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多系統萎縮症に対するリチウムによるランダム化比較試験

イタリアで行われた多系統萎縮症(MSA)に対するリチウムによる二重盲検ランダム化比較試験の結果が報告された.リチウムが候補となった理由は,基礎研究において,オートファジー促進作用が報告されていること,MSAの病因タンパクと考えられているαシヌクレインもオートファジーにより分解されること,そしてオートファジー促進は神経変性疾患ハンチントン病)の動物モデルの進行抑制作用を持つことが示されているためである.根拠としては少し弱い感じもするが,実際にリチウムはMSAに限らず,ALSや軽度認知障害(MCI),アルツハイマー病,タウオパチー,脳梗塞などで臨床試験が行われている薬剤である.

さて方法だが,主要評価項目はリチウム内服の安全性・忍容性を確認することとし,副次評価項目は疾患の進行,QOLへの効果を調べることとした.対象は18歳以上のprobable MSAとした.リチウムは1日150 mg(2回に分けて内服)から開始し,血中濃度を0.9-1.2 mmol/Lにコントロールし,内服上限は1500 mgとした.

10名の患者が登録され,うち9名がランダム化された(4名が実薬,5名が偽薬).全例MSA-Cであった.罹病期間は78±46ヶ月.ランダム化して1年後に行われた暫定的な評価で,実薬群は偽薬群と比較し,脱落率および有害事象率とも有意に高かった(P<0.01およびP<0.02).具体的には実薬群の4/4の脱落に対し,偽薬群は1/5.有害事象率は実薬群で58.4%,偽薬群では21%であった.有害事象としては,リチウムの副作用して知られる眠気と振戦が問題となった.このため,データ監視委員会により臨床試験は中止された.また副次評価項目による有効性の評価については,当初予定した24週にまで到達した症例がなく,評価不能という結果であった.

症例数の少なさを考慮しても,多系統萎縮症患者におけるリチウムの忍容性は乏しく,治療薬候補として検討を継続することはやめたほうがよいと著者らは語っている.しかしその一方で,症例数が少なく,かつ罹病期間も6.5年と長いことから,ここで結論を出してよいものか分からないように思う.いずれにしても,基礎研究の臨床へのtranslationは難しいということを再認識する結果になってしまったのは残念だ.

A randomized clinical trial of lithium in multiple system atrophy.
J Neurol. 2012 Aug 30. <a href="">http://www.springerlink.com/content/m7135767w8108022/">[Epub ahead of print]
http://www.springerlink.com/content/m7135767w8108022/



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