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映画『パリに咲くエトワール』感想

3/13より公開中の『パリに咲くエトワール』を観てきました!

ポスターのイラストと「それぞれの夢に、ふたりで手を伸ばした。」というキャッチコピーが爽やかな印象の本作。

にもかかわらず、スタッフ欄には「メカ作画監督」の文字が。

谷口悟朗監督といえばコードギアスだよね!という世代なので、ナイトメアフレーム的なものが出てくるのか……?! と期待しつつ、公開二日目に映画館へ向かいました。

同じような考えの人が多かったのか、ほぼ満席の空間にいたのは八割が男性。

年齢層はバラバラでしたが、本来のターゲット層と思われる小中学生くらいの子どもはいませんでした。

果たしてロボットは出てくるのか、それとも予告どおり少女たちの青春物語なのか……?

ということで、以下ネタバレ感想です。

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最後スタッフロールが流れるその瞬間まで、ギアス的なロボット戦や登場人物の壮絶な最期……みたいなものがいつくるかとそわそわしていたのですが、全くそんなことは起こらず、爽やかでまっすぐなお話でした。

「夢に向かって走り始めたけど、ここでロボットが突入して大変なことになるんじゃ」

「はら、雲行きが怪しくなってきた! 誰かに何か起こるに違いないんだ!」

ストーリー展開にどきどきハラハラしつつこんなことを考えていたので、素晴らしい青春映画として幕を閉じたとき、自分の不純な気持ちを恥じました。谷口悟朗作品だからって、少女たちにギアスを求めてはいけない……!

この映画を純粋な気持ちで楽しめなかったなんて、本当にもったいないことをしたなと後悔しています。先入観による勝手な期待、よくない。

 

 

さて、本編はフジコ視点で進んでいくのですが、感情が服の色合いに反映されているのが印象的でした。

最初は明るく柔らかなイエロー。

画家になりたいという夢を抱きパリに渡ったフジコは、溌剌として楽しく暮らしていました。

それが中盤、叔父の若林が失踪して貧しい暮らしになったあたりから服の色がくすんで、暗い色になりました。

本場の絵画を目にして絵が描けなくなって、現実から目を逸らしながらお金を稼ぐ日々。

内面の鬱屈を態度や表情に出すことはありませんでしたが、服の色にそれが表れていました。

自信のなさから、自然とくすんだ色の服を選んでしまったのかもしれません。

 

バレエとフジコについて。

タイトル的に、バレエに感銘を受けた少女たちがパリで夢を追って——という物語かと思ったのですが、冒頭のバレエシーンで「おや?」となりました。

バレリーナが踊る現実のシーンよりも、バレエを観て感じたフジコの心象風景のほうに比重が偏っていたように感じられたためです。

薙刀に励んでいた千鶴がバレリーナを夢見るほど、素晴らしい踊りだったはずです。

けれど、絵を描きたいという明確な夢が存在していたフジコへの影響は、バレエというきらびやかな文化によってインスピレーションを刺激された、というものでした。

それがあの心象風景なのだと思います。

 

この作品を良い映画だと思えたのは、この冒頭がエンディングにきちんと繋がっているから。

夢が叶いバレリーナとして舞台に上がる千鶴を見て、フジコは再びインスピレーションを受け、それによって作品を描き上げます。

二人の少女がパリで過ごす青春を追いながら、しかし、主人公は間違いなくフジコでした。

エンドロールにフジコの後の作品が出てくるのもいい演出。

物語としては間違いなくハッピーエンドですが、彼女のその後には戦争があって、その影響を受けざるを得なかったことが伺えるような作りになっていました。

爽やかで清々しいラストではありつつ、歴史を知っている大人が見ると苦さも残る。

本当に良い映画だったと思います。

 

 

  • 福山 潤、ほか

 

 




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