公共交通の担い手が不足し、どんどんバス路線が縮小、撤退していく2024年の冬。
新しい公共交通が走るという情報を手に入れた(友人が拾ってきてくれた)ので、
埼玉県朝霞市に行ってきました。
朝霞市で新しく走り始めるのは「わくわくワゴン」ひざおり号・ねぎし号の2路線。
公共交通空白地区の解消に向けて、が今回バス路線を2つ新規で開設した大きな理由のようです。
団塊の世代が後期高齢者になり、いよいよ免許返納も見えてきたところでの導入といったところでしょうか。
運行形態はバス路線撤退後の代替策としてよく使われる、タクシー事業者による乗合タクシー。
2路線のうち、土曜日に運行する「ねぎし号」に乗ってきました。
今回はそのレポートです。
とりあえず全区間乗った後、少し徒歩で戻り、別の移動手段で朝霞駅に戻ったのち、なぞるように歩いていく。
みたいな形でレポを完成させていったのでバス停の順番がガタガタだったりしますが、あしからず……。
わくわくワゴンが発着するのは朝霞駅東口。
発車まで時間があったので、待機しているわくわくワゴンの姿をタクシープール内で確認。
近寄って写真を撮らせてもらいました。


バス停は、朝霞市内循環バス「わくわく号」のバス停と同じ位置にありました。
(余談ですが、わくわく号は埼玉県内でも早く走りはじめたコミュニティバスとして有名っぽいっすね)

時刻表を見ると、なんと1日に14本も出ている、結構気合が入った運行です。頼もしさも感じます。
コートエスペランサ前行という、地元民でなければ絶対にわからない停留所、好きです。

地図はオープンストリートマップのデータを加工し、使わせてもらっております。
Copyright and License | OpenStreetMap
乗車、終点まで乗る
わくわくワゴンが到着。乗降用のステップが出てました。
車内の写真はないのですが、普通のハイエースです。
電子マネーでの支払いも可能とのこと。交通系ICとpaypayは大丈夫みたい。
この手のバスで電子マネー可はないと思い込んでたので、現金で払いました。
バスは定刻で出発。ロータリーを出たのちに、埼玉県道79号線を走り始めます。

最初の停留所「西友朝霞根岸店西」は
県道から一本入った超絶生活道路である、朝霞市道1801号線上にあります。(地図上①地点)

ハイエースだからとかじゃなくて、基本的に離合不可能な道を通っていくワゴンにひえひえします。
県道の交通量が多いから、おそらく店の前に停留所を置くのはNGだったんじゃないかな、と思います。
ワゴンタイプのバスになるとポンチョやリエッセでは走れない道を走れるようになるというものの、やるなぁ。
自分が運転手ならたとえ自家用車であっても、絶対にこのような狭い道は走りたくありません。

停留所「まぼり」から再度南へ移動し、

「ウエルシア薬局朝霞根岸台店前」を経由して再び北上。(写真は北側から撮影)
北へ南へとジグザグ走っている印象ですが、いわゆる買い物需要を拾うためのルート選定っぽいですね。
どうしても駅までの速達性を重視しがちなんですが、
基本的に交通弱者=買い物難民でしょうから、ほっそい道を通ってもスーパー・ドラッグストアを経由するのは王道ですね。
これがもっと田舎であれば、店舗の駐車場に乗り入れて、入口までつけるのがベストなんでしょうけど、
みた感じ、両店舗ともそれは難しそうでした。惜しいね。

コミュニティバスのバス停と同じところに停留所「東朝霞公民館前」

珍しい5差路を東(写真右側の道)へ進むと、
地図上の②の区間あたりから高低差を感じる箇所を下っていきます。

停留所「雪印メグミルク朝霞中央販売店北」
区間②は朝霞市道91号線というんですが、

とにかく道が狭い。1.2車線ぐらいしか道路幅がありません。
いわゆる狭隘道路です。
先ほどの「西友」付近の道よりもヤバい。
「運転手さん、この道はヤバいっすね……」と話しかけると
「対向車が来ないことを祈るしかありません」と笑っていました。
停留所「水久保公園」の少し手前で舗装状態の悪い箇所があり、
運転手さんが「この後ちょっと揺れますのでゆっくり走りますね」と声かけてくれたのが印象的。
さすが運転のプロならではの気遣い。
朝霞市と和光市の市境を流れる越戸川に並行するように少し東へ向かった後、
再度北上したのちに終点「コートエスペランサ前」に到着。
最後まで乗客は私1人でした。


(これが「コーポエスペランサ」の正体。)
大きな集合住宅ではなく、小規模な集合住宅の集まりみたい。
バス路線を歩いてみる
終点まで行ったので、歩いて少し戻ってみます。
(また乗ってもいいと思ったんですけど、さすがに怪しい人認定されるかなと笑)

コートエスペランサ前から歩いて坂を下ります。
この坂もかなり急ですね。

折り返しの9時15分発の1便を停留所「東かすみ台町内会館」で1人待っている方がいました。
土曜日のそれぞれ初便から客扱いできて、公共交通としても本望でしょう。

停留所「ひがしかすみ台児童遊園地」
後述する和光市との市境に一番近いので、もしかしたらこのあたりのエリアでは一番利用が多いかもしれません?

