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RNA干渉で筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの発症と進行を抑制できる

ALS患者のごく一部でSOD1遺伝子の変異が原因であることが分かっている(FALS1).このSOD1遺伝子変異のひとつであるヒトG93A変異(93位のグリシンがアラニンに置換)を導入したTg mice(G93Aマウス)は商業ベースで購入できることもあり,よく治療研究に用いられている.例えば,このマウスに対してcaspase広域阻害薬であるzVAD-fmkの脳室内投与をすると発症と死亡が遅延したといった報告があり,このマウスではアポトーシスが病態に関与する可能性が示唆されている(Science 288: 335-339, 2000).
今回,このG93A miceを用いて,RNA干渉(RNAi)による変異SOD1遺伝子発現の特異的な抑制が,発症と進行を遅らせることを2つの研究チーム(一方はイギリス,他方はスイス・フランス)が報告している.RNAiを導入するウイルスベクターとしてはともにレンチウイルス・ベクターを使用している.スイス・チームは40day-oldのマウスの腰髄L3-4にstreotactic にベクターを注射し,イギリス・チームは7day-oldのマウスの複数の筋肉群(後肢,横隔膜・肋間筋,顔面・舌→これらは運動,呼吸,嚥下に関わるという意味で重要)に注射している.結果は変異SOD1遺伝子発現をきちんと抑制し,運動ニューロンの生存の延長を病理学的に確認し,かつ運動機能,発症時期,生存期間を改善したというものである.RNAiが常染色体優性遺伝の神経変性疾患に有効であることを動物モデルで示したのはSCA1に続いてふたつ目であるが,今後,RNAiを用いた治療の検討がますます積極的に行われるものと思われる.
 ただ何となく違和感を覚える.まず変異遺伝子の発現量を増やした疾患マウスを人為的に作っておいて,それを別の方法で発現の抑制をして,それも生後7日とか40日という早期の段階で抑制をして,「とても長生きしました」というのも変な話である.またこの方法は家族性ALSのなかのさらに一部の変異を持つマウスに効果があったわけであって,大多数を占める孤発性ALSの治療研究にどう関与するのか(しないのか)一切分からない.さらに一番の問題はレンチウイルス・ベクターの問題である.オンコウイルス由来のベクターとは異なり非分裂細胞にも導入できるため,神経系への遺伝子導入には良く使用されるが,現在主に開発されているものはHIVをベースにしているので,とくに神経変性疾患のように長期間の発現が必要である場合の安全性の検証は十分ではない.確かにホットな領域であり,論文としては面白いし,国もこういう研究には多額の研究費を出すのであろうが,臨床にtranslateできる研究であるかどうかはまた別の問題でもある.

Nat Med. 2005 Mar 13; [Epub ahead of print]



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