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「対馬の海に沈む」(窪田 新之助)

本好きで色々なジャンルの本を読むが、最近では時代小説やミステリー小説を読むことが多い。ところが、毎週読んでいる新聞の書評に、ちょっと気になるタイトルのノンフィクション作品が掲載されていた。「事実は小説よりも奇なり」という言葉がある通り、ノンフィクション作品には「事実」を描いた生々しさがあって感じ入ることも多い。一方で、事実なだけに、内容によっては不条理さを感じたりやるせない気持ちになったりすることもあるので、個人的にはノンフィクション作品には能動的に手を出さないことが多い。しかし、書評を読むうちに、世間を騒がせた事件の不可解な部分に焦点を当てているところに引き寄せられて、久しぶりにノンフィクション作品を手にとってみることにした。

対馬の海に沈む (集英社学芸単行本)

今回読み進めたのは、窪田新之助さんが書かれた「対馬の海に沈む」という一冊。長崎県の離島で起きたJAの横領事件を追った、2024年第22回開高健ノンフィクション賞受賞作品 だ。

人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか………? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション

冒頭、「JAの神様」と呼ばれる職員の自殺とも思えるような自動車の転落シーンから始まり、いきなりグイグイと作品の中に引き込まれてしまう。そして、JAという組織に関する説明やJAグループ全体の運営に関することなどが、分かりやすく丁寧に書かれている。この辺りは、JAグループの日本農業新聞に勤務していた著者ならではの知識だ。そして、「協同組合はあくまで組合員の生活を守り向上させることが目的で、利潤の追求ではない」と言いながら、過酷なノルマとノルマから逃れられない仕組みが導入されていることも細かく述べられてて、今までJAに対して持っていた「農家の味方」というイメージが覆された。そして、「JAの神様」が行なっていた不正の数々が、実は本人の利益になるだけではなく周囲の人々にも恩恵を与えていたこと、不正をしてもそれを止めたり防いだりすることのできない体質などが次々と明かされていく。

最終的にはJAという団体の枠を超えて「離島」ならではの問題にまでメスが入っていくのだが、綿密な取材に裏付けされているであろう内容が衝撃的であり、人間の本質にまで及んでいることに驚かされた。ノンフィクションながら推察が入る部分もあるので全てが著者の推察どおりではないかもしれないが、人間の心の中にある弱さを指摘しているという意味では、自分自身を振り返ることにもなった一冊だった。また、かなりのページ数がありながら、一気読みしてしまうほど「事実は小説よりも奇なり」な内容だった。

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