停留所「水久保公園」(公園そのものからはやや離れています)

停留所「水久保公園」から、市道91号線の魔の区間を望む。
ここはまだ道が広いほうです。
写真奥の車のすぐ後ろあたりからが狭い。
おそらくは、この広いエリアは北上する形で開通し、行き止まりだった91号線と合体する形で延伸したんじゃないでしょうか。
そもそもなぜ「公共交通空白地区」が生まれるのか
今回「わくわくワゴン」ねぎし号は公共交通空白地区である根岸台7丁目の利便性確保のために走らせているようです。
市境エリアは往々にして公共交通が不便な地区になりがちとはいえ、
根岸台7丁目の人口は約2100人。(朝霞市統計情報より)
7丁目も低地以外のところは含まれているとはいえ、なぜ公共交通がいままで現れなかったのでしょうか。
市境であることがその要因の一つであることは間違いないでしょう。
例えば、朝霞市のお隣の練馬区にも当然公共交通空白地区があり、
県境で新規開発された住宅地(しかも高齢化率30%)のエリアが該当しています。
市境の住民は往々にして隣接自治体に生活基盤の重きを置くことも多く、
住んでいる住人側も、あまり住所地の自治体に関心がないように感じます。
それと単純に道路が貧弱。
実際に車に乗りながら通過すると、高低差があって家屋が壁のように建っているので、かなり狭く感じることと思います。
運転手さんも祈るほかない市道91号線を今昔マップで確認すると、
1970年代あたりから地図上に現れる道のようでした。
wikipediaで朝霞市の人口推移を見てみると、
1970年に約6.8万人だった人口が、5年後の1975年には8.2万人になっているのがわかります。
この91号線、それ以前からも地域住民が通る道だったんでしょうが、
「とにかく余ってる土地を開発するんや!!」精神で道路を拡張せずに家をいっぱい建てて、
その時にこの公共交通空白地区に引っ越してきた住民たちが、
50年経って後期高齢者になって免許返納をするにも公共交通がない!
助けてぇ~ ってのが今回公共交通を導入した経緯ってところでしょうか……?

写真を見てもらうとわかるんですが、擁壁の上に家を建てて、駐車スペースを捻出してる家が見受けられます。
これ、『限界ニュータウン』の吉川さんの動画に出てくるタイプの家と一緒ですもんね。
その時代の建物が残るエリアということは、やはり開発は60年代後半から70年代前半にかけてということでしょう。
公共交通を守るという考え方について
これは決してこの街に限ったことではありませんが、
こういう今まで公共交通と無縁だった人が住む、都市部における公共交通不便エリアの住民が高齢化して、
公共交通を導入しようとなったときに、どのぐらいの人が積極的に路線を維持しよう、
という気持ちになるもんなんでしょうか?
公共交通に理解の乏しい人たちが新しく導入しようとすると、
料金が高いから100円で乗れるようにしろ、老人から金をとるなだとか、
停留所まで行くのが面倒だからフリー乗降制度にしろ(後期高齢者はこの手の知識だけは達者でしょう)
みたいなことをブンブン振り回してきそうな感じがしますね。
たかだか朝の初便の1回しか乗ってない、市民でもない私が言うのもあれですけど、
ねぎし号の先行きは……。
何人が利用する想定で地域組織も自治体も走らせているのかはわかりませんし、1年間の実証運行とはいえ、
スクラップアンドビルドできないのが行政の常ですからね。
そしてその赤字を埋めるのは誰か? と考えると
少なくとも走らせましょう、と打診してきた(またはその打診にYESと答えた)根岸台7丁目の地域組織そして住民の方には、
ねぎし号を利用する義務……とは言いませんけど
積極的に利用しようとする姿勢を今後見せていくべきだとは思います。
朝霞市に住む友人曰く、北西の宮戸地区もドン引きするぐらい道が狭いところがあるらしく、
やはりそこも主要道路路線から急坂を下ったエリアを開発して宅地化したところっぽいですね。
この後、和光市側に移動し、和光市の公共交通不便エリアを解消する
「わこば」に乗ってきましたので、別途乗車レポを上げます。