ただタイトルの意味はすぐには分かりにくいと思います.「曖昧さ」とは「『この患者さんには〇〇をする』と画一的・機械的に決められないこと」を指します.つまり個別性・自由度が高く,掴みどころがないため,その選択が確かかどうか断定できないのがOTの仕事だということです.これは脳神経内科医の仕事も同様で,根本療法がない神経難病の場合はまさに一緒です.絶対的なhow toが存在しないということです.著者は,2名のOTの先輩・後輩を通して,「曖昧さの正体」を紐解いていきます.そして最終的に「何をするのか?」と考えるのではなく,「なぜするのか?」を患者さんとともに考えて協働することの大切さを教えてくれます.
そして考えさせられる言葉のオンパレードでした.「拒否されない=ラポールが取れている,ではない」「答えの出ない状況に耐える(=negative capability)」「仮説を正当化する解釈をしていないか?」「眼の前の状況を中立的にとらえるトレーニングをしよう」「障害の受容を,受容できている,できていない,という二項対立的に捉えると,途端に患者の姿が見えなくなる」「人の心理状態は直線的に変化しない」「その人らしさに関する情報を,家族や多職種と共有することで実現できることがたくさんある」・・・いずれも大切なことだと思います.ぜひご一読ください!!
【追伸】話はそれますが,本書を読み,やはり脳神経内科医はリハビリを学ぶべきだと思いました.専攻医時代に内科だけ研修し,リハビリのみならず,精神科,脳神経外科,小児科などの周辺領域を学ぶことができない現在の専門医制度は非常に弊害が大きいと改めて思いました.患者さんのために良い脳神経内科医を育てる必要があります.
作業療法の曖昧さを引き受けるということ(医学書院)
