前提: プライベート+αくらいでの利用がスコープの話題です
個人的な結論
相反する存在というよりは、相互に補完しあえる存在であると思うので、使い分けたり両方使ったりしたらいい
ゴニョゴニョ
- クラウドストレージにはアカウントBANのリスクがあるという話
- 特にGoogle Driveのようにストレージ以外のサービスとアカウントが一体なサービスの場合、ストレージの使い方と関係ないところでのペナルティでBANされてしまうかもしれない
- 厳密にはクラウドストレージであってもプロバイダーの過失によるデータロストのリスクはありはするのだが、大抵のクラウドプロバイダーのそれはウルトラ低いを通り越してアルティメット低く、多くの場合では無視できるため、データロストを気にしながらクラウドストレージを利用している人はまあいないと思う*1
- NASなどの自前運用ストレージの可用性を確保するには一定の機材や知識が必要。それらが不足していれば、クラウドストレージのアカウントBANリスクよりもデータロストのリスクが高まりうるので、NASの構成やバックアップの構成などに気を配る必要がある
- 拠点の冗長性がない場合のリスク
- どんなにバックアップを取っていても、それを記録しているストレージデバイスがすべて同じ家の中に保管されていた場合、災害や天変地異によって家財道具もろとも家が全損してしまったらどうしようもないだろう
- すべてのメディアが常時通電状態にあるのであれば落雷によるリスクも気にしないといけない、など
- これを気にするなら、十分遠く離れた場所にもバックアップを配置する必要がある
- どんなにバックアップを取っていても、それを記録しているストレージデバイスがすべて同じ家の中に保管されていた場合、災害や天変地異によって家財道具もろとも家が全損してしまったらどうしようもないだろう
- 物理メディアの冗長性が不十分な場合のリスク
- HDDやSSDは壊れるので、壊れても良いようにする = RAIDなどを適切に構成する必要がある
- よく言われる話だが、RAIDはストレージデバイスの物理的な損傷に備えるものであり、↓ のような論理バックアップの機能を持っていない
- HDDやSSDは壊れるので、壊れても良いようにする = RAIDなどを適切に構成する必要がある
- 論理バックアップ不足の場合のリスク
- 間違って削除や上書きしてしまったら、とか、ランサムウェアがファイルを暗号化してしまった場合などに、以前のバージョンを復旧できるか
- 全体的に3-2-1ルール的な話
- 拠点の冗長性がない場合のリスク
- 機能
- 複数人でのコラボレーションのための機能みたいなのはクラウドサービスのやつのほうが大抵はよくできているだろう
- 仕事で使うなら気にしないといけなかろう
- 出先から自宅のNASにTailscale越しで接続するより、Google Driveなりに接続するほうが安定する・帯域幅も確保できることのほうが多かろう
- 複数人でのコラボレーションのための機能みたいなのはクラウドサービスのやつのほうが大抵はよくできているだろう
- 値段
- クラウドストレージの値段はプロバイダーの言いなりである
- イニシャルコストがかからないがちなのは良い
- Google DriveやDropboxはプランの容量の階段が恣意的で、350GBしか保管しなくてもいいのに2TBプランを契約する羽目になっちゃう、みたいなことがままある
- なにかと値上げされたり
- 全然いらない機能が増えるかわりに抱き合わせ的に値上げがされたり………
- 自前ストレージは
- イニシャルコスト
- HDD・SSD代
- NAS代
- ランニングコスト
- 電気代
- 太陽光発電+蓄電池システムとかをストレージの設置拠点に完備でもしない限り、電気代は電力会社の言いなりではあるのだし、そこに関してはクラウドストレージとあんまり変わらないのではという気がしないでもない (金額の多寡はあるにせよ)
- HDD・SSDが故障するたびに、新品にとりかえる費用がかかる
- 電気代
- 自分が必要とするストレージ容量や冗長性から、どれくらいNASなりのスペックが必要で、それを構築するのにハードウェアでなんぼかかって、何年かけて減価償却するので、……というのを計算してみよう
- わたくしの場合は諸々が今みたいに超値上がりする前に構築が完了してしまっているのでアレなのですが、8TB HDD*5 + 下記のハードウェアのNASの構築に15万くらいかかっており、HDDが壊れなければこれで5年はいけるっしょって感じなので
- イニシャルコストの償却は150000/12/5 = 月2500円
- 書いてから思ったけど5年はちょっと盛りすぎたかな…。3年間だったら150000/12/3=4167円
- 消費電力が50Wとして、電気代が1kWhあたり35円とすると30日間で1250円
- 合わせて月3750円。8TB*5 RAID-Z2は24TB相当だが、たとえばGoogle Oneの20TBプランは2026年3月3日時点で月額14,500円
- くどいかもしれないが、これはアンフェアな比較で、自前運用ストレージ、特に自宅にぽんと置いてあるだけのNAS 1台の可用性なりはGoogle Driveに比べて相当低いし、機能面もけっこうな差があることに留意する必要がある
- イニシャルコストの償却は150000/12/5 = 月2500円
- わたくしの場合は諸々が今みたいに超値上がりする前に構築が完了してしまっているのでアレなのですが、8TB HDD*5 + 下記のハードウェアのNASの構築に15万くらいかかっており、HDDが壊れなければこれで5年はいけるっしょって感じなので
- イニシャルコスト
