イベントレポート

Intel、2,402Mbpsで通信可能な「Wi-Fi 6 Gig+」を第10世代Coreに搭載

~エレコム製の対応ルーターが今秋発売

左がIntelが発表したWi-Fi 6 Gig+に対応したRFモジュール。第10世代Coreと組み合わせることで2,402Mbpsで通信可能になる

 Intelは、COMPUTEX TAIPEI 2019の初日(5月28日現地時間)に行なわれた「COMPUTEX Industry Opening Keynote」に同社上席副社長 兼 クライアント・コンピューティング 事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏が登壇し、新製品や今後の開発方針などを説明した。

 このなかでIce Lakeのコードネームで開発を続けてきた「第10世代Coreプロセッサー」を発表。合わせて、Wi-Fi 6の将来の仕様である「IEEE 802.11ax Draft 2.0」に対応し、最大で2,402Mbps(理論値)の速度を実現する「Wi-Fi 6 Gig+」という独自のブランドも発表した。

第10世代Coreでは標準搭載のWi-FiがWi-Fi 5からWi-Fi 6へアップグレード

Wi-Fi 6 Gig+のロゴ

 Intelが発表した第10世代Coreは、いわゆるIce Lake PCHと呼ばれる14nmプロセスルールで製造されるPCHが採用されている。このPCHは、従来製品である第8世代Coreプロセッサー(以下第8世代Core、Whiskey Lake)で採用されたCannon Lake ICHと同じ14nmプロセスルールで製造されるが、新たにFIVR(Fully Integrated Voltage Regulator)が搭載されるなど、機能が強化されている。

 そしてIce Lake PCHのもう1つの強化点が、Wi-Fi周りだ。前世代のCannon Lake PCH世代からWi-FiのMACが統合され、RFモジュールを追加するだけで低コストにWi-Fi機能を実装できるようになった。今回の第10世代CoreのIce Lake PCHでは、RF部分がアップグレードされ、Wi-Fi 6ないしはIEEE 802.11axの呼び名で知られている次世代のWi-Fiに対応することが可能になった。

Wi-Fi 6に対応したRFが第10世代Coreとともに提供される

 Intelによれば、最初の世代のWi-Fi 6は80MHz幅だけの通信となるが、「IEEE 802.11ax Draft 2.0」と呼ばれている拡張仕様を独自に先取りしており、160MHz幅で通信可能にしているという。Intelではこの拡張を「Wi-Fi 6 Gig+」という独自のブランド名をつけて訴求している。今回の第10世代CoreのWi-Fi+RFはこのWi-Fi 6 Gig+に対応しており、最大で2,402Mbps(理論値)で通信できる。

IntelがWi-Fi 6 Gig+に対応したAP用チップを提供、エレコムから今秋発売

Wi-Fi 6 Gig+に対応したAP用コントローラがAPメーカーに提供される

 ただし、現在流通しているアクセスポイントには、IEEE 802.11ax Draft 2.0に対応しているものと対応していないものがある。そこで、Wi-Fi 6 Gig+というブランドで、無線LANルーターのメーカーらにWi-Fi 6 Gig+に対応していることをアピールしてもらい、第10世代Coreを搭載したノートPCと組み合わせることで、最大2,402Mbpsという、IEEE 802.11ac Wave2/2x2の1,733Mbpsよりも高速に通信できることを訴求する。

エレコムのWRC-X3000GS

 IntelはこのWi-Fi 6 Gig+に対応しているアクセスポイント用のコントローラとなる「Intel Home Wi-Fi Chipset WAV600」などを提供しており、それらを利用することで、Wi-Fi 6 Gig+に対応したアクセスポイントをメーカーが製造可能になる。

 昨日エレコムから発表された「WRC-X3000GS(11ax対応Wi-Fiルーター、エレコムが今秋発売、Intel製チップ採用参照)は、このWAV600を搭載しており、Wi-Fi 6 Gig+に対応している。

 第10世代Coreプロセッサは今年(2019年)の年末商戦に登場する見通しで、エレコムのWRC-X3000GSも秋頃市場に投入される計画だ。したがって年末頃には、PCを利用したWi-Fiの速度が2,402Mbpsに強化されることになる。