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多系統萎縮症における日中の眠け

多系統萎縮症(MSA)では多彩なメカニズムによる睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)を来すことが知られている.新潟大学医歯学総合病院では神経内科,呼吸器内科,耳鼻咽喉科などが協力し,2011年からこの問題に取り組んできた(Niigata MSA study).ちなみに睡眠時無呼吸症候群は睡眠呼吸障害(無呼吸・低呼吸)により日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness;EDS)を来した状態を指す.

昨年,ヨーロッパからMSAのEDSの頻度について報告があり(SLEEMSA study),MSA患者さんでは健常者の2%と比較し,28%と有意に多いことが報告された.しかしながらその影響因子については不明で,日本人においてはEDSの頻度自体も不明であった.このため新潟大学では,日本人MSA患者さんにおけるEDSの頻度およびその影響因子を検討したのでその結果をご紹介したい.

方法はGilman分類のprobable MSAを対象にした.EDSの頻度はEpworth睡眠尺度日本語版(JESS)を用いて検討した(24点満点で大きいほど眠く,11点以上でEDSと定義される).ポリグラフ検査(PSG)で評価した睡眠呼吸障害や周期性四肢運動症(睡眠中に下肢の不随意運動が周期的に出現し目が覚める疾患)の重症度がEDSの程度に影響を及ぼすかどうかについて検討した.

さて結果であるが,25名のprobable MSA患者さん(MSA-C 21名,MSA-P 2名)を対象とした.対象者全例でポリグラフ検査(PSG)を行った.平均ESSスコアは6.2±0.9点(0-15点)で,問題のEDSの頻度は24%とヨーロッパにおける報告と同等であった.睡眠呼吸障害(定義;AHI≧5/hr以上)は24人(96%),周期性四肢運動症(定義;PLM index>15/hr)は11人(44%)と高頻度に認められたが,睡眠呼吸障害を認めた症例におけるEDSの頻度は25%,周期性四肢運動症では18%と必ずしも高いわけではなかった.さらに睡眠呼吸障害の程度,周期性四肢運動症の程度のいずれもESSスコアと相関しなかった.しかし11人がパーキンソニズムに対し抗パーキンソン病薬を内服していたが,その11人において抗パーキンソン病薬のl-dopa換算量とESSスコアと相関した(r=0.662,p=0.027).またレストレスレッグス症候群は12.5%(3/25)の症例に認められた.

以上より日本人のMSA患者さんも過度の眠気の頻度は高いことが分かった.睡眠呼吸障害も周期性四肢運動症もMSA患者さんでは高頻度に認められたが,予想に反してそれらの重症度は眠気の程度とは相関しなかった.EDSの改善のためには過眠症の発症要因についてさらなる検討が必要であるが,可能性としては眠気・覚醒を知覚するシステムにも変化が及んでいる可能性や,パーキンソン病における眠気に影響をおよぼす因子として知られる夜間頻尿,寝返りを打てないような運動障害,うつ,幻覚,精神症状,レストレスレッグス症候群,抗パーキンソン剤などが影響している可能性が考えられる.

Daytime sleepiness in Japanese patients with multiple system atrophy: prevalence and determinants
BMC Neurology 2012, 12:130 doi:10.1186/1471-2377-12-130(オープンアクセスですので自由にダウンロードできます)




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