- クラウドストレージの値段はプロバイダーの言いなりである
俺はこうしている
- 容量がたいしたことないファイル
- Google Drive、Dropboxにプライマリー (用途別に使い分け)
- NASにGoogle DriveやDropboxの内容を定期的に自動でバックアップすることでアカウントBANリスクに備える (後述)
- 容量がデカく、生きている間はあまり失いたくないファイル
- NASにバックアップ
- NAS以外の余ってるHDDにも定期的に手動でバックアップ
- それなりの期間NASを運用し続けていると、容量アップのために壊れてないけどHDDを入れ替えるというイベントがどこかで発生すると思う。そこで入れ替えられて余ったHDDを再利用
- NAS以外のさらに余ってるHDDにバックアップし、自宅から遠く離れた実家*2の押入れに保管することで、地理的な冗長性を確保
- 入れ替えられて余ったHDDを以下同文
- たまに帰省したタイミングとかで最新の内容に同期する
- 容量がデカく、失ったら失ったでまあ…というファイル
- NASだけに保存
- MacのTime Machine
- NASと、余ってた外付けHDD (普段は通電していない)
- 特に秘匿したいファイルについてはCryptmatorで暗号化したうえでクラウドストレージやNASに配置
容量がデカいというのは、自分個人としてはTB単位になってくると…というイメージ。ここは人や用途によって異なるところだろう。たとえば自分の場合はこんなかんじ:
- Musicアプリ (iTunes) のライブラリ (なるべく失いたくない) が合計で1TBちょい
- Photosアプリのライブラリ (なるべく失いたくない) が800GBくらい
- カメラのRAWファイル (ものによっては失いたくないけど、失ったら失ったでまあ) が2.5TBくらい
- アクションカメラの録画ファイル有象無象とかもあるはずだけどちゃんと数えてない…
これらをすべてGoogle Driveなどに保管しようと思うと、10TBプランとか20TBプランが見えてくる感じになってしまう。安めのオブジェクトストレージに記録するのでも結構な金額になるだろう。
NAS
- TrueNAS
- RAID-Z (ソフトウェアRAID) で物理データロストのリスクを抑える (HDD故障に備える)
- HDD 5本でRAID-Z2 (2本まで同時に壊れてもOK) を構築
- Periodical Snapshot機能 (定期的にスナップショットを保存することで、スナップショットを取ったタイミングのデータを自由に復旧できるようにする) で論理データロストに備える
- 日次で取得したスナップショットを半年くらい保持。無期限で保持するスナップショットを気まぐれで取得し、ストレージの余裕がなくなったタイミングで削除
- Cloud Sync機能でGoogle Drive・Dropboxと同期
- 日次でクラウド側→NASの片方同期を実行
- RAID-Z (ソフトウェアRAID) で物理データロストのリスクを抑える (HDD故障に備える)
- ハードウェアは Jonsbo N2でN100搭載5ベイNASを自作した - polamjaggy を参照
自分は職業ソフトウェアエンジニアで、こういう運用みたいな話も含めて、盆栽を育てるような気持ちで楽しめてしまうタイプなので、手間のコスパみたいな話は無料扱いでいいんだけど、そうでない人にとって何が最適なのかは正直難しいと思う…。
よくわかんないって方に対する一般的なアドバイス
前述のように、クラウドストレージか自前のNASかという話は、相反する存在というよりは、相互に補完しあえる存在であると思うので、使い分けたり両方使ったりしたらいいと思う。
- クラウドストレージのプランに不満がなく、アカウントBANなりのリスクに備えなくてもいいなら、クラウドストレージを普通に使ったら良いと思う
- クラウドストレージのプランに不満はないがアカウントBANなりのリスクに備えたい、という場合は、クラウドストレージをメインで使いつつ、ローカルストレージにクラウドストレージのデータを定期的に同期するように構成する、という手が考えられる
- NASとかである必要もあまりなくて、月に1回とか適当な頻度で外付けHDDみたいなやつに同期するようにするくらいでもいいだろう
- 容量単価などの面でクラウドストレージではどうにもならない、という場合、自前で3-2-1ルールを意識しつつNASなりを運用していく必要がありそう
追記
思ってたより見られてしまった!!結構言葉足らずかつ書いてないけどやってることがそこそこあったので補足します、というのと、ブコメのお返事コーナーです
(安めの) オブジェクトストレージの併用
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggy変更がほぼ発生しない長期保存したいファイルならBackblaze B2とかwasabiとかのオブジェクトストレージが案外安い
2026/03/03 12:35
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggy
- []
東北の震災以来、NAS以外にクラウドにバックアップ始めた。Amazon Glacier使ってる
2026/03/03 18:57
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggy私はrestic使ってs3glacierに2TB毎日増分バックアップしてる。月1000円未満
2026/03/03 19:16
