方法は血清Cre(正常84-135μmol/L)とCK(正常140-310μmol/L)測定を経時的に行ったALS患者346名(男性218名,女性128名)を対象とした前方視的コホート研究である.生存期間の解析にはKaplan Meier分析と多変量Cox回帰を用いている.
さて結果であるが,男性は女性に比べてベースラインの血清Cre値とCK値が有意に高かった.多変量Cox回帰分析の結果,血清Cre値の低さは男性(≦61 μmol/L, HR: 1.629; 95%CI: 1.168-2.273)と女性(≦52 μmol/L, HR: 1.677; 95%CI: 1.042-2.699)の双方で生存期間の短さと関連していたが(図1A,B),血清CK値は生存期間と相関していなかった.また,Cre値はALSFRS-Rスコアと正の相関があり(つまりCre値が低いほど重症になる:図1C),1ヵ月あたりのALSFRS-Rの低下率とは逆の相関があった(つまり低値なほど進行が速い:図1D).

追跡期間中,血清Cre値は男女とも疾患の進行に伴って低下する傾向があり(図2A,B),Creの1ヵ月あたりの低下率が高い群(>1.5)では,低群(≦1.5)と比較して生存期間が有意に短かった(30.0ヵ月 vs. 65.0ヵ月,P < 0.0001;図2C).

以上より,血清Creは,容易に測定可能な信頼性の高い予後予測マーカーであり,ベースラインのCre値の低下は,男性,女性に関わらず,ALSの予後不良と短い生存期間を予測する可能性がある.血清Creのようなルーチンで行われているありふれた検査値でここまで分かるのか・・・と少なからずショックを受けた論文である.多数例の集積と縦断的調査という大変労力がかかることができるかどうかなのだろう.
Guo QF, et al. Decreased serum creatinine levels predict short survival in amyotrophic lateral sclerosis. Ann Clin Transl Neurol. Jan 15, 2021