
年末、12月29日、おととしのこの日の日記にある。
セルジオと「食堂そのだ」で飲んでいる。
サッポロ黒ラベル大瓶で乾杯する。
ことしもサバイバルしましたね。
「ことしどんな年だった?」と僕。
「うーん、変わらんな、いっしょや」
つまらんな、と一瞬思う。いやいや違うなと思い直す。
僕らは下り坂にある。
とぼとぼと終わりに向かって歩いて行く。
でも、自分の足で歩き続けている。
僕らは加齢という川に流されている。
でも、自分の手足で泳いでいる。今も。
ユーミンが十数年前に正月のラジオで言った言葉が折に触れよみがえる。
「現状維持って私たちの年齢にしたら成長してるってことだよね」
変わらん一年、それは得がたい幸福なのかもね。「このマッカランの会、あと何回出来るか?
人生は回数だね、野望はとっくに消えたけど」
瓶ビールをもう一本。
9時半、走り始める。
12月なのにもうロウバイが咲いていた。
走り出して身体が何だか重い。
体調が悪いというわけじゃなく、足が前に出ない感じでじれったい。
勢いがない。
どこで折り返そうかと走っていたが、もう少しもう少しと走り続けていたら…周回コースに入ってしまう。
冬晴れの景色につられて写真撮りながら周回を走りきる。
きょうで月間85キロになる。
あと2日…100キロには届かないだろうな。

周回コースをまわるが、走りきったわけではない。
歩いているのかと思うほどすごーく遅いペースで走り、あそこまで走ったら、ちょっと歩く。
その繰り返し。
ペースアップはできないかも知れないが、身体が動かないというわけでもない。
頑張ろうか、いや、頑張れないよ、の自己問答。
踏ん張れないのはまずメンタル、気持ちが負けてる。
山登り、特に夏場の登山も同じ。
気持ちで負けてる。
これが老いるということの本質、老いることそのものなのだろうか。
ふと考える。
これが老いだとしたら…
若いときは頑張れたんだろうか?
かつては僕も気持ち負けしなかったのだろうか。
そうでもないか。
若いときから踏ん張りが効かなかったなあ。
老いて、その標準値が下がってきたに過ぎないのかもしれない。

日記を遡ると、きょう29日に玉戸さん宅を訪問してることが多い。
特に理由はないが、ことしは見送った。
せめてときょう電話した。
まずまずお元気そうだった。
「口の中が乾いて夜に起きるんだよ」とのこと。
ドライマウスだろうか。
玉戸さんはことし80歳「傘寿(さんじゅ)」になった。
誕生日は1945年8月20日。
「ホントはもう少し前に生まれたんだろ思うよ。
当時は戦争中で、そのときは終わるって分からなかったけど、
そのころ母親は一人で、届けは少し落ち着いてから出そうと思ってたんじゃないかな。
それが15日が来て、またバタバタして、やっと落ち着いた5日後に出生届を出したんだと思う。」
生誕80年か…。
年が明けたら一度天理を訪ねよう。
去年は12月15日に訪ねている。
午後から大阪へ出る。
JR天満駅から天神橋商店街を天七まで歩く。
かつて名画座のホクテン座があったあたりまで。
ホクテン座もなく、大箱の町中華もなかった。
商店街の端にあった「えげつないほどダシが濃い」と謳い文句の看板があった立ち食いうどんも消えていた。
きょうは鰻を食べると決めていた。
3月以来の「魚伊」天五店。
開店すぐに入り、誰もいないカウンターの端に座る。
鰻重を食べながら今年を振り返るという大人の贅沢をしたかった。
ところが…!
すぐに若いカップルが入ってきた。
店の人が「お二人様、二階テーブル席か、カウンター席にどうぞ」
カップルなのでてっきり二階のテーブル席へ行くと思っていたら、女がデカい声で
「二階めんどくさい。カウンターにしよ」
しかも一人しかいないのに、わざわざ僕の隣に座る。
いきなりメニューを見て女が言う。
「ひまつぶし って何ですか?」
「ひつまむしですね」
「ひつまむし? ひまつぶし違うの?」で二人が爆笑。
しつこいくらいに「ひまつぶし ひまつぶし」と連呼して、また笑う。
このバカップル、声がでかい。
互いにマウントを取り合うような会話が続く。
男が女に「しばくぞ!」
女が「わたしのこと、オマエって言うな」
「オマエはオマエや。しばくぞ!」
鰻重を食べながら、静かに一年をしめくくるという目論見は木っ端みじんになった。

鰻が焼けるのを待ちながら「奥播磨」を飲んだ。
待ちながら砂原浩太郎「雫峠」の一編「江戸紫」を読んだ。
後半、静かながらも世界が一変する展開になる。
ほのかな恋の気配も漂う。
すごくいい話だったが…!
ひまつぶし で趣が半減した。
帰宅すると今月5日に受けた健康診断の結果が届いていた。
血液検査の結果を見るのが恐い。
一番の関心事は血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値。
はたして…
HbA1c は6.8 だった。
基準値は4.6~6.2%、6.5%以上は糖尿病判定となる。
自分の中ではギリセーフの数値だった。
この数値はいきなり上がったりするので要注意。
運動週間の継続、節酒を続け、来年はもう少し安全圏内に下げようと誓う。