学会初日,「シャルコー生誕200年特別企画 シャルコーと神経学」が開催されました.ジャン=マルタン・シャルコー(1825–1893)は「神経病学のナポレオン」とも称され,近代神経学の礎を築いた人物です.多発性硬化症やALSを初めて記載し,ヒステリー(現在でいう機能性神経障害)や催眠療法の研究でも知られ,フロイトにも大きな影響を与えました.
本シンポジウムで私は「シャルコーと三浦謹之助の師弟関係」について講演を担当いたしました.パンデミック禍で私自身,多くの機能性神経障害の患者さんと向き合う中で,かつて普仏戦争(1870~71年にかけて,プロイセン(ドイツ)とフランスの間で行われた戦争)後にヒステリー患者が急増した際,シャルコーがどのように接していたのかに関心を抱くようになりました.その過程で,シャルコーの最後の弟子の一人とされる三浦謹之助を知り,その師弟関係に強い関心を持ちました.謹之助がパリでシャルコーのもとに留学したのは,わずか8ヶ月にも満たない短い期間でした.しかしながら,その短い時間で彼は深くシャルコーに魅了され,その後の人生において「生涯の師」と仰ぎ続けました.なぜ,たった8ヶ月でそこまでの精神的な絆が生まれたのか.私はその理由を知りたいと考え,関連資料を収集しながら学びを深めてきました.その成果の一端を,今回の講演でご紹介させていただきました.スライドは以下のリンクからご覧いただけます.
スライド
https://www.docswell.com/s/8003883581/51RG24-2025-05-22-082101

また,望月大会長からも「どこで入手したの?」とご質問をいただいた「2人のイラスト」はAIに作成させたものです.お楽しみいただければと思います.

なお,会場12階ではシャルコー生誕200年を記念した資料展示も行われており,私の所蔵するシャルコー直筆の手紙や写真,三浦謹之助の直筆はがきや書籍なども出展しております.こちらもぜひ足をお運びいただき,師弟の足跡を実感していただければと思います.

【大会長校企画シンポジウム「シャルコーと神経学」】
座⻑:山脇 健盛,福武 敏夫
1.臨床神経学の創始者 Jean-Martin Charcot(1825–1893) 岩田 誠
2.シャルコーの神経写真学から学ぶ 河村 満
3.Charcotと先駆者 Duchenne 小長谷 正明
4.CharcotはSherlock Holmesに影響したか?-神経診断学と探偵学- 福武 敏夫
5.三浦謹之助とシャルコーの師弟関係 下畑 享良