第19回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(大会長:都立神経病院 高橋一司先生)にて,「シャルコー生誕200年記念シンポジウムに参加して」と題した講演をさせていただきました.今月7月1日から5日にかけて,私はパリで開催された「シャルコー生誕200年記念シンポジウム」に参加し,「シャルコーと三浦謹之助の師弟関係」について講演する機会を得ました.今回はその報告をさせていただいた次第です.
講演は三つのパートで構成いたしました.まずパート1では,シンポジウムで拝聴した講演内容をまとめました.具体的には,①現代神経学への貢献,②芸術家としてのシャルコー,③教育者としてのシャルコー,の三つの視点からご紹介しました.シャルコーの言葉で印象に残ったものもご紹介しました(図1).

①では,観察と記述を徹底した診療姿勢,新しい技術を積極的に神経学へ導入した革新性,そして脳と心の接点を恐れず探究した先駆性(図2)について取り上げました.

②では,シャルコーが自らをオウムに見立てて描いた自嘲的かつユーモラスな自画像(図3)や,弟子ポール・リシェとの言葉「科学と芸術は同じ現象の異なる表現である」を紹介し,彼の芸術性に触れました.

③では,バビンスキー,トゥーレット,ピエール・マリをはじめとした多くの優れた弟子(図4)を育てた教育者としての姿勢に焦点を当てました.

続くパート2では,シャルコーにゆかりのある場所をめぐる歴史ツアーをご紹介しました.シャルコー図書館に収蔵された貴重な書物,歴史的建造物と最先端医療施設が融合したサルペトリエール病院(図5),シャルコーの生家,そしてパリ大学医学史博物館など,いずれも非常に印象深いものでした.

最後のパート3では,私自身の講演内容をご紹介しました.シャルコーが築き上げたフランス神経学の精神が,三浦謹之助を介して日本に伝わり,現代日本の神経内科へと受け継がれていることをご報告しました.謹之助はシャルコーから受けた教えをもとに,帰国後すぐ神経学の独立部門の設置を提案していますが,もし帝国議会が認めていたらわが国の神経内科学の歩みは今とはずいぶんと異なったものになっていたと岩田誠先生は述べておられます.
今回の経験を通じて,シャルコーが神経学の先駆者であると同時に,優れた教育者であり,さらに芸術と科学を架け橋する存在であったことを改めて実感いたしました.講演スライドは下記よりご覧いただけますので,ご興味のある方はぜひご参照ください.
講演スライド
https://www.docswell.com/s/8003883581/KW4NPJ-2025-07-25-164117