
じつはこの論文にも引用されてますが,私たちのチームは以前,「MSAでは覚醒時に喉頭披裂筋の振戦様運動が生じること,かつこれが鎮静下の声門外転不全の重症度を示す指標となる可能性があること」を報告しています(Ozawa T et al. Mov Disord. 2010;25:1418-23).よってMSAで声にふるえが出るのは当然と思っていたのですが,この研究のように客観的にそれを示すことを考えませんでした.方法は比較的簡単で,同じ音(この論文では「あ」の音)を持続的に発声し,つぎにピッチを変えてもらい,それをPraatというフリーウェアで録音すると簡単に音声信号を視覚化できてしまいます.
この論文を読んで思ったのは,vocal flutterはMSAとPDを鑑別するだけでなく,MSAにおいて声帯開大不全が存在することを示唆するマーカーになる可能性があるということです.声帯開大不全の評価はプロポフォール鎮静をかける大掛かりな検査になるので,vocal flutterで代用できれば有益だと思います.MSA患者さんの診察に,持続的発声を追加したいと思います.
Mir MJ, et al. The Vocal Flutter of Multiple System Atrophy: A Parkinsonian-Type Phenomenon? Mov Disord Clin Pract. 2024 Feb 5.(doi.org/10.1002/mdc3.13988)