来週の9月22日に発売される、吉野かぁこ『氷河期世代力』という本に私のインタビュー記事が掲載されていますのでご報告します。この文章の無料パートはそれに直接関連した内容です*1。
ま、氷河期世代の生き残りと言っても色んな人生があり、色んな考えがあるでしょう。
本書に登場する氷河期世代の人生は千差万別で、同じ時代を生きているのにこんなに観てる風景が違うんだぁ……とまず驚きました。生き抜いてきた来歴もさまざま。価値観もけっこう違っています。ただ、タイトルにあるように、このインタビューに集まっている氷河期世代がなにかしら「持っている」者である点は否定できないなぁとも思いました。強力なバイタリティや才能を持っていた者、文化資本と有益なハビトゥスを継承してきた者、運にも恵まれた者、学歴を獲得した者、等々。
ここでいう「持っている」の内容は、超超超一流のプレイヤーのそれに比べれば目立たないかもしれないけれども、まったく持たざる者ではないな、というのは私自身も含めて認めないわけにはいかないよう思います。なにかしら「持っている」者がこのようにサバイブし、『氷河期世代力』というインタビュー集に掲載されている、という一面はこの本には間違いなくあります。
と同時に、「持っている」としても楽勝ではなかったことも本書からは読み取れます。
必ずどこかに無理や無茶のあるところ、耐えて耐えて耐えて死線を潜り抜けたところがあったりします。フリーで活躍してきた古城宏さんのインタビューを読んでも、表向き、順調に人生ゲームを勝ち上がってみえるように見えるけど、キャリアの序盤は傍目にはけっこう危ない橋をお渡りになっているようにみえました。運と才能の両方なければ危うかったでしょう。巧みに世渡りして才能を発揮してきたようにみえる人にさえ、そうした危うさの影はついてまわります。
まだ昭和以前のブラック体質の残る時期に就職氷河期が到来したために、この世代の多くは「けっこう危ない橋」を渡らされ、そこで運や才能を試されたことでしょう。その面影が、このインタビュー集のあちこちにみられると私は感じました。私自身は、インタビューのなかで昭和時代から平成時代、さらに令和時代の死生観の移り変わりについて触れました。吉野さんの気さくさが引き出したのでしょうか、このインタビューにおける私はきれいではない言葉遣いで、命や人生といったものへの儚さ、娑婆世界への諦念がいつもよりも前に出ています。他の方々のインタビューと比較して、私のパートはちょっと異質な感じになってしまっているかもしれません……。
が、一冊の本として通覧すると、そこはそれ、ひとまとまりの書籍としてまとまっているんですよね。
著者にしてインタビュアーの吉野さんは、一見、バラバラにもみえる氷河期世代の半生を集めて一揃いの読み物をつくっています。たとえば氷河期世代の人生をとおして浮かび上がってくる、時代の流れや社会の変化は、この本の見どころのひとつでしょう。
それからこの本、同時代のユースカルチャーの文物がたくさん登場するので、90年代の歌や番組を振り返るにも良いかもしれません。就職氷河期、けっして悪いことばかりではなかったんですよね。そして今日では、票田として最も大きな割合を持つ世代的まとまりを為している点も、多くのインタビュイーが意識しているところです。
そうした本ですので、ご興味ある方はお手に取ってみてはいかがでしょうか、と宣伝してみます。
※以下は、「氷河期世代の力」というお題に基づいて私がごちゃごちゃつぶやいてみたものです。常連さんだけ、どうぞ。
*1:有料パートは「氷河期世代が持っている力」についての私の個人的な考えを書いただけのものです
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