AI に Google Cloud の Cloud Support API v2 を操作させてサポートケース管理を効率的に行うための MCP サーバーを開発しました。
この記事では、開発した MCP サーバーの機能やユースケースについてご紹介します。
開発経緯
Google Cloud を使っていると、技術的な問題の解決や仕様確認のためにサポートケースを作成することがあります。
しかし、従来のサポートケース管理には以下のような課題を感じていました。
まず、サポートケースの起票やサポートとのやりとりは基本的に Cloud コンソール 上で行う必要があり、開発中のコードエディタから離れてブラウザを開く必要があります。
小さなことではあるのですが、コンテキストスイッチによる集中力の分散が気になっていました。
サポートケースを新規作成する際には、問題を正確に伝えるための適切な情報の選定や文章の書き方に悩むことがありました。
的確で必要十分な情報を含むケースを作成することで、サポート担当者がより迅速かつ正確に問題を理解し、早期解決につながることは分かっているものの、どの情報をどのように記載すべきかの判断に時間がかかることがありました。
サポートケースの作成後は、更新があったかどうかを確認するために、適当なタイミングでちょくちょくコンソールにアクセスする必要があります(一応、Audit Log を使って作り込めば自動で更新通知などもできるかもしれませんが)。
重要な問題の解決を待っているときなどは、やはり気になって頻繁に確認してしまいます。
また、過去にクローズしたケースの蓄積は、チームや組織にとって重要な資産だとも感じていました。
サポート担当者とのやりとりを通じて得られた知見を、将来的に活用できる形で効率的に集約・管理したいと考えていました。
これらの課題を解決し、AI の力を借りてより効率的にサポートケースを管理できないかと考えたのが開発のきっかけでした。
主な機能
MCP (Model Context Protocol) は、AI アプリケーションを外部システムに接続するためのオープンソースのプロトコルです。
例えば Gemini CLI, Claude Code, Github Copilot などの AI コーディングツールに利用したい MCP サーバーを接続することで、標準化されたプロトコルを介して外部リソースの読み書きや操作が可能になります。
今回開発した Cloud Support MCP Server は、Google Cloud の Cloud Support API v2 を AI に操作させることを目的としています。
そのうち Google Cloud から公式な MCP サーバーが登場したりするのかもしれませんが、現時点では同様のものが世の中になかった&自分が欲しかったので作ってみました。
本記事の執筆時点では、Cloud Support MCP Server は以下の 10 種類の機能 (ツール) を提供しています:
サポートケース管理
- サポートケース一覧の取得 (list_support_cases)
- 個別ケースの詳細取得 (get_support_case)
- ケースの検索とフィルタリング (search_support_cases)
- 新規ケースの作成 (create_support_case)
- 既存ケースの更新 (update_support_case)
- ケースのクローズ (close_support_case)
コメント管理
- ケースコメントの取得 (list_case_comments)
- 新規コメントの追加 (create_case_comment)
添付ファイル
- 添付ファイル一覧の取得 (list_case_attachments)
ケース分類
- ケース分類の検索 (search_case_classifications)
使い方
Cloud Support MCP Server を利用するには、まずサーバーを起動し、AI コーディングツール等に接続します。
git clone https://github.com/polar3130/cloud-support-mcp.git cd cloud-support-mcp npm install npm run build
コーディングツールに MCP を認識させるための設定はツール毎のドキュメントを参照ください。
例えば Gemini CLI だと以下のようになります:
# settings.json { "mcpServers": { "cloud-support": { "command": "node", "args": [ "/PATH-TO-YOUR-REPOSITORY/cloud-support-mcp/dist/server.js" ] } } }
以下のように、/mcp コマンドで cloud-support-mcp が表示されれば準備完了です。

ユースケース
Cloud Support MCP Server を利用することで、以下のようなシチュエーションで AI の支援を受けられることを想定しています。
私が実際に使っているときの様子も交えながらご紹介したいと思います。
1. サポートケースをつくる
1.1. 適切なケース作成のサポート
サポートケースは作成時の記載内容が重要です。
的確に必要十分な情報を記載できているかどうかで解決までのリードタイムに大きく影響することがあります。
特にケース作成に慣れていない場合や、馴染みのないプロダクトのケースを作成する際には、どの情報をどのように記載すべきか、AI がサポートしてくれると助かります。

1.2. 適切なケース分類の検索・提案
サポートケースの新規作成時は、ケース分類 (問い合わせ内容を示すカテゴリ) を指定する必要があります。
コンソールからも検索することができますが、プロダクトによっては結構な数の候補がありますし、どのプロダクトのケース分類を選べば良いのか迷ってしまうこともあります。
こうした場合に、AI が適切なケース分類を提案してくれると楽になります。

一見ではケース分類がややわかりにくい場合でも、AI にケース分類を探索・提案してもらうことで、的確な分類を見つけ出しやすくなります。

1.3. コンテキストスイッチの負荷低減
Cloud Support MCP Server を利用することで、サポートケースの作成や更新、コメントの追加など、サポートとのやりとりをコードエディタから離れずに行うことが可能になります。
ちょっとした負担ではあるのですが、緊急性の高い (例えばサービス影響のある) インシデントの対応中や、技術的に込み入った問題に集中して取り組んでいる過程でサポートとのやりとりが必要となる場合には、ブラウザ⇔エディタの往来で生じるコンテキストスイッチが意外と負担になるのではないかと思っています。

2. サポートとのやりとり
2.1. 通訳になってもらう
カスタマーケアのプランや、問い合わせる時間帯、問い合わせの内容によっては英語話者のサポート担当者とのやりとりが必要となる場合があります。
英語に苦手意識のある方でも、AI が通訳を手伝ってくれることで、スムーズにコミュニケーションを図ることができるようになります。

2.2. 更新を確認
ブラウザに切り替えなくともサポートケースの更新を確認できます。

Gemini CLI や Claude Code の Issue を見ると、サブタスクのスケジュール実行やバックグラウンド実行に関する機能提案が議論されていたりもするので、利用する AI コーディングツール次第ではケースに更新があったら Push 通知してもらうこともできそうですね。
- Gemini CLI
Feature: Run autonomous background Agents · Issue #4168 · google-gemini/gemini-cli · GitHub
Support SubAgent architecture · Issue #3132 · google-gemini/gemini-cli · GitHub
- Claude Code
Feature Request: Scheduled Actions in Claude Code · Issue #2794 · anthropics/claude-code · GitHub
3. ケースから得た知識の集約・活用
3.1. 過去のケースを参考にした新規ケースの作成
前述の「1.1. 適切なケース作成のサポート」に近いですが、過去のケースを検索できることで、過去の類似事例のやりとりを参考にしやすくなります。


3.2. ナレッジベースの作成・更新
開発経緯でも触れましたが、Design Doc や ADR といった設計書と同様に、過去にクローズしたサポートケースの蓄積もまた、チームや組織にとって有用な資産になるのではないかという期待があります。
MCP を使ってサポートケースを AI に読み取らせることが、サポート担当者とのやりとりから得られた知見を効率的に集約・管理するプロセスに役立つのではと考えています。

まとめ
Cloud Support API v2 用の MCP サーバーを開発しました。
MCP サーバーを介して AI と協力することで、サポートケースを効率的に管理できるようになりました。
また、MCP サーバーを開発して公開するという新しい経験もでき、良い機会になりました。