
ミクログリアたちの協力など見るのは初めてですが,驚くのはその連絡路を使って,瀕死のミクログリアは元気なミクログリアにαSynを送り込み,分解の手助けをしてもらっているというのです.その結果,αSynが減少すると,瀕死のミクログリアの炎症性変化は軽減し,細胞死が起きにくくなります.さらに,元気なミクログリアは,その連絡路を使って,瀕死のミクログリアにミトコンドリアを送り込むのだそうです(ミトコンドリアは細胞にエネルギーを供給します).
一方,家族性パーキンソン病(PARK8)を引き起こす遺伝子変異LRRK2 G2019Sでは,αSynの分解能が低下していることが知られていましたが,この変異を持つミクログリアでは,上記の連絡路を介するαSynの分解が損なわれていることが示されました.孤発性パーキンソン病でもミクログリアの分解能の個人差が影響しているのかもしれません.本研究はパーキンソン病のみならず神経変性疾患全体にも影響を与える重大な発見です.今後,神経変性疾患研究はミクログリアを標的とした神経炎症の研究,つまり免疫学的アプローチによる病態・治療研究に移行していく可能性があります.

Microglia jointly degrade fibrillar alpha-synuclein cargo by distribution through tunneling nanotubes. Cell. 2021 Sep 21:S0092-8674(21)01054-0.(doi.org/10.1016/j.cell.2021.09.007)