ごくごく一部のファイルをBackblaze B2にもバックアップしているのでした……が、冗長性を高めるため、というよりは面白半分みたいな感じだったので言及してませんでした。手慣れであれば選択肢に入ると思います。S3について、Glacierのコスト体系はなかなか複雑だったりするので、ユースケースからストレージクラスを吟味する必要があるよな〜と思います (S3に限らず、Google CloudのGCSや、Blackblaze B2などからどれを選ぶか、という)
UPSいるのか問題
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggy自宅Nasしてるけど、瞬間停電とかに備えてUPS(無停電装置)買うと一気にコストあがる。UPSは高いがバッテリーの交換期限が早い。
2026/03/03 19:25
電源のリスクをどう捉えるかだよな〜という感じがありますね。
- 落雷リスク: 超個人的な体験でアレなのですが、家の程近くに落雷してサージ電圧かなんかでエアコンがぶっ壊れたという経験があり、それ以来あまり壊れてほしくない家電には雷サージタップを噛ませるようにしている…のの延長でNASもそうしている
- 一方で、停電によるデータロストのリスク (NASの不意な電源断によるファイルシステム不整合のリスク) についてはあまり気にしていない。ZFS (OpenZFS on Linux) を信じています
データの秘匿、暗号化
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggyなんかすごいこだわったり比較に情熱注いだりするのにE2EEとかにはそんな気を使ったりしないのね
2026/03/03 20:51
あまり気にしてないですね……。
- Googleなどにすでに一定の個人情報を明け渡しているので、多少ストレージ上のファイルを読まれたところで…みたいな感じである
- プライベートのメールアドレスがGmailな時点で…、みたいな
- ファイルたちの中でも、これは、というものに限っては前述のとおりCryptomatorで暗号化している
- 何でもかんでもCryptomatorで暗号化する のはそれはそれでちょいちょい面倒ではあるはずなので、そうしないでいいのであればそれに越したことはないだろう
ので、自分の中では一応バランスが取れているつもりです。
ほか
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggyローカルからNASないしクラウドストレージに同期するフォルダ運用してるとBANとかで削除情報が逆流してきてローカルのが全部消えちゃうとかが怖くてなぁ…ちゃんと一方通行で設定はしてるんだけどドキドキしちゃう
2026/03/03 21:09
これのためのNASでのスナップショット定期取得なんです!Google Driveなりのバックアップをしている領域においても定期的にスナップショットを取得することで、そのスナップショット取得時点でのGoogle Driveの内容はこれだった、を復元できるというわけなんですね〜 (早口)。
クラウドストレージ vs 自前NAS運用的な話についての私見 - polamjaggyこれはバックアップデータの話なんだよね。HDDNASのアクセス速度なんて常用できないんだから。メインストレージの扱いやバックアップ手順についても書いてほしかったりする(他力本願
2026/03/04 09:52
良いことを聞いていただきありがとうございます、ここはここで話題があって…… (早口2)
- アクセス速度が遅いと困るものは基本DASがマスター的なファイルの置き場
- DAS: direct attached storage。NASはnetwork attached storageで、マシンにネットワーク越しで繋いでいるのか、そうでなくUSBとかで直結しているのか、の違い。DASはUSBメモリや外付けHDD/SSD (あるいはその延長線上の何かしら)、NASはNAS (LAN越しなりでアクセスするもの) と理解してもらえると良いと思います
- で、自分の場合はメインマシンのMacBook Proに外付けSSDが3台ぶら下がっています、つまり (メインマシンの) DASがマスター
- で…、そのDASからどうNASなりにバックアップしてるのかというと、ある程度のファイルの変更が発生したタイミングでバックアップスクリプトを手動で実行してます (最悪)
- 半分日課みたいになっているのでもう面倒とか全然思わなくなってしまった
- バックアップスクリプトでは、概ねrcloneというツールを使っている
- これはこれで話題があって、APFSフォーマットのSSDからZFS over smbに対してUnicodeのNFC/NFDのあたりを云々みたいなゴニョゴニョゴニョがとか、rcloneのパラメータチューニング話がそれはそれであるのですが、それは後日書きます………
*1:ミッションクリティカル度が高い案件においては、たとえばGoogle CloudとAWSとの間でデータをバックアップして…みたいなことをやる事例があることは知っている。これはそれぞれのクラウドプロバイダーがミスってデータ欠損させてしまうリスクよりは、どっちかのデータセンターが一時的にダウンしたときでももう片方でサービスを提供できるように (データロストというよりは、サービス提供の継続性) とか、たとえばランサム食らってもスピーディーに復旧できるように (片方が侵害されてももう片方が生きてればOK的な)、みたいなところを気にしてそうしているのであるという理解。プロバイダーの過失によるデータロストを気にしている人は誰もいないとは言わないが、それよりも気にするべきリスクがあるんでしょってことが言いたい
*2:関東←→九州