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GFAPアストロサイトパチーとナルコレプシー:アストロサイト障害による可逆性睡眠覚醒障害

当科の森泰子先生らと,筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の神林崇先生らと共同で,自己免疫性GFAPアストロサイトパチー(GFAP-A)に伴ってナルコレプシー1型(NT1)を発症した稀な症例を報告しました.GFAP-Aは,脳脊髄液中にGFAP-α抗体が検出される自己免疫性髄膜脳炎・脊髄炎であり,発熱や意識障害,けいれん,多彩な運動異常症を呈することが知られています.しかし,睡眠障害との関連はこれまでほとんど明らかにされていませんでした.

症例は47歳男性.意識障害と呼吸不全,四肢麻痺で入院し,脳脊髄液からGFAP-α抗体が検出されたことからGFAP-Aと診断しました.免疫療法によって意識は改善したものの,その後に強い傾眠と過眠が出現し,脳脊髄液オレキシン濃度が40 pg/mL未満と低下していたため,国際睡眠障害分類第3版の基準に基づき,NT1と診断しました.さらに免疫療法を継続した結果,オレキシン濃度は93.4 pg/mLまで回復し,過眠症状も改善していきました.

頭部MRIの経過はこの病態理解に重要な示唆を与えます(図1).発症13日目の画像では異常を認めませんでした.ところが,第48病日には橋,淡蒼球,大脳深部白質に高信号変化が出現し,右内側側頭葉の萎縮も観察されました.一方で,オレキシン神経が存在する視床下部には明らかな異常がなく,オレキシン神経自体が直接障害されていない可能性が示唆されました.さらに,第167病日にはFLAIR高信号は軽快しましたが,びまん性脳萎縮を認めました.脳幹や小脳の萎縮も目立ち,呼吸障害や睡眠時無呼吸の一因となった可能性が考えられます.

以上より,GFAP-Aに伴うNT1は,オレキシン神経そのものの不可逆的な障害ではなく,アストロサイト障害によって一時的にオレキシン神経が機能不全に陥ることで生じると推測されます.これは抗Ma-2抗体脳炎に伴うNT1と大きく異なります.こちらはCD8陽性T細胞によってオレキシン神経が直接傷害されるため,免疫療法だけでは改善せず中枢刺激薬が必要になることが知られています.

本症例は,GFAP-Aに伴うナルコレプシーとして世界で2例目,日本からの初報告です.免疫療法によりオレキシン濃度と症状が回復したことから,この病態が可逆的であることを強調したいと思います.筑波大学の神林崇先生とは,症候性ナルコレプシー視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に伴って生じることを,一緒に報告した以来の仲ですが,久しぶりに論文を発表できて嬉しかったです(図2はNMOSDのナルコレプシーMRI).神林先生,どうもありがとうございました.

Mori Y, Higashida K, Yoshikura N, Usami K, Yamahara N, Takekoshi A, Ishido H, Kanbayashi T, Kimura A, Shimohata T. Narcolepsy Type 1 as a Rare Manifestation of Autoimmune Glial Fibrillary Acidic Protein Astrocytopathy: A Case Report and Literature Review. Neurology and Clinical Neuroscience. 2025; 0:1–4. https://doi.org/10.1111/ncn3.70043

Kanbayashi T, Shimohata T, Nakashima I, Yaguchi H, Yabe I, Nishizawa M, Shimizu T, Nishino S. Symptomatic narcolepsy in patients with neuromyelitis optica and multiple sclerosis: new neurochemical and immunological implications. Arch Neurol. 2009 Dec;66(12):1563-6. (doi.org/10.1001/archneurol.2009.264




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