さんが結婚して数年経ったころ、まわりで「あなたたちみたいな結婚ならしてもいいかなと思って」と言って結婚の届け出を出す二人組が続々……というと言い過ぎですが、五組ほど出たということがありまして、その後も時折「雨子さんたちみたいな結婚ならしたいけど」と言われることがあるという有様で、はたと今考えてみて、なんかすごくないか? と思いました。
しかし、私たちみたいな結婚ってどういう結婚なんでしょう。面と向かって言われるとこれが「えー」とびっくりしているうちに流れてしまうような話で、ふと「それってどういう結婚?」と疑問がわいてももう今更聞けないのです。
もともと私はどちらかというと『虎に翼』の寅子とよねさんの間くらいの結婚観で、「結婚てね、罠だよ!」と言うまで結婚に対して漠然と「こっちじゃないな」と思っていた寅子よりはもう少し明確に、「これは地獄の制度……そもそも戸籍が……」と考えていました。
しかしその制度はとりあえずおいといて、この厳しい、ハードな人生を一緒に渡っていきたいと思うような相手がたまたまそばにいたので、結婚しました。二人とも、それまでいた家から籍を抜いて、新たに籍をつくり、それを届け出て……この過程で、「どっちの苗字にしてもいいわけだ」というやりとりもありつつ今に至ります。
このときに初めて、親の籍から抜けたければ分籍という方法があったのだと知り、さっさとやっとけばよかったと思いました。
それで今日考えているのは、この民法上のもろもろのことではなく、婚活婚活とそれほど言うのであれば(実態としては何も考えていないと思う。単にまた巨額の予算を組んで雑に中抜きさせて適当なアプリつくってついでに個人情報取れたらいいな、という程度なのでは)、二人での暮らしが平穏無事に展開しつつ、それをもって「そんな結婚ならしてもいいな」と言われ、実際何組か届け出を出すに至ったというこの私どもに話を聞きに来たらいかがかな? とか思ったのです。頼まれたら、私も鬼ではありませんので、婚活の伏龍的な感じで助言をいたしましょう。
と、しばらくその線で考えてみたのですが、言えることは何もありませんでした。
私たち結婚したの偶然だし。
人それぞれだし。
無理矢理まわりが結婚させるようなことをすると大抵うまくいかないし。
おまけに今は「子どもすなわち将来の労働者にして納税者にして兵隊の数が減る」と考えているのがまるわかりの組織に煽られてする結婚なんて、不幸の煮こごりにしかならないのはわかりきっているのであり、なにか言えることがあるとすれば「おやめ」くらいです。
やはり、結婚したい二人がいたら家だの性別だの関係なくさっとできて、届け出する気は無いけど一緒に暮らしていく二人がいたらそれもまた問題なくできて、いろんなかたちで生まれる子ども、育てられる子どもがいて、その子達がみんな健康に生き生きと暮らしていけて、そしてまた、一人で生きていきたいという人がいたらそうできて、血縁でも恋愛関係でもないけど一緒に暮らしたいという人たちがいたらそうできて……そんな風だったら「子どもの数」とか野蛮な恐怖に煽られることもなく、みんなすこやかにやっていけると思うんです。
🌳 おわり 🌲