『しすたれじすた』2巻の感想です。
物語が本格的に動き始め、ついにタイトルである「しすたれじすた」の意味も明かされました。
3巻はタイミングよく明日3月30日に発売ということで今から楽しみです。
以下、ネタバレありの感想ですので、まだ読んでいない人は読んでからお越しください。
明良の禊
2巻冒頭、第11話「バナナと裁ちばさみ」では
明良が浮気していた相手の配偶者が家に乗り込んできて、家族の面々で対峙する場面が描かれました。
明良にとっては辛い場面ではあるんですが、彼女自身もいうとおり
「家族を再生する」目標を持った自分は誰かの「家族を破壊した」という加害者でもあります。
結構ツーンと鼻に来る描写です。
そもそも、なぜ作者は明良に不倫させたんだろうか……と考えると
明良本人は「誰かに必要とされたかった」とだメンズ好きの理由の一丁目一番地でホームラン打ってくる感じの理由を述べています。
でも、(明良はかわいそうだけれど)この物語の主軸が家族の再生であるならば、
全員が共同体が崩れ落ちたことによる被害者というだけではなく、
共同体を破壊した経験を持つ人が必要だったのではないでしょうか。
その揺り戻しこそが、家族でありたいと願う、主人公としての原動力に繋がってると思います。
続く13話では、継父・芳雄が遺した日記から、彼もまた家族という共同体の崩壊を経験し、そして再生に挑んでいたということがわかります。
芳雄は「不幸な家族は負の連鎖として続いていく」と言われることに腹を立てていたことがわかります。(同じようなことを私も1巻の感想で言ってます)
彼の願いは、もしかしたら完全に叶えられることなく逝ってしまったかもしれない。
血が繋がっていなかったとしても、ちゃんとその願いは娘に受け継がれている……
その受け継がれ方も不器用なカタチかもしれませんが、それってちょっとステキじゃありませんか。
葉と二人のアイドル
この巻では、葉がアイドルになることを決意するわけですが、
彼女がアイドルを目指すことを決めるにあたって、
要は二人の現役アイドルに出会います。
一人は仁加子と同じアイドルグループ「奥の手」に属する人気メンバーのすぺいしぃ、
もう一人は葉の推しであるゆまっぺ。
二人とも「年齢的な」アイドルの旬は過ぎていて、ステージの外では”どろどろ・くろぐろ”しているのを葉は目の当たりにしてしまいます。
葉の出した結論、「くろぐろを抱えたままでも(アイドルとして)輝ける」
という気づきが葉がアイドルを目指すために背中を押しています。
ちょっと表現が難しいのですが、
たとえマイナスな感情を持っていたとしても、輝いた姿をファンに見せ続けていくんだというゆまっぺの心意気は
葉にも受け継がれていくわけです。
これが継父と明良の関係性とリンクします。物質的なつながりがなかったとしても、
想いが次代に受け継がれていく……
ここがアツいです、この漫画。
あと、外せないのが葉と同じゆまっぺのファン仲間で
まぁまぁ年上と思われる、久保さんとのシーン。
アイドルになることを決めた葉に、
「いつか年を取ったら、アイドルになった葉と同じ現場にいた、と自慢したい」と彼なりの言葉で葉の背中を押します。
これがいいですよね。葉がアイドルを目指す一連のシーンでは「年齢」がキーワードとして描かれています。
どんなスーパーアイドルも年齢には勝てないわけです。
(アイドルでい続けられることはできますが、同じアイドルの形には留まれない、というべきか)
100%ファンの立場である久保さんがアイドルは年齢じゃないんだと暗示することが、葉がこの場面にたどり着くまでに不安視していた、
「アイドルと若さ」への最終回答を示してくれているんですね。
そしてアイドルへ
しすたれじすたは仁加子と葉のアイドルユニット名でした、ということがわかります。
最終話最終ページでいよいよ始まる「しすたれじすた」の最初の舞台。
ここで終わるの辛い。
続きが明日読めてよかった。