私は診察用ハンマー(打腱器)を集める趣味があります.3年前にブログで紹介したときの写真を見ると19本,一昨年は27本,昨年は7本増えて34本でした(https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2024/08/27/075319).意識して探してもさすがに最近は新しいものが見つかりにくいのですが,それでもこの1年で4本ほど増えていました.面白いものがあるので紹介します.

35.Taylor型(ブラック).現在,もっとも世界で使用されているタイプで,米国の小児神経内科医John Madison Taylor(Philadelphia)が 1888年に開発したものです.三角のゴムの素材や色,重さが異なるものは複数持っていますが,柄の部分を含め全体真っ黒のものを初めて見ました.輸入品.
36. Rabiner型.Rabiner型は円盤型打腱器の1つ.Babinski(1857-1932)が考案した柄がニッケルで覆った鉄製のBabinski型を,Rabiner(1892-1986)が改良し,柄を円盤に対して垂直だけでなく,水平方向に付け替えられるようにしたものです.さらにこのハンマーは柄を伸縮できるようにしてあります.日本神経学会はすでに医学生・研修医のために,柄が黒の学会公認ハンマーを作成していますが(No. 29),これは学会員1万人到達を記念して作成されたプレミアムハンマー(金色のロゴ)です.
37.Trömner型.パリ・サルペトリエール病院そばの医学書店で入手したもの.柄が白,ないし黒のものがありましたが,白を購入.おそらくマイハンマーのなかで最も重いです.形状も見たことがなく即購入しました.レジでお店の人が入れてくれたケースを見たところ,Trömner型(ドイツ製)と書かれており仰天しました.TrömnerはErnst Trömner(1868-1930)のことで,ドイツの神経科医・精神科医です.つまりフランスに来て,ドイツ製を買ってしまったということです!確かに打鍵部分が非対称,前後で大きさが異なり,Trömner型の変形バージョンと言えるなと思いました.
38.なぞの新型?.フリーマーケットアプリ「メルカリ」で見たことのないハンマーを見つけました.初めて「メルカリ」を利用して届いたものは,やや年季の入ったハンマーで,打鍵部分は小ぶり,腱反射は出しにくいです.しかしその形状はいままで見たことがありません.打鍵部分が左右対称であることを考えるとDéjerine型の変形と言えなくもないかもしれません.それにしてもどこの国で作られ,誰に使われて,どういう経緯でメルカリに出されたのか,とても気になります.どなたか情報をお持ちの方はご連絡いただけると嬉しいです.