文系出身でも、ITエンジニアを目指せる。
これ、意外と知られていない事実なんですよね。
「プログラミングって理系の人がやるものでしょ?」そう思っていませんか?
実は、情報系以外の理系学部の学生でも、IT知識のスタートラインは文系と大差ありません。
大学でプログラミングを専門的に学んでいない限り、理系も文系も、最初はほぼ同じ地点から出発しているんです。
では、そのスタートラインに立てるかどうかを左右するのは何なのか。
学部名でもなければ、数学の得意・不得意でもありません。
そのことを、私は現場での経験を通じてずっと実感してきました。
「理系じゃないから無理」という言葉を聞くたびに、もったいないなあと感じます。
そもそも、ITエンジニアとして現場で求められるのは、コードを丸ごと暗記している人ではありません。
問題を整理して、筋道を立てて解決できる人です。
私自身も講義の中で、文系出身の受講者が論理的な思考力の高さで周囲を驚かせる場面を何度も目にしてきました。
たとえば、ある文学部出身の受講者が「このエラーはここの流れがおかしいんじゃないか」と的確に指摘した瞬間、周囲がどよめいたこともあります。
その受講者は入門講義を受け始めてまだ数週間しか経っていませんでした。
「えっ、なんでわかるの?」という声が自然と漏れたほどです。
学部名ではなく、考える姿勢がエンジニアとしての土台をつくる。
その場面は今でも鮮明に覚えています。
コードは後から学べますが、物事を筋道立てて考える習慣は、そう簡単に身につくものではありません。
では、なぜ「文系にはITは無理」という思い込みが広がってしまったのでしょうか。
理由のひとつは、学校での「情報」の授業が、プログラミングよりもパソコン操作の練習に偏っていたことにあると思います。
タイピングの練習や表計算ソフトの使い方を学んだとき、「これがITか」と感じた方も多いはずです。
でも実際のITエンジニアの仕事は、それとはまったく別物です。
コードを書くことよりも、「なぜこのシステムが必要なのか」を考え、言葉で整理し、チームや顧客に伝えることのほうが、現場では大きな比重を占めていることも少なくありません。
技術は調べれば補えます。
でも、伝える力や論理を組み立てる力は、そう簡単に後づけできるものではありません。
むしろ、文章を書く訓練を積んできた人のほうが、この点で最初から一歩先を走っていることがあります。
正直に言うと、私自身も最初から全部うまくいったわけではありません。
かつてエンジニアとして現場に立ち、思うように結果を出せなかった時期がありました。
焦りで頭が真っ白になり、コードを見ても何も頭に入ってこない日が続いたこともあります。
ぐるぐると同じところを堂々巡りして、自信を失っていく感覚は今でも忘れられません。
それでも、その経験があったからこそ気づけたことがあります。
技術の習得より先に「なぜこれが必要なのか」を理解する力が大切だ、ということです。
その力は、論文を書き、文章で論を組み立てる訓練を積み重ねてきた文系出身者にこそ、もともと備わっていることが多い。
そう気づいたとき、見方ががらりと変わりました。
文系であることは、ハンデではなくアドバンテージになり得るんです。
受講者の中には、「自分には向いていない」と感じながら参加し始めた方が少なくありません。
それでも、講義を重ねるうちに自分の強みに気づき、ITの現場でいきいきと活躍していく姿を何度も見てきました。
文系出身だからこそ、お客さんへの説明がわかりやすい。
文系出身だからこそ、チームの中で橋渡し役ができる。
実際に、ある受講者は「自分の言葉で説明できることが強みになるとは思っていなかった」と話してくれました。
そういう言葉を聞くたびに、この仕事をしていてよかったと感じます。
とはいえ、その強みに自分で気づくまでには時間がかかるのも確かです。
だからこそ、環境と言葉が大切なんですよね。
「あなたのこういうところが強みですよ」と伝えてくれる存在が、人の可能性をぐっと引き出すことがあります。
さて、ひとつ問いかけさせてください。
あなたが今まで「自分には向いていない」「自分には無理かも」と思ってきたことの中に、実は誰にも負けない強みが隠れていませんか?
ITの世界は、理系のものでも文系のものでもありません。
論理的に考え、粘り強く取り組める人すべてに開かれています。
文理の壁なんて、実のところ誰かが勝手に引いた線でしかないんです。
その線を、自分の足で越えてみてほしいと思います。
ふと立ち止まって振り返ると、越えてきた線が思ったより遠くなっていることに気づく瞬間が必ずあります。
最初は小さな一歩でいい。
それでも、踏み出した人だけが見える景色があります。
「向いてないかも」と思っていたあの日の自分に、そう教えてあげたいです。
あなたにもその景色を見てほしい。
そのためにできることを、これからも発信し続けます。