途切れることのないスピード感溢れる演技、カラースモークを駆使した緻密な構成が見応え満点のイギリス空軍アクロバットチーム・レッドアローズ。

RAF, Royal Air Force "Red Arrows"について
BAEホーク×9機で構成される「ヨーロッパ御三家」アクロチームの一つ。1964年に設立され... などと私が書き連ねても意味が無いので、以下、私なりに感じた特徴と魅力です。
- 構成が緻密に練られていて各演技の繋がりが良く、飛行展示中に観客の目の前から消える時間は殆ど無い。
- ローショーでもそれはそれで十分見栄えする演技構成。流石は天気の不安定さで定評がある(?)イギリスのチームと感心。
- 使用機材であるBAEホーク、機体の雰囲気やサイズ感はT-4に似ているがエンジン音は中々の爆音系。推力は十分なようで、9機全体での優雅な動きと、スピード感溢れる機動のメリハリある構成は見事。
- 会場アナウンスの途中に流される編隊長の音声が気合満点で楽しい。ウォーと吠えるような雄叫びはネイティヴでも何を言っているのか意味不明の模様で、周りのイギリス人も "Oh my... we got a mad captain..." と苦笑していた。
- 白赤青のカラースモークをこれでもかと駆使する。クロスの瞬間にスモークの色を切り替える妙技も見所の一つ。
- 世界のアクロチームの中でもレッズの年間展示飛行の回数は際立って多いそうで、RIATやファンボローエアショー展開中も「ちょっとF1イギリスGPの開幕式に行ってきますわ」といった感じで出動していました。

1980年までの使用機種フォーランド・ナット。英空軍博物館にて。

エアアタトゥーでのレッドアローズ
演技を終えたイタリア空軍、フレッチェ・トリコローリとのすれ違い。
"frecce"と"arrow"、どちらも「矢」というのが共通点。

離陸は3・2・4機の順。特にここで見せ場は無く淡々と離陸します。

隊形を整えて会場後方から進入し演技開始。


前半は隊形を変えながら全機でのパスやロール系演技を行います。



序盤は観客の前から見えなくなることが無く、旋回しながら各機がスーッと動いて様々な隊形を披露します。この隊形移動も見所の一つ。




前半の大技。ブルーで言うコークスクリューを9機でやるような感じの演技。

良く見ると芸が細かくて、観客の前に差し掛かったところでバレルロールする外側2機のカラースモークを白に、内側の機はカラーに切り替えています。

旋回して遠ざかりながら執拗なまでにロールを続けます。

結局、機体が点にしか見えないほど遠ざかるまで続けていました。

撮影データによるとこの演技の時間は40秒以上。その間ずっとロールを続ける体力と空間感覚に感心します。
7機が垂直上昇して散開。

科目名はPalm Tree=ヤシの木と言っていました。なるほど。

2機 vs 2機のクロス。

1対1でのクロスも見もの。
直前にスモークをカラーに切り替えてクロス。


ターンして会場奥でもクロス。ここでは赤青混ぜて紫になっています。

別の日に撮ったものですが、戻ってきた2機が再びクロス。



空の色が濁ってしまうのが難点ですが、この科目などはカラースモークのお陰で各機の動きが良く分かります。






傘型隊形に突っ込んでゆく演技。
1機足りませんが、抜けても何とかするのがレッズであります。

曇り空のローショーでは観客エリアに平行に行っていました。

2016年のアイルランドでは2機 vs 7機というパターンもありました。

連続ロールバック。

ブルーインパルスも2010年前後にダブルロールバックという演技をやっていましたが、近年やらなくなりましたね。


定番のキューピッドやレインフォール。


イギリス空軍創立100周年だった2018年は垂直に"100"を描く演技もありました。欧米系アクロチームで文字を描くのは珍しいように思います。

大英帝国の誇り「レッドアローズ」
近年は我らがブルーインパルスも国民的な人気を得ていますが、イギリスにおけるレッズは国民的な人気だけではなく、国の誇りや敬愛に近い感情を抱かれているように感じます。例えば、ウィリアムズ時代のナイジェル・マンセルのカーナンバー"Red 5"はレッズにあやかったものだと言います。

Donington CollectionsのFW11。
ヒースロー空港、出国エリアのフライト情報パネルで"Goodbye"メッセージを送るイギリスのアイコニックな人物達の中にはレッズのキャプテンも出演していました。ちょっと表情が堅いのがまた良い。


こちらはファンボローエアショーにて。


レッズが香港からすぐ近くの珠海エアショーに来ていた2016年、更に足を延ばして日本にも来てくれたらと思いましたが、このところ防衛分野で交流が活発な日英関係を考えるとレッズが来日してブルーと共演するのも夢ではないかも知れません。
<2026年2月追記>
2016年中国珠海エアショーでのレッズ記事もUPしました。